アメリカ視点 3話

支度が終わり部屋から出ようと思っているとドアベルが部屋中に鳴り響いた。

私を訪ねてくる人などいるはずもないのだが一体全体どういうことなんだろうかと思いながらドアを開けた。

「はい、どちら様ですかー?」

「スミスくんだね、こんにちは。私はイユ財閥の首席補佐官秘書のエドワードです以後お見知りおきを」

かなり嫌な予感がした、こんな人が訪ねてくるということは遂にバレたのか…

「これはどうも、どういうご用件で?中でお話ししましょう。どうぞ」

「これはこれは、それではお言葉に甘えて失礼します。」

とりあえず、貰ったは良いが飲まずに閉まっておいたコーヒーを淹れエドワードさんにお出しし話を伺った。

「えっと、なんのご用件なんでしたっけ?私なんか規律違反しましたか?」

「ご冗談を、今のレライには規律などないでしょう。そうでは無く貴方の出生と素性についてですよ。わかっているでしょう?」

これは完全にバレてる。

実は私には大きな秘密があり知られると色々と不味い。

「素性と出世ですか?何のことか存じ上げませんが…」

エドワード氏は突然懐からハンドガンを取り出し僕の眉間に当てた。

「リアム・スミスとぼけるのも大概にしろ大人はからかうべきじゃないぞ?」

「はい、どこまでご存知で?とりあえず銃をしまってください。」

私がそう言うとエドワード氏は銃を懐に戻し話し始めた。

「全てだよ、スミス…いやリアム・D・ワシントン。君の出世から血筋から全てを知っている。」

「そこまで知られていたんですね」

「あぁ、驚いたよ君がワシントン元大統領の子孫だと知った時はとても衝撃を受けた。」

「隠し子の子孫ですけどね。目的は何ですか?」

私はワシントン大統領の隠し子の子孫なんだが幼い頃に今の父の所に養子として引き取られその後紆余曲折をへてレライのメンバーとなった。

自分の出自は知られたくないし隠さなきゃいけない事実だったがこうなってしまってはもうどうでもいい後は目的次第だ。

「目的は1つです、イユ財閥御令嬢との結婚です。」

「は?え?えー???」

僕はコーヒーを床に噴きこぼした。

イユ財閥の御令嬢といえば全米一番の美女として有名である。

「ホントですか?でも何で私なんですか?」

「ワシントン大統領の血を引く者と未来を築く世界の統治者であるイユ財閥の令嬢の結婚となれば世界中が喰いつくでしょうからね」

「私の血の政治利用ですか、嬉しいような嬉しくないような微妙な感情になりますね」

「貴方にはメリットしかありませんよ?」

「例えば?」

「戦争が始まったとしても身体の安全は必ず財閥関係者で保証します、生活も今の数倍ましな生活ができますし地位や名誉も手に入りますよ?」

魅力的ではあるものの別にどれも求めていないし正直断りたい。

「そうですか、それでも断って良いなら断りたいです」

「残念ですねー。写真を令嬢に見せたらとても気に入っていらしたので全米一番の美女に愛されながら毎日を過ごせるのに。それに血筋の政治利用で結婚するんですから子作りもしてもらいたいので全米一の美女とセックスし放題なのになー、断っちゃうのか残念だなー。」

今のは聞き間違いだろうか、すごい魅力的な条件が提示された気がした。

そう思い私は聞き返した。

「今のお話しホントですか?」

「交渉で嘘はおっしゃいませんよ、でも嫌なら無理にとは言いません。コーヒーごちそうさまです、これにて失礼します。」

「待ってください待ってください、そのお話し謹んでお受けします。是非お願いいたします。」

エドワード氏がニタっと笑った。

欲望に負けた感が異常にあったがエドワード氏の話を詳しく聞き婚礼に合意した。

ただの会員だった私の人生はこっから狂いだしていくことをこの時は予期しきれていなかった。

(ちなみにニューヨーク州は親と司法の合意があれば16歳から結婚できるのでセーフ。)


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