それは誰か

@suzuyacoh629

第1話

私は昔からこうだった。なにをするにも協調性に欠けてて色々な人に迷惑をかけてきた。弟が生まれてからは親は弟に構いっきりで私の相手なんか、ろくにしてくれなかった。それもあって親との間には険悪な雰囲気が漂ってる。それはこのクリスマスという特別な日でも同じだ。私は手伝いたくもない飾り付けを手伝わされいつもよりずっと憂鬱な気分でいた。私が任されたのはLEDの飾り付けだったが面倒になって6分ぐらい前に投げ出した。そして今に至る。部屋に響き渡るのは秒針が刻む音だけで、それが私の心の寂しさをより一層引き立てていた。部屋に散らばるLEDの数々。そろそろ作業を再開しなくてはまた親から罵倒混じりの叱責を食らわせられる。まずここにあるLEDが全部点くか、それを確認することにした。まず一つ目、スイッチを入れてみたがこの部屋が明るすぎて点いているのか、点いていないのかさっぱりだった。

部屋の電気のスイッチはドアのそば。ドアのそばまで行くと家族が楽しそうに飾り付けをする声が聞こえて、なんだか胸が張り裂けそうになった。この気持ちがなんなのかわからないまま電気を消した。

暗い部屋の中に月明かりが部屋に差し込んでいて綺麗だった。胸が張り裂けそうな感じも気づけば忘れていた。窓の方に目をやるとそこには風に揺られるカーテンがあった。

あったのだが私はそれに見向きもせず別のものに目を奪われていた。窓の隣のこの空間にいるはずのないものに、私は背筋を指でなぞられるような寒気を覚えた。まず最初に恐怖し、それから脳が目の前にいる者が何か判断し始めた。それは人だった。身長百八十はあろうかという大きな人だった。体格から見るに男性であろう。

そこまで読み取った直後彼と私の目があった。恐怖はより大きくなり体が震えているのが自分でもわかった。この状況から色々なことを連想してしまった。ひょっとしたら刺されるかもしれない、とか、幽霊かもしれない、とか。沢山の推測が頭の中で飛び交う中彼は私に声をかけた。

「僕と一緒に来てくれないか?」

その言葉で私の頭の中の推測は全て打ち消された。驚きとときめきで。それと同時に彼の頭部が見えた。仮面をしていたが私はその冷たい表情の仮面に、何か優しさを感じたのであった。

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