第四幕「リアライゼーション」
―黒かった。とにかく、黒かった。
すっかり露出した僕の体は、見慣れた肌色のそれではなく、黒く覆われた何かに変わっていた。
それは右半身の首元から始まり、肩甲骨を覆い、胸部、腹部全体を覆ってから、右脚部、そしてつま先まで続いていた。
ひやりとした感覚は金属のもので、部分的に別の何かで構成されているようだった。
特にこの異様な変化が顕著なのが右腕であった―いかにも機械ですとでも言いたげな腕。さらにこれには不思議な孔が無数に空いていた。
何かしらの説明を求めて奇怪な二人の同席者に視線を向ける。
「自分の姿を見て戸惑っているようだね。何か説明をするべきだろうか。なぁ、プラム君」
野太い声の持ち主が困った顔をした。白衣越しでもわかる、ものすごくガタイのいい中年の男性だ。
洋風の顔に、髪の毛と同じく銀色の、整えられた顎髭が似合う。その体躯と比べ小さな目が眼鏡の奥で光っていた。
「した方がよろしいかと。誤解は災いのもとです」
これに答える女性は隣の男性のせいもあるがとにかく華奢に見えた。若そうではあるが、神経質そうな顔にシームレスのメガネがかけられている。紫色のメッシュが入った髪の毛が綺麗に束ねられ、肩に垂らされていた。
「何が、何が起きているのですか?」
声を裏返らせながら、僕は疑問を声に出した。
どう言うべきかな、と男性は一瞬迷ってから口を開いた。
「―よし。君は一度死んだ。そして、我々が蘇らせたのだ」
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