頑張ったんだけど

終わらない。終わらない。終わる気配がない。僕はその時絶望していた。確かに10年語や20年後大人になってからこのことを思い出せばそんなこともあったと笑えるのかも知れない。けどだ。今は必死なのだ。目の前の英単語を反復して書くことに。英単語を5つずつ書いていく。宿題だ。これになんの意味があるのかと考えるが考えても仕方がないのだ。考えてもし意味がないという結論に達したとしてもやらなければ点数は引かれる。何より僕は教師からの印象を悪くしたくなかった。まぁいまでもいい印象はもたれていないだろうけどね。恐らく静かな子だなとか平均的な子注意して見ていなくても大丈夫な子多分そんな感じだ。いわゆる陰キャというやつだ。そんなクラスで目立たない僕は間違っても宿題をしてこなくて本の少しでも注目されるなんて事はゴメンなのだ。だから必死になってやっている。冬休みに入ってから一度もやってこなかった宿題を。emphasizeってなんて意味だっけ?どこに載ってんだよ…こんな事するくらいなら本を読みたい。丁度読みかけの本があるのだ。母さんが勧めてくれた本だ。冬休みに暇ならこれを読んでみろと言われた。正直面白い。時代を超えて手紙のやり取りをする、僕にとってはほんの少しワクワクする内容だった。すぐにでも読みたいが仕方がない。もうほとんど字になっていないようなスピードで書いていく。ボキッ……ん?シャー芯が折れた。うん。シャー芯、シャー芯。……………………………え?ないじゃん。シャー芯がない。買いに行けばいいと思うかもしれないけどいや、買いに行けばいいんだけど、今って深夜1時なんだよね。もちろんコンビニは空いているだろう。だけど家を出ようとすれば親にバレる。そして怒られる。でも、朝までのんびり寝ていたら絶対に間に合わない。そのくらい僕は宿題というものを放棄していた。で、結局僕は全力で音を立てないように部屋から出て家を出る。そしてダッシュでコンビニへ。そして……うん、まぁ怒られた。余裕でバレてた。バレないように全力を注いだのに。ついでに次のテストが悪ければお小遣いを下げるなんて宣告もされた。……僕バイトしようかな。

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