年賀状
「はぁぁぁー」これで何度目の溜息だろうか。暖房のおかげで暖かくなり始めた部屋の中で僕は机に向かって何度目かわからない溜息をついていた。目の前には3枚のハガキ。この時期に来るハガキといえば何か。……年賀状だ。「いや、なんでだよ...」思わずそう呟く。年賀状がくる事には何も問題は無いのだ。僕だって友達から年賀状がきたら嬉しい。一枚もこなかったらどうしようか、なんて心配も吹き飛んだ。年賀状は確かに嬉しい。だがこれは来る日にちを間違えていると思う。今日は5日だ。来る日を間違えている。年賀状は3日までって僕の中で決めてんだよ!くそっ!おまけに年賀状を返すためのハガキはもうない。というか朝コンビニに買いに行ったらもうないとか言われた。やっぱ来る日間違えただろ。つーか、送るの忘れてただろ。うん、わかるよ。今日年賀状を送ってきた人は3人とももう2年くらいは会ってない。だから忘れられていたとしてもショックではない。でもさ、じゃあ送らなくていいじゃん?僕も送らなかったしさ!「…………返さなきゃだよなぁ」僕なんかに送ってくれただけでも感謝しておこう。だが問題がある。ハガキがない。コンビニは朝2つくらい回ってダメだった。あと売っているところといえば限られている。僕が遠くに行きたくないというのもある。そして何より枚数と値段だ。少し前までは3枚入りのが売ってあった。なのに今は5枚入りしか売ってないのだ。そして今僕の寂しい財布の中には千円札と小銭が少し入っているだけだ。無駄遣いはできない。「とりあえず近くの本屋でも見てみるか。」そして本屋に行った僕は見事に撃沈した。本屋だけではない途中寄ったドラッグストアも雑貨屋にも置いていなかった。あるかなと思ったスーパーは開いてすらいなかった。さっさと仕事しろ。2,3時間は無駄にした末に僕は少し遠くにある神社で年賀状が売ってあるのを発見し買った。5枚入りで400円だ。僕にとっては痛いが540円から値下げされたようなのでこの辺で諦めることにした。分かっていたことだけど、財布の中を見て絶望した。「僕バイトしようかな…」
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