架空不定期日記
志撼
新年のお話
駄目だ。非常に駄目だこの状況は。僕は今いとこの家にいる。朝の5時に起きて祖母の家を出た後急に従兄弟の家に行くことになったからだ。そしてだ、なぜこの状況が駄目かと言うと……僕が割と、いや、かなりのコミュ障だからだ。そんな僕が従兄弟と二人きりになったのだ。どうなったか、そりゃあ勿論……沈黙だ。うん。こんなにもテレビの音しか聞こえないとは!想定外だ。いや、自分がコミュ障だって事は重々承知しているのだからこんな状況も想定しておくべきだったのはそうだけれども!想定外だったのだ、本当に。どうしよう僕もう無理。ギブアップと叫びたい。『諦めたらそこで試合終了ですよ』なんてセリフが頭に飛び込んできた。いや!諦めたら終了じゃないよ!沈黙から開放される!いい事だ!どっちかと言うと僕にとっては始まりだ。あーでも現実にはギブアップとかないんだよなぁ。現実にギブアップシステムがあれば僕の悩みは大概解決できる。なんて小さい男なんだろう…はぁ...。もし、もしだ。ギブアップシステムがあれば例えば部活の集まりに参加する。僕はコミュ障を治そうと友達を作ろうと試みる。失敗して恥を書く。そんな時僕は即座にギブアップと叫ぶだろう。例えば半日バイトに応募する。当日行ったら、『えぇと……こちらからの電話はありましたか?』なんて言われて受かってもいないバイトに行って恥をかく。これも即座にギブアップだ。振り返ると僕ってかなり馬鹿だと思う。こんなんで生きていけるのかな...。新年早々自分の駄目さを振り返るとは僕ってなんて残念なんだろう。ガチャッ音がした。!!!!?!?!!来た!救世主!帰ってきたのだ!僕を置き去りにして従兄弟とふたりきりなんていう状況を作り出した張本人!でも今はどうでもいい。僕には救世主にしか見えない。姉だ。いつもは悪魔のような姉が今僕の目には天使に見えるよ。僕は心の中で歓喜してホッとした。僕って運悪いんだろうなぁと思う。まぁ初詣も行ってなければおみくじも引いてないんだけどさ。
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