第51話
「任せろ」
するとノークはその小さな体でちょこまかと動き、辺りの捜索を始める。
「ノーク、急げよ!あまり長い時間は持ちそうにない!」
ノークはわかったのかわからないのか、特に反応は示さず、辺りの捜索を続ける。
その間も、隼人と、カルダは手を休めず、ゴーレムの攻撃をかわしては、追撃を加えゴーレムの体を削るも、そいつは一向に停止する様子を見せない。
そして、相沢が何かに気づいたように声を発する。
「ノーク君!建物!建物の中!」
言われたノークは、建物へと急ぎ、その中を捜索しているようだった。
相変わらず、ゴーレムの攻撃は止まず、拳を振りかざして、隼人に襲いかかる。
隼人は、その拳をトンファーで防ぎ、吹き飛ばそうとするも、反対の手が襲い掛かり、隼人の顔にかかった時だった。
ゴーレムは突如動きを止め、ボロボロと崩れ落ちるのだった。
「まに、あった、か」
そこにいた四人はほっと胸を撫でおろした。
それも束の間、今度は大きな地響きがし、辺りを揺るがす、それは大きな地震のようで、立っていられるのもやっとなくらいだった。
やがてそれは地にもひび割れをもたらし、それが徐々に広がっていく。
「ノーク!何をした!」
地面に這いつくばりながら、建物の中から出てくるノーク。
「何も、なかったから、法陣、消した!」
「なん、だって!」
それは、完全にエレメントの力が消滅したことを意味していた。それで土の力がなくなりゴーレムが止まったと。
「急げ!相沢!……と、それにミーナ!頼んだぞ!」
相沢とミーナは大きく頷くと、建物へと急いだ。
「ミーナちゃん急いで、たて、ものも、崩れそう」
相沢の言う通り、建物もすでに悲鳴を上げ、壁にはヒビが走り、今にも崩れそうだった。
そして、ミーナは急ぎつつも丁寧に法陣を描き出すのだった。
そして、入口付近でズシャっと音がした時だった、ミーナのそれは完成し、相沢は急いで打ち込むと、茶色の球が放出される。
その茶色の球が法陣の中央に達すると、法陣は見事光を放ち、そして地震も収まるのだった。
「間に、あった?」
地震が治まったことを確認し、相沢は安堵した。
その建物は原型をとどめていなかったものの、かろうじて持ちこたえている状態で、あと少しでも遅ければ二人とも生き埋めになっていたかもしれない。
「これで、土のエレメント完了だな」
「次は水ね」
◇
五人は土の大地を後にすると水の都市を目指していた。
辺りにはだんだんと緑が増し、また元の姿を取り戻していた。
「ふぅ、生き返るぜ」
カルダの言うとおりだった。緑のない茶色一面の世界では、まるで心まで荒んでしまいそうだった。
やがて、川が見え始め、隼人一行はその川の上流を目指すのだった――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます