第48話
そこには確かに街があった。
その街は、一言で言うなら茶色一色で、全てが土に覆われていた。道路も建物も。
「街だ、日陰だ、いや、酒だ、酒を飲ませろ」
「私たち未成年よ」
「お前らはジュースでも飲んでろ」
むっとする相沢を気にも止めず、カルダは酒屋へと走るのだった。
仕方なく、残りの四人は後をつけるのだった。
「いらっしゃい」
カルダはカウンターにつくと、さっそく注文していた。
相沢には、その姿は、まるで舌を出した犬の様に見えるのだった。
「ぷはぁ、生き返るぜ」
「お客さんたちは観光で訪れたんで?」
「私たち、土のエレメントを探しに来たんです」
「土のエレメント?」
そう発し、マスターは考え込んでしまう。
「ご存知、ないですか?」
「はるか南西にあるたぁ聞いたことはあるが」
その言葉に、相沢はカウンターを乗り出した。
「その、正確な位置はわかりますか?」
「さぁねぇ」
「そう、ですか。
詳しい方はご存じないですか?」
「すまねぇが、それも分からねぇ」
「ありがとうございました」
方向を聞いた時の相沢の顔とは打って変わり、今はがっかりという表情が顔じゅうに現れていた。
ただ、飲物を飲んだおかげか、みんなの顔には笑顔が戻り、カルダは酔った勢いで、ノークをからかって遊んでいた。
そして酒屋を出た五人は、情報を求め、街中を聞いて回ったのだけど、結局有力な情報はつかめず、南西ということしかわからなかった。
「水も手に入れたし、探してみるしかないな。悠長なことをしてる時間もないしな」
カルダのその言葉に、一行はまた土の大地へと乗り出すのだった。
◇
ザザザザザ
「隼人構えろ」
土の大地に出てしばらくたったころだろうか、土ぼこりを上げ、彼らに近づくものがあった。
それは、固い皮膚に覆われ、地面を這うように接近してくる。
「トカゲ、でかい」
それは、高さにすると膝の関節ほどの高さまであり、体調は大人三人分といったところだろうか。
突進してくるトカゲに対し、カルダは地面で体を回転させよける。
起き上がるとすでにトカゲの追撃が来ていた。
そいつは口を大きく開けると、カルダを噛みつきにかかる。
ギンッ
カルダは寸ででトカゲの歯にダガーを交えると、その体勢でブルブルと耐える。
隼人は、トカゲの胴体に殴りかかるもそれは固く、次の瞬間には、尻尾で弾き飛ばされてしまう。
「カルダ、目だ」
カルダははっとなり、左のダガーでそいつの目を思いきりつく。
作戦は成功し、そいつは目から血を吹き出すとその場にのたうち回るのだった。
そして、隼人は、そいつの頭に何度も高速回転させたトンファーをお見舞いするとようやく静かになるのだった。
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