第46話


 街に戻った隼人たちは驚愕した。それは、先の雨の影響だろうか、街の半分以上が土砂に埋まっていた。

 五人はその光景を見て、わなわなと震え、しばらく動くことができなかった。


 僅かながらもお世話になった街、それがあんな姿になってしまうとは思ってもみなかった。

 家屋は無残にもつぶれ、おそらくは生き埋めになった人たちも複数いるだろう。


 隼人は困惑した、なぜ街がこんな仕打ちを受けないといけないのか。

 思い当たるとすればエレメントの力が弱まり、このような事態を発生させたのじゃないかと、隼人はそう考えた。

 そうなると、その原因を作ったのは先の呪術を求めていたという人間ということになる。


「土砂、エレメント」


 隼人は、ぼそりと、そう口にする。


「きっと土のエレメントね」


 相沢がそう続けるのに対し、カルダはその言葉を遮る。


「水もだ」


 それはすべてのエレメントがバランスを崩し始めていることを意味していた。


「急がないと手遅れになる」


 隼人たちは改めて震えた、エレメントがもし全て崩れてしまえばいったいどうなるのか。

 そして、彼らは教会へ急いだ。木のエレメントの報告と、教会なら今の状況の詳細を知っているはずだと、そう考えたからだ。





 その協会は幸いにも、土砂の災害からは免れており、あらかたきれいなまま残っていた。

 教会には神聖な力が宿り、災害などに見舞われることも少ないときく。この教会もその例外ではなかったのかもしれない。


 教会にたどり着くと神父が直々に出迎えてくれるのだった。


「戻ったか。状況はどうであった?」


 そして、彼らは森で起こったことをかいつまんで話すのだった。


「法陣が消えかかってたと」


 そして、神父は考え込むようにこう続けた。


「だが、先の土砂災害それで頷ける

 一刻の猶予もないようだ

 急いでくれ」


 部屋に据えられた法陣を眺めると、周りの法陣もすっかり輝きを失い、もはや風前の灯だった。

 五人一行は深く頷くと、その部屋を後にし、次の地へと向かった。





 そして、教会の入口に来た時だった。

 なんだか様子がおかしい。


「やっと見つけたぞ」


 細身の体に、ロングヘアのそいつは、煌びやかな服を着て、鞭のようなものを持っていた。

 その後ろには、数名の衛兵が控え、カチャカチャと甲冑の音を鳴らしていた。


「捕らえろ」


 その号令に、数名の衛兵は剣を抜き、隼人たちに襲い掛かる。

 それにいち早く反応したのはノークだった、小さなナイフを取り出すと、いつでも来いという体勢を取るのだった。

 相沢は、それを制し、前に出るとエレガント?を構える。


「ペルソナ」


 隼人は振りぬかれた刀を半身でかわすと、腹部に膝蹴りを一撃、そして、そのまま、背中に、トンファーを握った拳を突き刺す。

 カルダも負けじと、体を回転させよけると、相手の膝裏めがけて蹴りをお見舞いし、相手が大勢を崩したところに、鎧の隙からダガーを差し込む。


「きさまらぁぁぁ」


「炎!」


 相沢は、後方から駆けつける衛兵に、火の玉をお見舞いする。

 火の玉で衛兵がひるんだところに、隼人がすかさずタックルをお見舞いし、体を少し引くと、腹部にトンファーの一撃を加える。


「役立たず共が」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る