第45話
彼らが外に出ると、雨が降っていた。
空はすっかり暗くなり、灰色の重たい雲が空を埋め尽くしていた。
「少し様子を見よう、下手に行動するのは危険だ」
カルダのその言葉に四人は引き返し、また法陣の元へと戻るのだった。
隼人はというと、相変わらず、空から降りしきる雨に見入っていた。
カルダはそこらに散らばる枝やら、枯葉やらをかき集めると、また器用に簡素な焚火を作り上げた。
相沢は、しばらく経っても戻らない隼人が心配になり、少し様子を見に行くことにする。
「雨脚強くなってきたわね」
隼人は相変わらず、外をじっと眺めていた。
「雨は好き?」
そう問われるも、隼人はただ首を横に振るだけだった。
「隼人君、覚えてる?
あの日もこんな雨の日だった」
相沢がそう話し始めるのに、隼人は静かに耳を傾けた。
「私が傘を忘れて雨宿りしてたら、男に強引に誘われそうになったの。
そこに隼人君が現れて、助けてくれたの
それで、隼人君どうしたかって言うと
自分の手に持つ傘を置いて、どこかに行っちゃった
私を置いて行っちゃったのよ、自分はずぶぬれになって」
その話を聞いて、隼人は考え込むようにしてた。
「覚えて、ないっか」
「隼人、相沢、飯できたぞ」
そう奥からカルダの声が聞こえる。
「お腹すいたね、行こう」
そして、相沢は隼人の手を取ると、カルダたちの元へ向かうのだった。
◇
「雨やまねーな、もう二日になるぞ」
雨脚は収まらず、あの時からずっと降り続いてるのだった。
「食料も尽きそうだ、それに何より寒い」
降りしきる雨は空気を冷やし、内部にまで冷気を運んでいた。その風はほんとに冷たく、手足をかじかませた。
辺りに散らばる枝もすっかり使い果たし、頼みの綱の焚火もその勢いを失いつつあった。
「明日の朝までだな、もし止んでいなければ強行するぞ」
◇
翌朝、カルダは外に出天候を確かめてみると、幸いにも雨は上がり、青い空が顔を覗かせていた。
足元はの草には水滴がまだ残り、所々水たまりも見受けられたけど、空気は驚くほど澄んでいた。
「おい、お前ら、雨あがったぞ」
残り四人もぞろぞろと外に出ると、その美しい光景に目を見張るのだった。
そしてカルダは、3日間狭い部屋に押し込められ、くたびれたであろう体を大きく伸びをすると、皆を街へといざなう。
「行くぞ、ここにはもう用はない」
そして、隼人たち一行は再び街への帰路についたのだった――――
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