第30話
男はミーナの手を引き、連れて行こうと考えていたけど、ミーナは動かない
というより、動けなかったのだ。
仕方なく、男はミーナを担ぎ上げ、運び出すけど、ミーナの体が軽すぎるためか、
苦労することなく難なく運べるのだった。
広場にはすでに用意されており、ミーナは暴れないようにと、手足をガムテープで縛られ
口をふさがれた。
だけど、当のミーナには暴れる気などこれほどのなかった。
ミーナの体はくたりとし、抵抗する気などまるで見せなかったのだ。
そして、ミーナの処分のために用意されたのは、
木材チッパー
それは、木材を細かく裁断するための機械で、投入すれば、指先より小さい粒に裁断される。
一度、人を投入すれば、皮膚が破れ、肉はおろか骨までも細かく砕かれ、見る影もなくなるだろう。
一人がついそれを想像してしまい、嗚咽を漏らす。
「兄貴、トイレいってきやす」
そして、その男は、盛大に胃の中のものを戻すのだった。
皆胃液で口の中を酸っぱくしながら、作業を進める。
裁断歯を回転させ、ミーナを担ぎ上げると、ゆっくりとそこに近づける。
ミーナは死期を悟った、やっとこの世からおさらばできるのだと。
やっと楽になれるのだと。
そして、ミーナの髪が、回転する裁断歯にかかる。
「ペルソナ」
「なんだお前ら」
男が武器を抜く間もなく、隼人はみぞおちに一撃を入れる。
「カルダ、行くぞ、数が多い」
そう言われ、カルダはナイフを抜き戦闘に備える。
「お、おう……」
そんなカルダ目掛け、刀が振り下ろされるのをすかさず、隼人は手に持つトンファーではじき返し、
腹部に蹴りをお見舞いする。
「ぼやっとするな」
カルダは姿勢を低くし、一人の間合いに素早く入ると首筋をなぞる。
首からは血が噴き出し、その男は地に伏す。
隼人は振り下ろされる刀を後ろに飛びのき、かわし、カルダもまた、突き出された刀を飛びのいてかわす。
背中合わせになったカルダは、隼人に問いかける。
「いつもこんなことやってるのか?」
「うらあああああああ、しにくされえええ」
大きく刀を振り上げ、突進してくる男に、隼人は姿勢を低くし、相手の間合いを詰め、顎へ強烈な一撃をお見舞いする。
男の歯は飛び散り、そのままダイレクトに、後頭部から地面に突き刺さる形で倒れこむ。
カルダも負けじと、懐に飛び込むと、心臓を一突き。
どっと、鈍い感覚が走り、男は倒れこむ。
「片付いたな」
隼人は、武器を収めると、それを見て、カルダはコクリと頷く。
遠目から見ると、それは芋虫のようにも見えた。
それに走って近づき、ガムテープを丁寧にはがすと、やはりその子はぐったりとし、反応一つしなかった。
「ダメだ、飯と医者だ」
そして、隼人はその子を背負い、医者へと急ぐのだった。
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