第9話
そしてついにグループのまとめ役であるアルビノが動き出す。
アルビノは今までのことを総合し、考えを巡らせていた、
その答えが、ようやく出たようだった。
「あんたら、正直どうなの」
そうリリアに詰め寄る。
それを受けたリリアの返答は少し意外なものだった。
「トビーのこと嫌いじゃないし、正直気になってる」
アルビノ含め、は定かじゃないけれど、他の皆は少なくとも、リリアは嫌がっていると思っていた。
「なるほどね」
アルビノは頷くと、深呼吸のように息を吸い、再び口を開く。
「じゃぁ、ノークのことはどう思う?」
相変わらずアルビノの考えていることはよくわからない。
だけど、聞かれたリリアは思ったことを正直に答える。
「あの子、言ってることは正しいんだけど、なんていうか、正直うっとおしいよね」
それを聞いたアルビノだったけど、無反応を決め込み、また何かを考えているようだった――――
◇
公園に集まっていたドール達だったけど、それはいつもと雰囲気が違っていた。
皆どことなくよそよそしく、いつものような楽しそうな雰囲気はなかった。
たまりかねたノークが口を開き、アルベルトに何があったのかと訪ねる。
「お前、裏で俺たちの悪口言ってるらしいな」
それを聞いたノークは当然信じられなかった。
ノークの頭にはみんなと仲良く楽しく過ごしたい、それしかなく、
悪口なんて言ったこともなかった。
「お前、前喧嘩してたろ、その矛先そのうち俺たちにも向けるんじゃないか?」
思い当たる節はあった。
カムラが隣町の子に絡まれていて、それを助けた時のことかもしれない。
その喧嘩というのが少し特殊で、それはノークの正義感ゆえか
過剰なまでの、撃退だった。
その相手は、体もフラフラで、加えてノークの言葉で心も傷つき、言葉を口にすることすらできなくなっていた。
一見すると完璧なまでの撃退だった。
「リリアもノークのこと嫌っているみたいだ」
ノークは、リリアの顔を伺い見た。
だけどその反応は冷たいもので、目を合わせることもなく、そっぽを向いてしまうのだった。
「みんな、急にどうしたの?
僕はいつもみたいに、みんなで楽しく遊びたいだけなんだ」
ノークの頭は混乱していた。今まであんなに仲良くしてたのに、なんで急に。
「とにかく、ノークとはもう遊べない
悪いけど、もうここに来ないでくれ
俺たちはもうお前の友達じゃない」
ノークには何があったのかさっぱり分からなかった、今まで仲良くしてた友達の急な裏切り。
それは、ノークの今までの些細な行動の積み重ねであることを、知る由もなく。
その裏でアルビノが手をまわしていたことも、知る由もなく。
◇
「ノークは切る、あの子はこのグループにはふさわしくない」
アルビノは決断したように、そう皆に話す。
それは、アルビノが考えに考えた結果だった。
それを聞いた皆は、最初は反対したものの、だけどという気持ちが心のどこかにあった。
それはほんとに小さな塊の集まり、心のちょっとしたチクリが重なったものかもしれなかった。
「あの子が来ても話しかけてはだめ、それから……」
アルビノの指示は的確だった、それはノークを追い詰めるには十分すぎるものにも思えた――――
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