第5話
場面変わって、街外れの公園では仲良しグループ8人が
いつものように集まり、楽しそうに談笑している。
「今日果物屋のおっさんに、リンゴもらったんだぜ」
「いいな、俺にも分けろよ」
「ダメだ、これは家族にあげるんだ」
彼らドールは、年の頃13才前後くらいだけど、身長や体格はまちまちだった。
マイケルに、トビー、カムラ、リリア、ノーク、アルベルト、グリム、アルビノ
それが彼らの名前。
彼らはよく、街外れの公園に来ては、ボールを使って遊んだり、
鬼ごっこや、かくれんぼをしたりと、楽しい時間を過ごしていた。
だけど、最近のお気に入りといえば、チャンバラだった。
ノークがトビーの懐に飛び込み、ノークは刀を振ろうとするけど
間合いが近すぎて、不格好にもつれ合って2人して倒れこむ。
そんな姿を見て、みんなで笑い声をあげたり、声援やアドバイスを送ったりする。
「ノーク、そこで刀振らないと」
「無理だよ、近すぎる」
「いてて、ノークよくもやったな」
「トビーがよけないからだよ」
決して上手ではなかったけど、彼らにとってはそれが楽しかった。
「明日もやろうな」
アルベルトがそう言うと、みんな一同に頷いて、賛同の声を上げる。
日はすでにすっかり傾き、空は赤みがかっていた。
そして、皆それぞれの帰路につく。そのはずだった。
リリアはいつものように家への道を歩いていたのだけど、
なんとなく、背中に視線を感じていた。
曲がり角を曲がっても、橋を渡っても
それはずっとついてくるようだった。
それは家に帰るまで、途切れることはなく。
ここ数日その正体不明の視線をずっと感じていたのだった――――
◇
彼らドール達は今日もまたいつものように街外れの広場に来ていた。
その日はまだ数人しか集まっておらず、皆が来るまでおしゃべりをしていた。
「トビー、リリアのことが好きらしいよ」
茶化す様に、グリムが口を開く。
好きだの嫌いだのっていう話は、いつの歳もみんな大好物で
少しでもそんなそぶりをすればうわさが広がる。
「見てれば分かるよ、だってトビー、リリアにばかりちょっかい出してるし」
カムラはそんなこと当たり前という風に言葉を返す。
トビーは何かとリリアの見方をしていたし、近くに行きたがっていた
そんな姿をカムラたちは見ていたのだった。
「ふぅん」
興味がないのか、何か考え事をしているのか、そっけない返事をするのはアルビノ。
アルビノはこのグループのまとめ役をしていて、頭のいい賢い子だ。
「そんなことよりさ、服屋のリリィさんかわいいよね」
皆楽しそうに話すその姿はほんとに微笑ましく、
通行人もそんな彼らの楽しそうな姿を見て心癒されるのだった。
「ごめん、遅くなった」
遅れてきたみんなも合流し、またいつものようにチャンバラを始めるのだった――――
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