第5話


 場面変わって、街外れの公園では仲良しグループ8人が

 いつものように集まり、楽しそうに談笑している。


「今日果物屋のおっさんに、リンゴもらったんだぜ」


「いいな、俺にも分けろよ」


「ダメだ、これは家族にあげるんだ」


 彼らドールは、年の頃13才前後くらいだけど、身長や体格はまちまちだった。

 マイケルに、トビー、カムラ、リリア、ノーク、アルベルト、グリム、アルビノ

 それが彼らの名前。


 彼らはよく、街外れの公園に来ては、ボールを使って遊んだり、

 鬼ごっこや、かくれんぼをしたりと、楽しい時間を過ごしていた。

 だけど、最近のお気に入りといえば、チャンバラだった。


 ノークがトビーの懐に飛び込み、ノークは刀を振ろうとするけど

 間合いが近すぎて、不格好にもつれ合って2人して倒れこむ。


 そんな姿を見て、みんなで笑い声をあげたり、声援やアドバイスを送ったりする。


「ノーク、そこで刀振らないと」


「無理だよ、近すぎる」


「いてて、ノークよくもやったな」


「トビーがよけないからだよ」


 決して上手ではなかったけど、彼らにとってはそれが楽しかった。


「明日もやろうな」


 アルベルトがそう言うと、みんな一同に頷いて、賛同の声を上げる。

 日はすでにすっかり傾き、空は赤みがかっていた。

 そして、皆それぞれの帰路につく。そのはずだった。


 リリアはいつものように家への道を歩いていたのだけど、

 なんとなく、背中に視線を感じていた。

 曲がり角を曲がっても、橋を渡っても

 それはずっとついてくるようだった。

 それは家に帰るまで、途切れることはなく。

 ここ数日その正体不明の視線をずっと感じていたのだった――――





 彼らドール達は今日もまたいつものように街外れの広場に来ていた。

 その日はまだ数人しか集まっておらず、皆が来るまでおしゃべりをしていた。


「トビー、リリアのことが好きらしいよ」


 茶化す様に、グリムが口を開く。

 好きだの嫌いだのっていう話は、いつの歳もみんな大好物で

 少しでもそんなそぶりをすればうわさが広がる。


「見てれば分かるよ、だってトビー、リリアにばかりちょっかい出してるし」


 カムラはそんなこと当たり前という風に言葉を返す。

 トビーは何かとリリアの見方をしていたし、近くに行きたがっていた

 そんな姿をカムラたちは見ていたのだった。


「ふぅん」


 興味がないのか、何か考え事をしているのか、そっけない返事をするのはアルビノ。

 アルビノはこのグループのまとめ役をしていて、頭のいい賢い子だ。


「そんなことよりさ、服屋のリリィさんかわいいよね」


 皆楽しそうに話すその姿はほんとに微笑ましく、

 通行人もそんな彼らの楽しそうな姿を見て心癒されるのだった。


「ごめん、遅くなった」


 遅れてきたみんなも合流し、またいつものようにチャンバラを始めるのだった――――

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