Another

ホットミルク

 ちゅぱちゅぱと、音を立ててナモミはソレにしゃぶりついていた。

「ナモミ様、いつまで一人でしゃぶっているのですか。そろそろ私も欲しいです」

「せやで、ナモナモ。うちの分も残してな」

「ん……んん、ふぅ……らって、おいひぃんらもん……」

 口元を白くどろどろと汚した顔で、とろけそうな表情を浮かべる。

 俺のが大層お気に召した様子が見てとれる満足の笑みだ。

「へぇ~……そんなにいいんス? それならボクも頂きたいッス」

 興味を示してもらえるのは悪い気はしないが、お前らこれが本来はお前らの食べ物じゃないってことを忘れていないか?

「それにしてもゼックンも凄いなぁ、こんなに沢山作れるやなんて」

「これも子孫繁栄のためだ」

 自分でもまさかこんな量になるとは思ってもみなかったが。

「いい心がけッスね!」

「はぁ~ゼクのミルク、本当になかなかの出来映えね」

「お前もそろそろその哺乳瓶を手放したらどうだ?」

 まるでお前が赤ん坊みたいじゃないか。

「これくらいに調整できれば十分か?」

「そうですね。このまま採用できそうです」

「ふぅ……料理も楽じゃないな」

「ゼックン、うちにも哺乳瓶出してぇな」

 まったく、この母親ときたら、子供の飯を取り上げる気か。

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