終幕
閉店『羽村さん、また明日』
「はぁ、くたびれた。もうアイツの車には乗らないからな。どんだけ金積まれても絶対に乗らないからな!」
事務所に戻る階段で、俺は本人が居ないことをいいことに、大声で宣言した。
仕事自体は問題なく終えることができたのだが、その代わりに受けた被害には文句の言葉しか出てこない。
これが俺の新たなる不幸の温床として定着しないことを祈ろう。
「あはは、最初はびっくりしましたけど、私は途中から慣れました」
さらっと何を言い出すんだこの子は、と俺は目を丸くした。意外と
「それでは、今日はこれで帰ります」
「ありがとさん、急に仕事付き合わせちゃって悪かったね」
「とんでもないです。それでは
「おう、気をつけて」
いつの間にか、こんなやりとりが当たり前になっていた。とはいえ、こんなやりとりもいつかは終わる。
清子くんだってずっとここで働くわけではないし、俺も正社員なんて雇えないわけで、遠くない未来にそれは当たり前ではなくなるのだろう。
だけど俺は、清子くんがここに来ることを望む限り、「また明日」という約束だけは守ろうと思う。
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