この作品は非日常的な設定はありません。部活やアイドル活動などでバトルするような要素もありません。ありふれた女の子が普通の女子校に編入してぽわぽわ百合ライフを送るという作品でございます。
このタイプの物語は面白さを維持するのが難しい印象があります。なぜなら派手なシーンが作りづらく、物語を盛り上げるのが大変だからです。ですが、この作品は現実という厳しい制約のなかでトラブルを作り上げ、きちんと立ち向かわせているのが印象的でした。加えて、世界観に引き込まれやすい理由として、舞台設定がちきんと肉付けされているからというのも一つでしょう。あと、百合のシーンがほのかにいろっぽい。
私の求めた百合小説の理想型は、このようなものかもしれません。特殊な世界観でなくても、登場人物の魅力を引き出すことができる。少女たちの爽やかな日常を実感することができる……。
これからも楽しみに読ませていただきます。