第3話 初めての・・・
8人の志麻たちと神崎で林明高校野球部。それは言い換えると『8人の女子高校生と1人の男子高校生で構成される林明高校野球部』という、世界中探しても見つからない野球部だ。そんな、高校野球部に、神崎は入部するのだ。
「あんたたちと俺で・・・野球部・・・」
中学時代は日本代表にも選出されたので、さまざまな野球少年を見てきた神崎だが、神崎以外の部員がわずか8名。それも、『全員が同一人物』こんなマンガみたいな話が、目の前に実在している。そのうち、志麻の1人が神崎に近づいてきた。その時、シャンプーの香りがほのかに匂った。
「ねえ、神崎君だっけ?」
「え、ええ・・・」
若干、神崎のより志麻の背が小さいので、神崎の視点から見れば志麻が上目遣いをしているようにも見えてきて、ドキッとした。
「私たちと勝負しない?」
「はあ?」
「だから、勝負するのよ。私たち8人と神崎君が!」
「はあ!?意味、分かんないよ!!何で、志麻さんたちと俺が勝負しなきゃいけないんだよ!」
「君がどのくらい強いのか知りたいの!日本代表に選出された神崎君の実力をね!」
1人の志麻が堂々と言った後、ぞろぞろと残り7人の志麻たちが近づいてきて、数の力を知ることなる。しかし、神崎は自分の実力を知りたいと聞かれて、考えが変わった。このくらい男子相手に言うくらいだから、もしかしたら彼女は強いのか?と考えた。今までも、たくさんの選手と対戦したことがあるだけに、この8人の志麻たちからも、今までにないオーラを感じているのだ。また、神崎もバッティングの練習もしたいと思っていたので、変な感じではあるが、勝負することになった。
「分かった。あなたたちの実力は分かりませんが、そこまで言うのであれば勝負する。全力でな」
軽くアップをさせて、神崎は打席に立つ。マウンドには『投手の志麻』が立っていた。全身緑色のユニフォーム。胸には『RINMEI』と書かれたロゴだが、胸が大きく神崎は極力見ないことにした。ちなみに、神崎は異性との付き合いはない。ちなみに、『投手の志麻』の球を受けるのはもちろん、志麻だが、正捕手ではないそうで、『外野の志麻』が捕手をすることになった。
「勝負は3打席勝負!いいわね!?」
「ああ!」
ちなみに、女性の投手で世界最速が137キロで、日本最速は126キロ。男子に比べるとやや遅いが球威はある。果たして8人全員同一人物チームと日本代表選手はどちらが勝つか。
志麻がゆっくりと投球フォームに入る。両腕を上げると同時に、左足を下げる。そして、足に力を入れて、腕を大きく振りかぶって投げた。
バアン!!
キャッチャーミットに収まった音が聞こえる。神崎はバットを振れてない。いや、振れなかったのだ。それもそのはず、志麻が投げたボールは今までも数えるほどの人数しか見たことのない球威だから。
「・・・入っているよ。ど真ん中に」
捕手の志麻が神崎に伝える。神崎も捕手だけに分かった。
「ああ・・・。これは、すごい選手だな・・・」
8人と俺 アクティブ @is1296
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