光を仰ぐ
夜明けはまもなく訪れた。遥か頭上の海面がステンドグラスのように光を通し、あまりに深い底である私のいるところまではとても届かないが、深海は薄ら明るく、やっと伸ばした手が見えるくらいになった。眩しくもないが手を翳す。美しいブルーに輝く楽園はとても小さく見える。浮力がなく、足も動かず、息が出来るだけの私がどうしてそこへ行けようか見当もつかないが、焦がれるような気持ちはただ見つめることでしか表せない。光差す限りそうして見上げていようと思った私の身体を、背後からぶつかってきた強烈な衝撃が押し上げた。大小の泡が生まれるそばから身体の後ろへ流れていき、ぐんぐんと明るい海面が近づく。待ってくれと思う間もなく、水を割く光の渦に、飲み込まれる。
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