色を追う
唇を撫でていった硬質な冷たさが、カラリと澄ました音でグラスを鳴らした。万華鏡のように血の色を映し返す煌めきが喉を滑り落ちる、一瞬の愉悦。唇へ、舌へ、臓腑へ、染み渡る罪の味わいがくらりくらりと脳髄を犯す様が、血潮を舐め尽くす吸血鬼のようだ、と詮無い妄想を掻き立てる。深い紅へ沈む白い肢体を追いかけて溺れる夢を見る。グラスの脚にかかる繊細な指を縛りつける願望に震える。一夜の幻のように、甘美な夢が舌先に転がる。
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