バナナストラップと、ひっぴーだましい。

 空腹だからと、がぶりと噛まれた。他者の口内を通じ、自分の皮膚へ熱と、湿り気が広がった。犬歯がじわりと肉へ突き刺さっていくのを感じ、不意に笑いが込み上がった。狼の群れに迷い込んだ気分。

(そういえば、あおにさいということばをつかっているひと、はじめてみた。おもしろくて、れぺてーりぴーとした。)


 ばんくしーおじさんはやっぱすげーな。憧れちゃうわ。シュレッダーで自分の絵をちょきちょきしちゃうとか、痺れるーーーーー!!!

 ばんくしーおじさん好きだぜ!!


 青二才くんと話したこと。

「バンクシーすごいなっ」

「うん、すごいね。めっちゃ高いしね!」

「……。お金のために買おうとした人には、嫌なことだけど」

「うん」

「アートが好きで、アートが欲しい!っていう人には、新しく手間が加えられたから、アートの価値が上がるかもね。だからお金値段がもっと高くなる!」

「確かにねっ!それをやったのも、アーティスト自身だし。すごいなぁ」

 青二才くんは、アーティストになるんだって。いいなぁ、かわいいなぁ。


「愛は危険なものだ。だから好きだ」


 映画、『イヴ・サンローラン』を観た。艶やかで、愛に溢れている、芸術的な人生。そして、時折見えてくる、鬱的部分。人間だぁ……。ルルとベティー、可愛い。サンローランとピエールの戯れも、心揺られて、フリルの1ピースになって気分。

 イブ・サンローランはリップに描かれた、ロゴが好き。可愛い。シンプルながらも、オートクチュール感のあるフォント。かわいい。


「自分を失くすな。」「自分を安くするな。」

 そういうことを言うなら、教えて欲しい。私はなに。どこにあるの。どういうひとなの。なにをしたの。わからないの。わからないの。わからないの。もとから、何もないような気がしていて、中指の歪み具合と同じに、月日が経つごとに、ぐねりぐねり、がたっ。崩れゆく。ジェンガなんだよ。砂のお城なんだよ。もしかしたら私の本体、メガネかもね。(君の言っていたこと。絶対違うと信じたい)


 なんとも言えない友人と、「光の魔術師」と呼ばれている方の展示会へ行った。有名な青よりも、赤が目立つ絵画が良いという結論に二人とも陥った。

 一人帰宅する頭で「なんとも言えねぇな」と思い出し、日曜日にまた会う約束をした。(結局、めんどくさくなって勝手に辞めてもらった。)


 なんだか、アーティスティックな一日だった。

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