九月です。エアコンで、台風で、何だか寒い日々です。

空虚たる色彩が、蜂となる。

 うねりは止まらず、ぬめりは泣かず。物言わぬ唇を噛み付き、髪をかきあげる。ねぇ、お願い、話して。腰元を抱き寄せる腕。隣の部屋から、聴き慣れた歌声。WILKINSONだけが、目撃者。ねぇ、お願い、魅せて知って。星屑のように、炭酸が弾けて飛び回る。歳を取らない世界の少年。ここに来たら、大人になってしまうよ。気をつけて、気をつけて。雌猫がまたも、甘ったるく鳴いている。


 友人と、ずっとしたがっていた花火を行なった。舞台はいつもの公園で、何度も看板に向かっては「花火禁止」と書かれていないか、確認した。(書いてあったのは、犬を放つな、騒がしくするな、酒を飲むな。そんなことばかり。「花火」の文字は見えず)

 建物に閉じ込められている公園で、ベンチに座り、ろうそくに炎を灯す、そちを眺める。

 開けっ放しの窓。通り行く自転車。風に揺れる洗濯物。彼女が吐いたという、アスレチック。少しでも長く見ていたくて、「私、最後にやるね」と声をかけた。

 渡されたのは、線香花火。一色に光ったり、虹色だけだったり。しゅわぁっと炭酸に似た音を発しながら、火花の滝を見せてくれた。しゅわしゅわしゅわしゅわぁあああしゅわしゅわしゅわしゅわぁるーぷ。煙がぶわぁあああああまっくろくろすけ。自転車が途中で通り過ぎ、火の粉が燃え尽き、光を無くした。しゅーりょー。帰りの会でございます。ごみをきれいにかたずけ、くすくす、せかせか、にこにこ、にやにや。さぁ、みなさんもいっしょに。ぽりすめんがくるまえに、にげろーっ!


 隣人を気遣いながら、濃ゆい煙を辺りに撒き散らし、火花を咲かせた。綺麗。


 あなた、自分で気付いているのか知らないけど、すごい楽しそうな顔をしているのよ。私、物足りなく感じたのが、恥ずかしかったぐらい、楽しそうで。楽しそうで。安堵。緑色のボトル。ガーリック味。ホームメイド二郎。寿司とラーメンの動画。サイドB。そして、花火。楽しい。ありがとう。お疲れ様。


 暑いのか、寒いのか、わからない日々。

 日曜日はゼルダを遊んで本を読んで、いつの間に夜になっていた。(きっと、完璧に起きたのがお昼だったから、一日の時間が足りなかったんだね)

 土曜日は疲れて、寝ては起きては繰り返していた。(朝ごはんを作る気力もなくて、十時にパンケーキを作ろうぜと言いながら、ごろりんちょ)

 金曜日は予定もなく、ふらりとマリオカートを争って勝って、大きなたこ焼きを食べて、花火をした。(初めてあんな大きなたこ焼きを食べた。お肉とかも入ってて、贅沢でした)

 木曜日は、何したっけ。記憶がふっとびまん。きっと、いつも通りの私だったんだろうなぁ。ねむいよう。


 目が覚めたら、君の匂いがした。

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