火消魂を心に秘め。

 全然書けてなくて、なんだか寂しくて、川で騒いだのを思い出して、また行きたいと呟く。呟く。つぶやく。つぶ。つぶつぶで出来た私たち。原子は私。私は原子。幻想的ね。


 疲れちゃった。と言いそうになり、思わずその言葉を飲み込む。何度も繰り返し言っているような気がして、気持ち悪さを感じた。闇鍋がしたい。


 ちびっこいガキンチョは「うんこ」やら「うんち」という言葉が好きだ。何故だろうと考えていたら、小学生時の思い出が蘇った。


 それは親友が起こした驚きであった。詳しくは覚えていないけど、ある日のことだった。親友はある言葉を発したのである。恥ずかしげもなく、ニヤつきながらでもなく、小声で言ったでもない。「いい天気だね」と天を仰ぐように、平然と「うんち」と言ったのである。単語だけではなく、何かしらの文章であったが、残念ながら深くは覚えてない。だが私は英雄たる表情を見せる彼女に、大きく目を見開いた。


 こいつ、「うんち」を恥ずかしがらずに言った!すげぇー!


 マジックを初めて見るような私に、彼女は照れたような笑顔をし、こう言葉を続けた。


「だって、ただの言葉でしょ」


 私は酷く、彼女の姿に感動してしまった。こいつに、一生付いて行こうとも、誓った。そして、今でもその当時の様子を瞼の裏に映し出せるほど、鮮明に覚えている。それほど驚いた。


 結局、その時から六年ぐらい経ったが、未だ連絡を取り合っていない。


 川上弘美の東京日記『卵一個ぶんのお祝い。』を読み終わる。やっぱ、この人好きだなぁ。ゆるすぎる空気に触れ、心を落ち着かせる。

 するとなぜか、穂村弘さんを思い出した。あ、同じ漢字だからか。同じく、ピンクの象を思い出す。ヘンテコな短歌ばかり書いている人なのです。

 私は彼に惚れたから、ゆっくり瞬きする特訓を始めようと思う。そして関係あるのかないのかわからないけど、『もしもし、運命の人ですか。』と『絶叫委員会』というエッセイ集が面白かったから、全力で絶叫しばがらオススメする。面白かったよぉおおおおおおお!!!


 母からワンピースを二つ渡された。カーキーのと、オレンジ色。また、似たような色を着ていると、師匠に言われる気がする。(多分、言う) 「お前さん、またその色か」的。

 この前はオレンジ色のスカートとBack To The Futureと書かれたTシャツを着たところ、ハロウィンみたいだって言われた。靴屋のお姉さんにも聞いたところ、少し悩んでから「ピンクが足りない」と言われた。


ピンク……。


 自分を「」と呼び、「善哉よきかな」呟く四十のおじさんのエッセイを読む。それを一人ニヤつきながら、電車に乗る。思わず入り込みすぎて、通り過ぎそうになり、急いで顔をパッと上げる。善哉、善哉。一緒になって、心の中で呟く。


 カーテンを洗濯した。風に揺れるたび、洗剤の香りが漂ってうっとりする。善哉。

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