「わからない」と叫ぶだけではダメだと、わかってる。わかってるけど、それ以外に何も言えなくて……。

 いろんな人が「あなたは強いね」って言ってくれた。母も、「私なんかよりも、ずっと強い子よ」なんて言ってくれたのに、電話越しの言葉は「もっと強くなりなさい」だった。私は、弱いの? 強くなかったの? 人と話すたび、わからなくなっていく。


 私ね、強さと弱さは一緒にあるべきものだと思う。陰陽みたいに、強いものには絶対、弱いものが含まれていると思う。だって、強い人なんて、完璧人間になっちゃうじゃない。ちょっとぐらい、欠点、短所があってもいいと思うの。じゃなきゃ神になっちゃう。


 漠然とした「やりたいこと」ばかりが浮かんできて、鮮明に細かなものが作れない。「本当にそれがやりたいの?」「それでいいの?」なんて聞かれたら、「なんでもいいよ」って答えちゃう。「なんでもよくないでしょ」「自分で選んで」「やりたいことをやればいいのよ」なんて言われても、わかんない。わかんないんだよ、そんな急に言われても、なんでもいいんだもん。


 夢がある人が羨ましい。

 やりたいことがある人が羨ましい。

 未来の計画が描ける人が羨ましい。

 私は……何もない。


 どこから始めればいいのかわからなくて、どこから触れればいいのかわからなくて、たい焼きも頭からか尻尾からか、どちらから食べれば正解なのか、未だ答えがわからない。

 私、本当は数学大好きだし、勉強も、いつどこで使えるのかもわからない知識を学ぶのだって、大好きなの。けど、わからなくて……わからなくて、迷って、変な方向に突っ走って、転んで、戻ってしまう。後ずさり。


 今の所、私の中にあるやりたいことは、自分と同じような子を助けることだけ。どうやってかはわからないし、どう学べばいいのかも、わからない。先生になればいいのか、カウンセラーになればいいのか、小説家なのか、アーティストなのか、宇宙飛行士なのか、冒険家なのか、女優さんなのか、警官なのか、研究者になればいいのか、わからない。全ての知識が欲しい。世界中にある、素敵ですごいknowledgeが欲しい。


 漠然とした、何か。曖昧模糊。ぼんやりと、色だけを残す。形はない。枠もない。私の言葉は、未だない。

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