いつもそんな発見ばかりしている私です。

 とてつもない疲労と眠気を感じ、ベットに横たわった。残り少ない力で毛布を引っ張り、冷えている体を覆う。滑らかな生地がくるぶしを撫で、やっと休めると安心した。

 両腕で顔を覆い、光を遮り目を休める。そうして、鼻をすする音だけを発して、岩になる。

「眠いのなら、ベットをつくって寝なさい」

 母がそういうのだけど、そんな体力は残っていない。短く唸り、返事をする。

「ほら、早く」

 今度は無言。洗い物をする音が、少しして聞こえた。


 ベットメイキングをすると、眠気がどこかへ引っ込んでしまうのは、なぜだろう。

 あんなに眠かったのに、寝床に入るとたん、目がぱっちり。ふしぎなものね。


 ——————


 今日、小学生の女の子が「紅蛇だ!」と言いながら、手を振ってくれた。軽く同じ動作をし、微笑み返す。

 通り過ぎようとしたら「今日も可愛いね」と口説かれた。え、うっ……。

 聞こえなかったことにし、心の中で「ありがとう」返事をした。

 私はこういう時、どう反応するのが、いいんだろう。


 素直に人からの好意に反応できない。どうしても、無視をしてしまう。そして、反応ばかりする人に、「羨ましい」に似た感情を抱いてしまう。

 どうしてそんなに軽く人と接してられるの? 私も、色んな人と話したい。けど、躊躇ばかりしてしまうの。どうやったらいい?

 何度も同じ言葉が脳裏でうごめく。


 今日も可愛い……。


 あまり、嬉しくない言葉。嫌じゃないけど、なんの感情も湧かないのが本音。

 見た目のことを話すのは、少し苦手。遺伝の問題じゃん。とか思っちゃって……ふふっ、駄目ね。

 私も、改善したい見た目、あげられるぜ。背をね、あと五センチぐらいほしい。そうすれば、170!いいっしょ。あとはね、なんだろ。

 顔は、うん。両目の形を同じにしてほしいことかなって思ったけど、やっぱ違うなって。それに鏡がない限り、自分ではわからないからいいやとか、思っちゃう。


 そう、これ。個人的に大発見だった。自分の見た目は何かを反射しない限り、見れないってこと。あ、いま何を今更アホなこと言ってんだ?って思ったでしょ。大丈夫、自分でもそう思ってる。

 顔の欠点とかは、他人から言われないまで、それか他人と比較しないまで、気づかない場合がある。二つとも、他人の目があってやっと、気づくことなんですよ。


 つまり、「鏡」という一つの反射物を通してでのみ、私たちは自らの姿を移すことはできない。そして、何かしらの「反射物」がない限り、私たちは自らの欠点を見つけることができない。と考えることができることを、つい最近発見しまして、自分すげぇとなっているアホの子です。こんにちは。


 きっと、鏡がない世界で生まれた子は、自分へのコンプレックスが少ないんだろうな……と思ったり!!


 まったく、アホです。大事なので何度も言います。私は賢い……ないっ!

 もう皆さん、お気づきだと思いますが、はい。念の為、伝えておきます。

 この前は、鳩を正面から見ると、ボーリングのピンのように見えることを発見しました。つい嬉しくなって、メモを取ってしまったほどです。友人にそのことを伝えると、えぇ、笑いながら言われましたね「アホの子やん」と。「違うし、何言ってんの、違うもん!」懸命に反論しても無駄ですね、はい。もう黙ります。

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