二十夜
頭が痛い。理由は意味の無い音の羅列の【幻聴】が脳内を駆け巡っているから。だから私は薬を飲む。副作用として眠気が襲って来るが仕方ない。薬を飲まなければ音の羅列は消えてくれてない。もう一人の私の声も聞こえなくなるが、仕方ない。【能無し】になって【給料泥棒】と囁かれる位なら私は【幻聴】を聞こえなくする。正直、もう一人の私の声が聞こえないのはキツイ。私にアドバイスしてくれる人がいなくなるのだから……。私は【無能】だ。15本も登録出来ない出来損ないだ。生きる価値なんて無い人間が毎日食べ物を食べているなんて……最悪過ぎる。だからお昼ご飯はあまり食べない。食べたら贅肉になるし、血税を無駄にしている気がするから。贅肉になったら、太った人間になるのだ。重たい人間はフットワークが重たい。登録作業でさえ遅いのに、太って動きが鈍くなったら、死ぬしか無い。血税泥棒は死ぬしか詫びる事が出来ないから……。犬の安否が気遣われるが、血税泥棒は罪だ。死んで詫びるしか無い。
今日も頭の中はノイズが走る。眠眠打破飲んだ方が良いだろうか? そしてコーヒーを飲めば完璧になれるだろうか? またコンビニに行かねば……眠眠打破はコンビニにしか売っていない。スーパーにもあるだろうが、近くにスーパーは無い。コンビニで300円出して買おうか……。うん、そうしよう。ただそうすると薬が飲めなくなる。良く理由は分からないが、薬が効かなくなる。ノイズが頭の中を走るのが辛い。頭が割れる。片頭痛とはまた違った痛み。脳内にノイズが響き渡る。頭の中で合唱している。意味の無い音があふれかえる。音は言う。お前に生きる場所など無いのだと。そんな意味を含んでいるが、私には知った事では無い。この脳内の合唱を止めてくれるのなら、眠眠打破でも何でも飲んでやる。頭が痛い。壊れそうになる。……いや、とっくに壊れているか。私はもう壊れた人間だ。いや、人間より劣るかも知れない。下等生物だ。生きる価値なんてもう無い。死ぬべき人間なんだ。早くペンで眼球をえぐり出したい。そうすれば痛みは和らぐかな? もう嫌なんだ。ほらまた眠くなってきた。眠眠打破の出番だな。あとコーヒーも買わないといけない。そしてまた覚醒するのだ。そうしないと眠ってしまう。4時に起きた意味が無くなってしまう。朝日記を書くために起きているのだ。そして朝の支度。これが一番手間取る。だから早く起きて読書したりして覚醒していると言うのに……。今月は来月に向けて繰り越し金額は無いな。来月は6万で生きていけるだろうか……? いや、生きなければならない。貯金を少しでも増やすにはそうするしか無いのだ。1万でも多く貯金をしなければならない。血税を無駄には出来ない。少しでも増やして貯金を増やさなければならない。それが私の使命。年金で生きると決めた人間の末路。定期預金を組むには、まだ貯金が足りない。早く定期預金を組めるだけの貯金額にしなければ。そうしないと血税の無駄になる。お金が無い。お金はあるけど、無駄に出来る金が無い。土用丑の日でウナギを買う事も赦されない。私にはそんな権利は無い。柚子湯も本来なら入ってはいけないのだ。だから銭湯通いも週1で十分なのだ。ただ不潔だから週2にしているが……。それでも、贅沢だと思う。私には週1の風呂が丁度良いのだ。贅沢し過ぎている。家の風呂は寒いい狭いからという理由で銭湯に通っているが、440円もバカにはならない。10日入れば4400円だ。それでも不潔だから440円を2回1週間で使っているが、勿体ない事この上無い。部屋の風呂に入ったらガス代がもっとかかるから、銭湯通いをしているが……ハッキリ言おう。体を拭けば良い話だ。頭を洗う位なら、家の風呂で我慢出来るだろう。それすら出来ないとなると贅沢者だ。だから申し訳なくて、血税を使うのを躊躇ってしまう。だからせめてもの償いとして、食費は出来るだけ削っている。時々贅沢はしているが、コンビニのお菓子を買う程度だ。それすら赦せない人も中にはいるかも知れない。申し訳無いが、どうかこれだけは赦して欲しい。唯一の楽しみなんだ。働けるようになったら税金を納めるから……どうか、今は。
『このロクデナシ‼』
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
『何が薬の副作用だ。カフェイン飲みまくって胃袋破壊して血を吐けば済む話だろ? そうしたら午前中も仕事出来たのに……。午前中寝ているなんて【給料泥棒】と同じ事だよ‼』
「はい、その通りです……」
『明日は絶対に起きていなよ? 幻聴酷くても薬は飲むな。良いか、これは命令だ』
「はい……」
家に帰って来てからのやり取り。私は朝の【幻聴】に耐えられなくて薬を飲んだ。結果として眠くなり、午前中活動出来なかった。無給にされても文句は言えないのに、給料はちゃんと出る。【給料泥棒】だ。血税を無駄に使わせてしまった。訓練して頂いている身分なのに、それを怠ってしまった。だから今日は罰としてささみの肉2切れとめかぶのパック1つのみ。それ以外の食料は与えない。私に罰を与えなければいけないから。悪い子には制裁を。ささみとめかぶまで食べているなんて厚かましいと思っている人もいるかも知れない。それは私の罪。本来なら、断食するべきだが、食料が腐ってしまうので、少しずつ消費している。どうか2切れも食べた罪をお赦し下さい。もうカフェイン飲んで無理やり起き続けますから。例え周りに止められてもエナジードリンクを飲んで頑張りますから。どうか赦して下さい。もう寝ません。副作用のせいでなんて言いません。例え副作用が酷くても頑張ります。眠いのが原因になってミスをする事もしません。もししたら手首を切ります。体罰を与えます。赦して下さい。お願します。私は罪人です。石を投げられても仕方の無い人間です。生きる価値のない人間です。殺されても文句は言えません。どうかお赦し下さい。お願いします……‼
『お前を赦す人間なんてこの世に存在しないよ。血税で喰っている意味が分かっているの? 分かって無いから寝るんでしょ?』
「分かっています。楽をしている事位分かっています。最悪働かなくても1万円代の家賃の家に住めば、年金だけで暮らしていけます。犬も飼っているから悪いのです。でも手放したくないのです。だから赦して欲しいのです。もう寝ません。薬を飲んだら必ずエナジードリンクを飲みます。カフェインを大量摂取します。お願いします。だから今回は見逃して……」
『いつでもお前の犬ころを殺せる立場にある事を忘れるなよ? 犬を飼うから家を出たんだろうが。前の家賃なら遥かに安く済んだぞ? それなのに割高の家に住む事になったのは犬ころを飼いたいというワガママから来たんだろう? だったら意志を貫き通せ。副作用に負けるな。愚か者』
「ごめんなさい。今日は食事を減らしますから、赦して下さい……」
『今回だけだからね。もし次同じ事をしたら、保健所に連れて行く』
「せめて里子にして……」
『ダメ。血税で喰っている立場の人間が、赦されない事をしているんだから、それ相応のリスクを負わないと。ダメ』
「……賛成出来ません……」
『だったらしばらく食料調達は赦さない。冷蔵庫であるわずかな食料で生きな』
「はい……」
怒っている。【幻聴】が物凄く怒っている。無理も無い。私はワガママばかりを言っているのだから。本来なら犬を手放して薬を変えて貰って、眠気が来ない様にしないといけない。生活がままならないと言えば良いだろう。でもそれをしていないのは、今の薬が眠気以外の強い副作用が出ない事と、眠気の出ない薬が存在しない事がある。犬が攻撃的な【幻聴】から守ってくれている事も大きな理由だ。もう1度入院する必要が迫って来ているが、入院費が捻出出来なくて投薬治療だけで済ませているのは致し方ない事だろう。血税をかき集めても、私の入院費用は捻出出来無い。高額医療負担制度が適用外になっている以上、致し方ない事とはいえ、医者は入院させたがっているだろう。でもそれを口にしないのは金が無いからだ。犬に金を浪費しているから、入院費用が捻出出来無い。全く持ってワガママな奴だ。死ぬべき人間がいるとするなら真っ先に私の名が挙がるだろう。それ位私は罪人なのだ。罪人はワガママを言えない。だから冷蔵庫に残っている2月分の食料で3月の半ば位まで粘ろうと思う。断食を繰り返せば、細々と暮らしていける。犬の餌は3ヶ月は持つので問題無い。私の食事も浪費だ。普通は消費や投資に当てはまるだろうが、私は生きてはいけない人間なので浪費。出前を取る事をしていないとは言え、出前のチラシを見て心が揺らぐし、実際取りたいと思う事もある。それは更なる浪費に繋がるので出前は頼まないが……。
『ここまで【能無し】だと呆れてくる。力も無い、ただ啓蒙の本を読んで偉くなった気分でいる。バカ?』
「営業系の本を読めば会社内で円滑に事を運べるから。会社は営業。営業職じゃなくても嘘を言ったらダメとか群れてはダメとか色々勉強になる。一般職に就いているイメージトレーニングで、一番難しい営業職に就いていると仮定して日々仕事をしていると、少しは仕事のスピードが上がるから……」
『なるほどね。少しは考えているのか』
「うん……。例え【無能】でも【無能】なりに足掻こうと思って……」
私の言葉に、もう一人の私は感心したようだ。納得してくれたらしい。これからビジネスマンの読む本が届くが、ベストセラーでも何でもない。新書はベストセラーが少なくても、分かりやすい解説が載っているモノが多い。自己投資には持ってこいの代物である。小説は浪費だが、頭の固い本ばかり読んでいると頭が固くなるから、柔軟な発想が出来るように小説も読んでいる。そのジャンルは多岐に渡り、小説家のための小説や嗜好品がメインの小説もある。無論本好きのための本もある。それらはフィクションだが、まるで本当に起こっている出来事のようで面白い。日記を書く時の参考にもなる。本当に起こっている私の脳内を小説風味に仕立て上げたらこうなるのだろうかと思う。私の楽しみは作品を書いている時。日記という名のエッセイを書いている今でさえ、面白いと思える。無論犬を殺す脅しを【幻聴】に立てられているとか血税を喰っているとかは全て事実。現実に起こっている事である。私はそれを短い文章でまとめ上げ、少しでもこんな【無能】で生きる価値の無い人間がいる事を知らしめたいのだ。私は【無能】な人間。生きる事すら赦されない、価値の無い存在。血税で生き延びている、世間の足枷にはなってこそすれ役には立たない人間。周りの人間が死ぬべきだと思う人種の1人。好きで病気になった訳じゃないが、回避する事は出来たはずだ。それすら出来ない不器用な人間は生きる価値なんて無いと私は思っている。有能な人間だけが生きれば良い。【無能】な人間は皆死刑になるべきだ。私が死刑宣告を受けたら、犬の引き取り先を見つけてから、喜んで絞首台に立とう。そして首を括って死ぬのだ。温情なんて要らない。死んだら財産は全て国に返して欲しい。親兄弟に残すなんて事はしない。全て国から得たモノだから、全て国に返す。私の私物の元も血税から得たモノだから売るなりなんなりして、国の役に立てて欲しい。それが私の願いだ。
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