十七夜

「今日はダメだった……。眠気とだるさに勝てなかった……」

『無能の極みだね』

 今日は何も出来なかった。体中から力が抜けて集中力が無い。ずっと寝ていた。これじゃあ【給料泥棒】と思う人もいるかも知れない。いや、思った人はいたはずだ。私は使えない人間に成り下がった。明日は具合が悪くても、絶対にやり遂げてみせる。無理はする。今日は【給料泥棒】だったのだから……。無理をせずしていつ無理をする? 無能な時こそ力を発揮しなければならない。このまま無能のレッテルを貼られてしまったらオシマイだ。だから明日は無理をする。それだけの価値はある。頑張らなければならない。無能のレッテルは絶対に貼らせない。そのためには無理をする必要がある。寝続けるのは今日だけだ。もう寝ない。明日は金曜だから無理をしても次の日が死人になっていても問題無い。使えない奴とだけは思われたくない。声だけが大きい、元気な病人なんて……それこそ【無能】だ。私は無能になりつつある。声なんて潰れてしまえば良いのに……。最悪だ。声が大きいと何度注意された? それなのに繰り返す無能ぶり。元気な声は出るのにどうして仕事が出来ない? どうして? なんで? こんな奴死ぬべきだ。明日は声帯を潰したつもりで仕事をしよう。無言を貫く。【無能】のレッテルは意地でも貼らせない。有能になってみせる。有能になるには先を見据える事。私の事が売り上げに繋がる。だから間違った登録はしない。明日こそ20本以上登録してみせる。絶対無理をしてやる。私は無能だ。だから少しでも有能に見せるには、有能のフリをしなければならない。頑張れ、自分。死ぬ気でやれ。自分を追い詰めろ。そうすれば出来るはずだから。今までだってそうじゃないか。爪を剥いで血を見て、反省して次に繋げていたじゃないか。爪を剥ぐのは反省の証。爪を見れば、自分が【無能】である事を痛感する。爪が剥げている分だけ罰を与えた証。分かりやすくて良いと私は思っている。今日は一日中寝ていた。涎を垂らしながら、のんきに寝ていた。他の人は仕事をしているというのに……。どうして私の体は動かないんだ? 罰として睡眠を削る事にした。早起きしてがっつり飯を喰う。血税を喰らう。そして昼もがっつり喰って夜はあまり食べない。そういう生活をしようと思う。私はデブに戻る。そして皆から能無しのデブとして後ろ指を刺される事にする。そうすれば、眠くなる事はなくなるだろう。デブになってやる。そうすれば甘える事も無くなるだろう。痩せているから皆にちやほやされると思い込んでいるのだ。その概念を打ち砕いてやる。【能無し】にぴったりの人生を用意してやろう。殺してやる。もう頭にきた。この【能無し】には絶望を与えないといけないらしい。50キロになった私の体重。48キロに戻らないようにしてやる。苦しめば良い。48キロに戻りたいという願いを打ち砕いてやる。苦しめば良い。自分なんか生きている価値なんて無い。血税を貪り喰う悪魔だ。地獄を見せてやらなければ、立ち直れない位絶望を味合わなければ生きている事に感謝しないだろう。仮眠出来るのも今の内だけだ。私は死んでやる。もう一度糖質制限ダイエットをしよう。今度は46キロになるまで止めない。これは罰だ。自由に食べられないのは、苦しいだろうが、それが私にとって罰なのだ。今日はずっと寝ていた。無能だった。少しでも皆の役に立つためには少しでも多く起きていようと思う。お腹が空いてもご飯は食べない。男が用意した米は喰うが、血税で準備された米は喰わない。私にその資格は無い。そもそも弁当を喰らう資格は無いのだ。おかずだけでも感謝しなくては。ありがとう。血税を払ってくれている全ての人に。


 今朝は目覚めが良かった。これで仕事が出来そうだ。

 安心した。【給料泥棒】と思われたくないからだ。私は能力以上の力を発揮する事で【無能】のレッテルを回避してきた。昨日は散々だったから今日は睡眠時間を削ってやるべき事をやっている。まずはこのエッセイとも日記とも取れる作品を書き上げてしまう事だ。いつでも終わらせる事は出来るが、血税で生きている分、書き続けようと思う。私に出来る感謝はこれ位しか無いから……。本当は目が疲れてマッサージに行きたいが、それすら躊躇われてしまう。血税で生きている人間がリフレッシュして良いのかどうか……。迷う。いつもお菓子を食べているのに、それをやったら余計な出費な気がして躊躇われてしまう。お菓子を食べさせて頂いている分、私は余計な血税を使っていないか? そんな気がしてならないのだ。早く一人前になりたいのに、仕事が出来ない自分にイライラしてしまう。どうしてこんなに鈍間なのか? もっとキビキビと動けないのか? 啓蒙の本を読み漁っても実行できそうなのは睡眠時間を削る事位だ。削ると言っても2~3時間位で、トータルでは6~7時間は寝ている。10時間睡眠が長すぎるから、削ったのだ。それでも眠いのは何故だろう? カフェインが足りないのだろうか? もっと摂れという事なのだろうか……? だったらエナジードリンクを飲むしか無い。体に悪いからしたくないが……血税で生きている人間が長生きしたら顰蹙を買ってしまう。短命でさっさと死んでしまうのが世のためである。それすら気づかない程バカじゃ無い。私は長生きしてはいけない。犬を看取る位までは生きたいが、その先は死んでも良い。私は生きている価値が無いのだ。他人様の血税を喰らって生きている人間には死が待っている。そう思っているから、早死にしたい。衰えていく体に鞭打って、限界ギリギリまで仕事して家に帰る頃には疲労でヘトヘトになっていたい。掃除も毎日出来ない人間が、血税を喰らう資格は無い。せめて家を綺麗にする位の事をしなければ。犬も綺麗に出来ない人間が、犬を飼う資格も無いと思うが……トリマーさんにやって貰うとして、その金も血税だ。犬を血税では無く、給料で養いたい。でもそれが出来なかったのが昨日だ。昨日はタダで金を貰っているようなものだ。登録本数も4本と少ない。働いたとは言えない。やっぱり死ぬしか無い。エナジードリンクを買って、眠気を吹き飛ばしたい。でもコーヒーにもそれ位の威力があっても可笑しくないと思うのだが……。コーヒーだけでは眠気を吹き飛ばせないという事か? だったらエナジードリンクを買う。食費を削ってでも買う。それ位の努力をしなければ、私は生きる資格なんて無い。【無能】な私にはそれなりの努力が必要だ。コーヒーを飲んで目を覚まし、エッセイと日記の中間を書く。毎日毎日書く。そしてある程度溜まったらコンテストに出品させる。私の駄文がどこまで通用するのか確認しておきたいのだ。

 私は毎日黒い巨人に怯えながら布団をかぶって寝る。目を開けてはいけない。奴らは私のすぐ傍に立っている。油断していると刺されてしまう。だから犬も布団の中に入れて護る。でも犬は巨人が見えないらしくすぐ布団から出てしまう。私は何度も犬を布団の中に引きずり込みながら、震えている。強い薬が出されないから、怯えて過ごすしか無い。辛うじて睡眠導入剤は強いからすぐに眠りに堕ちるが。それがなければ発狂していた処だろう。私は薬すら出されない位に【役立たず】な人間なのだ。生きる価値も無い、精神科で強い薬を出されずに巨人に震えながら生きているしか能の無い人間なのだ。

 眠い……またコーヒーを買おうか? そうすれば少しは気が紛れるだろう。コーヒー代だけで毎月1万飛んでいるが、仕方ない。エナジードリンクを買うよりは遥かに安いのだから。それでも月1万は大きな出費だ。こんなに飲んでいては1年間で12万の計算になる。ちょっとした旅行に行ける金額じゃないか。私は何に投資しているのだろう? これは投資じゃなく出費だ。浪費と言って良い。自分のためになっていない。だから男が買ってくれたコーヒースティックを飲む。これならタダだ。浪費にならない。むしろ出費にもならないから経済的。私はどうしてコーヒーを買い求めるのだろう? コーヒーが家にあると言うのに……。意味が分からない。つまり浪費をしたい訳だ。浪費は敵だ。血税を喰らっている人間なら尚更。注意しなくてはいけないのに、どうして浪費してしまうのだろう? 太っている事も自分に対して戒めが甘い証拠だ。46キロになるまで麺類は断つ。昼食に出ても断つ。春雨も同様だ。もう口にしない。無論ご飯は一口も食べない。パンは朝とおやつに食べるとして、ご飯はどうしよう……? 男が買って来たのがある。あれは消費しないと男が貢いでくれなくなる。仕方ない、ご飯は家にあるのは食べよう。外では食べない。絶対に。そしてまた運動を始めよう。体育館に行けばランニングマシンがある。汗をかく事は良い事だ。新陳代謝が上がる。ただ私の天敵が運動をしている。あいつの顔を見ただけで吐き気がする。去った人間は追わないが、攻撃対象にはなる。敵は徹底的に滅ぼすべし。そうしなければ、いつかやられてしまう。敵は殲滅するべし。そうしなければ、周りが敵だらけになる。味方はいない。こんな【無能】な人間に付く味方など存在しない。痩せなければ。もっと痩せて見返さないと。ガリガリになった姿に驚くはずだ。努力の結果を見せたい。そのためには体脂肪を減らさないといけない。砂糖はダメだが、コーヒーを飲むためには入れないと胃に負担がかかる。でも仕方ないのかも知れない。胃を破壊してまで痩せないと、それは努力と言えないのでは無いのだろうか……? 分からない。どうやってダイエットするのが正しいのか。ただ1つ言える事はあと4キロ痩せないといけないという事実。痩せないと。デブは出世しないと聞く。デブのままだと出世しない=血税を喰らい続ける。それはダメだ。少しでも血税を減らさないと。いつまでもおんぶに抱っこではダメだ。自分を律しないと。食事も減らす。自分を律するためだ。根野菜も食べない。太るから。揚げ物も食べない。もう口に出来るモノが無かったら食べる位だ。野菜メインの食生活に切り替えよう。幸い隣の人は揚げ物大好きだからアゲルと言ってあげれば良い。肉も食べない。筋肉を落とす。贅肉も落とす。体力が無くなる? 全然構わない。今の仕事は体力を使う仕事じゃ無いから。問題は贅肉が多いという事だ1.0の内臓脂肪率になるまで痩せてやる。そうして痩せて、皆に一目置かれる存在になる。ガリガリになってやる。今のままだと50キロのデブだ。献血出来る体重はデブの体重だ。だから献血出来ない位まで痩せなければならない。コーヒーも砂糖入りは禁止したい処だけど、胃が文句を言うから出来ない。ブラックコーヒーを飲み続けたら血を吐いたからこれはダメだろう。1リットルのブラックコーヒーを飲んでも人間は平気なのに、私はダメらしい。血を吐く。……いや、血を吐けばその分痩せられるか? 血液も要らない。体重に加算されるなら減らした方が良いのかも知れない。

 とにかく痩せるんだ。あと4キロ。ガリガリにならなければ。デブは出世しない。それなら痩せるしか無い。英語を猫さんに習おう。また1からだけど、英語を習わないと損をする。英語は武器になる。英語を習うためのお金は投資になる。投資の血税なら国民も赦してくれるだろう。

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