第07話 二階の窓から

 住宅街の、ごく普通の一軒家。

 二階の窓からしまさとるが、うつろな視線のまま遠くを見つめている。


 悪戯好きな小学生、といった見た目の彼であるが、なんだか現在の彼は非常におとなしく、なんだか寂しそうな表情であった。


「お兄ちゃん」


 幼い声を背中に受けて、ゆっくりと振り向いた。

 部屋の入り口に、小学一年生くらいの小さな女の子が立っている。


「ん?」

「もう、お姉ちゃんこないのかなあ」

「さあ」


 悟はさびしそうな声で返事をすると、また窓の外へとうつろな視線を戻した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る