第06話 闇にうごめく者たち
暗闇がどろどろと渦をまいているような不気味な空間に、うっすらと浮かぶ黒い人影が二つ。
「なぜ、あの町にこだわる」
大きい方の人影から、言葉が発せられた。筋骨隆々を思わせるシルエットから想像出来ないほどに、ネチョネチョと粘液質な声である。
「愚問だな。魔道スポットが多く存在するからに決まっている」
もう一つの影。
なにをいまさら、とでもいいたげにフンを鼻を鳴らした。
「それがために守護者も配置されており、迂闊にも覚醒させてしまったわけだが。そうなること分かっていただろうに、毎回ぶざまにやられていては世話はないな」
ネチョネチョ声が、ふっと呼気のような笑い声を漏らす。
「世話にはならんさ。少なくとも、お前の世話にはな。そもそも、なにもないところを征服してなんの意味がある?」
「こんなところでぺらぺら舌を動かしていても状況は変わらんぞ。守護者一人に手こずっているお前だが、感じないか? あらたな波動を」
「とっくに。いくら増えようとも、倒せばいいだけのこと。守護者の肉体魂魄から流れされた血の分だけ、それは我が極悪帝ヤマーダさまにとって極上の甘露となるであろう」
「お前は喜劇役者の才能があるな。たった一人にいつも破れて……」
「黙れ! こちらに有利な状況は着々と整いつつあるのだ。ヴェルフ、ヴェルフはいるか?」
「はっ!」
どろどろとした暗闇の中、まるで獣のような人影がすっと降り立ち、そして跪いた。
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