第02話 三勇士集結っ!
母、
客人来訪である。
人数は二人。
定夫に負けず劣らずの肥満体が、
通称はトゲリン。
これまた定夫と同様に、分厚い黒縁眼鏡をかけている。
反対に、指でつまめばポッキリ折れそうなくらいガリガリに痩せているのが、
通称は、
二人とも、定夫と同じ高校に通っている友人である。
誰が口を開くよりも先に、トゲリンこと梨峠健太郎が、おごそかな表情で定夫を見つめながら、ぴッと軍人の敬礼をした。
定夫も表情を引き締め、敬礼を返した。
真剣な表情で見つめ合う、デブ二人。
なぜに二人は、かような場にてかようなことをしているのか。
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その近藤奈々香のプレーヤーが、トゲリンなのである。
航女のプレー経験がない八王子こと土呂由紀彦を横に置いて、二人は一分ほども見つめ合っていたであろうか。
「山田軍曹殿、ご苦労様でありました!」
突然トゲリンが、肥満した脂肪の奥から、甲高くネチョネチョとした大声を発した。
「こちらこそ。
定夫も叫んだ。
廊下の奥で定夫の母親、住江が怪訝そうな悲しそうな複雑な表情でじっと見ていた。
そんな視線を尻目に、なおも黒縁眼鏡で見つめあうこと三十秒、二人のデブ、いや二人の帝国軍人英霊は、ようやく敬礼をといた。
「ね、もう終わった?」
すっかり退屈といった表情を隠さず、八王子が尋ねた。
「は! おかげ様で、滞りなく終了したであります!」
もう英霊も抜けているはずなのに、このトゲリンの喋り方。
実は、最近の彼はいつもこんな喋り方だ。
梨峠健太郎という自らにかしたキャラ設定により、前々から他人に対して敬語で接するところがあったが、それに加えて最近は航女の影響を多分に受けて、気分は軍人なのである。
キャラ設定を私生活どころか学校にまで持ち込むため、クラスでは相当に気持ち悪がられているトゲリンであるが、言葉遣いはともかく性格性質として似たようなものであるため注意出来ない定夫なのであった。
さて、
途中で一人仲間が増えることになるが、当面はこの三人が物語の中心になるため、ここであらためて紹介をしておこう。
まずは、
いわゆる、アニメゲームオタクである。
ステレオタイプ通りというべきか、肥満、服装センス皆無、黒縁眼鏡、対人恐怖症、こねくるような言葉選び。
物心のついた時には肥満であり、アニメ好きであった。
おそらくは肥満でありアニメ好きのまま、生涯を終えるのであろう。
続いて、
いわゆる、アニメゲームオタクである。
通称、トゲリン。
定夫に負けず劣らずの肥満体だ。ネチョネチョとした、甲高く粘液質な声が特徴である。
単純なアニメやゲームの知識量ならば、三人の中でナンバーワンであろうか。
それと、時折無性に漫画家を目指したくなることがあり、そのためそこそこ絵が上手である。もちろん美少女キャラ限定であるが。
最後に、
いわゆる、アニメゲームオタクである。
通称は、
中学生の頃にここ東京都武蔵野市に引っ越してきたのだが、「あれ、あいつ名前なんだっけ、あいつ、八王子からきたやつさあ」などと周囲からいわれているうちに、定着してしまったあだ名だ。
八王子在住期に、学校の不良にからまれてアゴを蹴り砕かれたことがあり、それが引っ越すことになった原因だ。
普段はおっとりのんきな彼であるが、そんな過去があるため、不良に対する嫌悪殺意は半端ではない。といっても陰で文句をいったり、処刑リストにこっそり名前を書くのが関の山ではあるが。
なお通称ということでは、定夫は二人に自分のことをレンドルと呼ばせている。
やまだ さだお、と、姓も名もあまりに地味であるため、自分に好きなミドルネームをつけているのだ。
レンドルはここ一年ほどの名であり、それ以前は確か山田ミラノフ定夫であったか。
以上、三人の簡単な紹介である。
「ま、上がれよ」
レンドル定夫は二人の友を家の中へ招くと、二階の自室へと連れて行った。
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