第九章 伝説のはじまり
第01話 それから一週間
ぶーー。
「お、またきたっ」
定夫たち四人の携帯電話が、一斉に振動した。
メールが届いたのだ。
アニメに対しての感想であった。ストーリーと作画、及びほのか役の声優についてベタ褒めの内容だ。
ぶーー。
また、携帯が振動する。
今度は、ダメ出し及び続編要望だ。
ここは
定夫、トゲリン、八王子、
毎日毎日大量に届いているというのに、いささかも飽きることなく。
アニメを発表してから、今日でちょうど一週間。
反響は実に大きく、公開しているアドレスに毎日、大量のメールが届く。
ごちゃんねるなどのインターネット掲示板も、専用のスレが立てられ、賑わっている。オープニングのみを投稿した時も凄い反響だと思っていたが、それを遥かに上回っていた。
話題が話題を呼んで、Webサイト「コノアニメヲミロ!」に、アマチュアの自主制作物にもかかわらず異例のランクインを果たしてからというもの、話題が話題を呼ぶ好循環が急加速、現在とてつもない賑わいになっているのである。
「お、おっ、ネットニュースにもなってむんぞ!」
マウスカチカチWebチェックしていた定夫が、びっくりしたような大声を出すと、「え?」と、三人ともモニターへ顔を寄せた。
「うわ、本当ですね。トップページの、エンタメ欄の記事になってる」
「『自主制作アニメ、話題が話題を呼んでアクセス殺到! 記録破る快進撃!』 ……うう、感無量でござーる!」
「コメント欄があるね。読んでみようよ」
「おれもみてみた。さわいでっから」
「すげーな。」
「なにこれ。」
「こんなアニメあったっけ」
「知る人ぞ知る『神アニメOP』で、結構騒がれただろが。」
「お前がイバルことじゃない。」
「あのオープニグ、女の子が転んでるだけで、てっきり神社でゆるゆるトークしてるだけのかと思ったらバトルものだったんだな。」
「パイロット版の時の、オレのダメ出しがかなり生きている。だから、これ作ったの実質オレ。」
「なんか、懐かしい雰囲気のアニメだよね。」
「だってOPの曲からしてモロ大昔のオシャレアニソンだもんな。」
「ぽよよよと円形の窓型に画面が残って終わる、って昭和かと思った。『なんでこーなるの!』みたいな。」
「野郎の声はヘボでクソでしゃーないけど、女の子の声、かなりイイ!」
「女子の声、全部一人なんだろ、エンドロールによると。『あつーん』って人。みんな違って聞こえるんだけど、エフェクトかけてんのかな。」
「エンディングもその女なんだろ。あの歌も、かなりいいよな」
「全体的に古臭い。センスない。つまらん。みる価値なし」
「センス分からんお前に贈る言葉がある。『市っ 根っ』」
「むしろ、技術的には素人なのを、それをセンスだけであそこまでに高めてんだよ。」
「そうそう。時代逆行もいいとこな内容を、それを最先端センスでやってんだよな。だから、ありそうでない作品になってる。」
「女の子の声、とってもイイ!」
「確かに。」
「あつーんモエズム!」
「有名な声優だったりして。実は。」
「映像もだよ。ほんとにアマチュアの作品なのかな。」
「チャチといえばチャチなんだよな。でもプロが、わざと制限された環境でのアニメ作りにチャレンジしているようにも思える。」
「どこかの企業の、ドッキリ企画とか。」
「そうでなくとも、ゼンダイとか佐渡川とかが飛び付くかもなこれ。」
「ありそう。やりかたによっては、こんな美味しいシチュエーションないからな。ネット生まれというのも含めて。」
「も一回アニメみよーっと。」
「つか混んでてまともに再生されないんだが」
「ローカルに落とせよ。負荷凄くて新規さんがかわいそうだろが」
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