第341話 真マジンガー 衝撃!Z編(2009年)

※これは本日2話目の投稿になります。


 さて今回は名作『真マジンガー 衝撃!Z編』(以下『真マジンガー』と略記)に行きたいと思います。


 『ラインバレル』のときに自分が既に巨大ロボットアニメを見るには老いたことに気付いてはいたのですが、これは題材が『マジンガーZ』で、しかも今川監督作品ということで、見るしかないと思って初回放送時に全話視聴いたしました。


 これは期待通りの面白い名作でしたね。例によって原作ブレイカーな今川監督ですが、原作リスペクトもしっかりやっておりますので。兜十蔵博士が原作漫画版のマッドサイエンティストなキャラだったり、原作漫画版にあったボスの「本名は作者も知らない」みたいなネタを取り込んでたり、ラインX1じゃなくて原作漫画版のドナウα1だったりと、原作漫画版の方のネタの取り込みが多いんですね。


 その一方で、敵として「爆撃獣グロイザーX10」なんてのが登場したりするという。もちろんダイナミックプロが関係している『グロイザーX』の主役ロボそのまんまのデザインです。これには大爆笑しましたよ。そのあと没デザイン版まで動員して更に三機登場したりとか。


 さらに、マジンガーの没デザイン「エネルガーZ」まで登場してライバル格として活躍するんですからたまりません。


 主役ロボのマジンガーZ自体も、基本的なデザインは変わっていないのですが、最後の最後で大きな変更がありました。ゴッドスクランダーという新しいスクランダーと合体することで変形するんです。


 何に変形するかというと、巨大な腕(笑)。それで体当たり攻撃をかけるのが真必殺技「ビッグバンパンチ」になります。


 要するに、マジンガー自体がロケットパンチに変形するんですね。作中の太古の世界の話で、ゼウス神が自分の斬り落とされた腕を投げ飛ばしてロケットパンチをやってるんですが、実はマジンガーって、その斬り落とされた腕から作られたという設定になってるので、ゼウス神の腕に再び戻るという感じのイメージでした。


 これだけでなく、何か全般的にロケットパンチがフィーチャーされてる感じがありました。ただ、これは旧アニメ版をリアルタイムで少し知ってたから分かるんですよ。『スパロボ』から入るとマジンガーの必殺技ってブレストファイヤーのイメージが強くなるんですが、本来のマジンガーって装備する武器のすべてが必殺技級の威力があるんです。そして、一番印象が強い武器って、やっぱりロケットパンチなんですよね。熱線だとか光線だとかを持ってるロボはこの前にもいますけど、腕を飛ばしたのはマジンガーが最初ですから。


 さて、ストーリーの方で言うと、今回は今川監督のモチーフに大きな変化があります。いや「マジンガー」としても大きな変化なんです。というのも、何と兜甲児の「母親」が出てくるという。それも重要な役所で。


 「くろがね屋」という宿屋の女将である「錦織つばさ」がその人です。最初は赤の他人のフリをして兜甲児に特訓を施したりしていましたが、中盤に実は死んだと思われていた兜甲児とシローの実の母親であることが発覚するという。


 これ、今までの今川作品だと無いパターンなんですよ。さらに言えば、マジンガーの原作でも旧アニメ版でも、母親の影というのは非常に薄いんです。


 それが重要キャラクターとして登場したということ自体が意外でしたね。なお、私は読んだことがなかったのですが、彼女も永井豪の別作品『ガクエン退屈男』の登場キャラでした。


 あと、あしゅら男爵も妙にフィーチャーされてて、重要キャラに成り上がってるんですよねえ。元は古代ミケーネ人の恋人同士で冷凍睡眠していたのをDrヘルに合体させられてしまったんです。しかも、こいつが死ぬことがミケーネ帝国復活の鍵になっていたという。今回ググって見たら「真の主役」「実はこいつが主人公」という説が通説になっているという(笑)。


 いろいろと謎が散りばめられていて複雑な構造になってはいるのですが、最終的にはDrヘルを倒すという部分ではスッキリと終わっています。ただ、そのあとで更に強大なミケーネ帝国が出てくるという部分は旧アニメ版のとおりで、しかもそれを第1話でやってるという(笑)。


 それなのに、そのミケーネ帝国と戦う『グレート編』は未だに無いんですよねえ。まあ、今川監督だからしょうがないんですが(笑)。


 それでも、やっぱり面白い作品だったと思います。私が見た限りでは今川作品に外れは無いんですよね(途中降板した『真ゲッター』を除く)。


 あと、毎回見ていたはずなのに、なぜか本作の主題歌についてはオープニングもエンディングもおぼえていないんですよ。今回ググってみて、後期エンディングをSKE48が歌っていたのは思い出したんですが、どんな歌だったかは思い出せません。


 それと、本作では声優陣は一新されており、兜甲児の声優も新人の赤羽根健治に変わっています。このことについて、本作放送後に旧アニメ版以来『スパロボ』等でも兜甲児役を演じていた石丸博也が、新聞か何かのインタビューで「ジャッキー・チェンは生身の俳優で歳をとるから、自分も歳をとっても、ずっと吹き替えをやっていきたい。アニメとかの役は若いままなのでやりにくい。兜甲児はようやく若い人にバトンタッチできて肩の荷が下りた」みたいなことを言っていたのが印象に残っています。


 さて、次回は一気に年代が飛びまして『ガンダム Gのレコンギスタ』に行きたいと思います。

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