燃えよ、ロボ魂!!

第317話 機動戦士ガンダムＳＥＥＤ ＤＥＳＴＩＮＹ その８ 逆襲のアスラン編

　『ＤＥＳＴＩＮＹ』語りも８回目、残りの「主人公」(笑)たちに行ってみましょう。サブタイトルについては、お読みいただければ分かるかと。

　さて、サブタイにしなかった方、キラについてなのですが、こいつは実は前半部については多少『Ｚガンダム』のアムロっぽさはあるんですよ。お前『ＳＥＥＤ』で覚醒したのに、何をのんびりと彼女と遊んでるんだと。

　もっとも、実の所キラとかラクスが「のんびり」してた頃は、テロによるユニウス７の落下とかはあれども、まだナチュラルとコーディネーターの対立は目立っておらず、対立が激化したときには、多少状況に追い込まれた面はあれども、自分で立ち上がってはいるんですよ。

　こいつについては「不殺介入」が中途半端という批判はありますが、実の所「自分や仲間が死んでも不殺を貫く」とか凝り固まるよりはマトモじゃないかと思います。それこそ神でもない身として「できるなら不殺でやりたい」程度に落ち着くのは当然じゃないのかと。

　で、基本的に立ち上がったあとはブレてません。前作で流されてブレまくったのとは違って、前作で覚醒したとおりに生きています。つまり「すべてはラクスのために」(笑)。いや、実の所立ち上がる前もそれは変わっておらず、そう考えると首尾一貫してるんですね。のんびりしてたのはラクスがのんびりしたがってたからで、立ち上がったのもラクスを守るためか、ラクスも立ち上がることを決意したからで。

　でまあ、アスランと対立したりするところでは多少の葛藤はあったりするものの、基本的にはブレないで戦ってるものだから強い強い(笑)。

　ストライクルージュ使ったときは追い込まれてたんでフリーダムやストライクフリーダムの性能があってこそという面はあるんでしょうけど、基本的に無敵キャラ化してました。『逆シャア』でνガンダムに乗ったあとのアムロ状態。

　そんな状態だから「主人公交代」とか言われちゃうんですが、実の所「主人公」がここまで無敵キャラだと逆にドラマは成り立たんのです。これ『逆シャア』のアムロと同じで、実は「ライバル」だから、ここまで強くて無敵になっていいって逆説が成り立つという。

　問題は、その「ライバル」が最終勝利者の立場に立っちゃったってことなんですわ。これはシンの方が主人公として「最終的な悪が誰か」に目覚めずにラスボスを盲信してロボ戦のラスボス化するというストーリー展開のおかしさのせいなんですよ。

　どう考えても、普通の発想で行けば「キラやアスランとの戦いを通してデュランダル（ラスボス）のやり方に疑問を持ったシンが最終的にはキラやアスランと共闘してデュランダルを盲信するレイのレジェンド（ロボ戦ラスボス）を倒してデュランダルを止める」って展開にならないとおかしいんですよ。

　そこが狂ってるから『ＤＥＳＴＩＮＹ』は批判されることが多いんじゃないかと思えるんですね。もっとも、それだからこそ逆に唯一無二の存在感があったりもするんですが(笑)。

　さて、その「無敵主人公」(笑)であるキラに対して、前作ダブル主人公の片割れであるアスランはどうかというと、これが見事なまでに「クワトロ・バジーナ」化しているという(笑)。前作終盤のカッコ良さはどこへやら、悩める中間管理職になってるんですね(笑)。

　これ、放送当時からスタッフとかも意識していたようで、当時のアニメ誌か何かでイベントに参加したアスラン役の石田彰がイベントの台本に「クワトロ・バジーナ、軍人だ」ってセリフが書いてあるのを見て「ちょっと、こんなこと言わせないでよ、池田さん怖いんだから(笑)」みたいなリアクションを取っていたのを読んだおぼえがあります。そう、本作では本家クワトロ＝シャアの声優である池田秀一がデュランダル役で参加してるんですよね(笑)。

　さて、そのクワトロ化したアスランですが、前作の頃から状況に流されやすい性格だったのが、更に悪化しているという(笑)。

　デュランダル議長にあっさり丸め込まれてザフトに復帰したり、それでもオーブとかカガリのことは心配なのに自分では動けずにキラに「お前カガリ放っておいて何やってんだ」みたいなこと言われてセイバーをバラバラにされたりして、クソ悩みまくります。

　それで自分がフラフラしてるもんだから、シンとかに何言っても説得力が無いという。結局「先輩として導く」のに失敗して最終的には完全対立する立場になってしまったんですね。

　いや、こいつの場合は前作から引き続いての口下手、コミュ下手もあるんですがね。特に女性に対しては本家シャアも真っ青のモテ方なのに塩対応ばかり(笑)。もっとも、理由が本命のカガリに対して誠実だからっぽいのでシャアよりはマシなんですが。

　悩みまくってたところに、当のデュランダルから粛清されそうになって、やっと脱走するものの、ここでもメイリン・ホークが自ら巻き込まれに来るという天然モテ男ぶり。

　しかし、さすがにこれで覚悟が決まったのか、キラたちと合流してインフィニットジャスティスに乗って、脱走時の負傷が癒えてからは無双状態になります。つまり、こいつの場合はシャアと違って逆襲に成功したという(笑)。なので、このサブタイになりました。

　にしても覚醒が遅すぎだろうというツッコミ所はあるんですが(笑)。

　そして、一番の難点は何と言ってもＭＳ。いや、バンダイの商売上で考えるとインフィニットジャスティスに乗る必然性は分かるんですが、クワトロ・バジーナなら金色のＭＳに乗らんといかんだろうと(笑)。アカツキは彼女であるカガリのＭＳでもあるんですし。何でムウ（ネオ）に譲っちゃうかなあ。まあ、そのあたりの詰めの甘さも含めてアスランなんですけどね。

　さて、次回はヒロインズについて語りたいと思います。