第318話 機動戦士ガンダムSEED DESTINY その9 紅の豚編

 『DESTINY』語りも9回目、そろそろ巻いて行きたい所です。今回のどこかで聞いたようなサブタイトル(笑)は、私が友人との間でルナマリアについて語ったときに出てきた言葉から取りました。読んでいただければ意味は分かるかと思います。


 さて、今回はヒロインズということで、まずは初出組から。ステラ・ルーシェです。


 ガンダムとしては正統派の「ニュータイプ・強化人間系」敵ヒロインです。ララァ、フォウ、ロザミア、プル(よく考えたら、何でこいつだけ姓で呼ばれるのか?)、セシリー(こいつだけ生き残って主人公と結ばれるのは幼なじみ枠も兼ねているからか?)、カテジナ(こいつを入れていいのか?)、アレンビー(あ、こいつも生き残ったわ……失恋はしたけど)……と続く「最初は敵」「特殊能力あり」なヒロインで、ついでに「人工的に強化されている代わりに精神が不安定」「最後は主人公と戦って死ぬか主人公をかばって死ぬ」ことが多いヒロインですね。この条件だとセシリーはかなり微妙。実は最初はクェスも入れてたんですが、あいつそもそもアムロにはアプローチしかしてなくて実際にはハサウェイの敵ヒロインなんでオミットしました。アイナはかなり要件を満たしてるんですが、肝心の「ニュータイプ・強化人間」でないのでオミットです。


 さて、ステラについて言えば、「最初は敵」「特殊能力あり」「人工的に強化されている代わりに精神が不安定」「最後は主人公と戦って死ぬか主人公をかばって死ぬ」と全属性コンプリートしております。戦死については「かばって」ではないのですが、シンも含めて戦っていたので一応その範囲に入るかと。


 人格的には純粋無垢なのですが、戦闘に入ると性格が一変して好戦的になり、さらに「死」という言葉を聞くと恐慌状態になって暴走します……って、「死」が避けられない戦争に投入する強化兵士としてどうよ? 仕様として何か変なのですが、まあブルーコスモス自体が相当に歪んだ組織なのでしょうがないと言えばしょうがないでしょう。


 これはもう完全にフォウ・ムラサメをなぞる形でシンと偶然会って恋に落ち、悲劇的な死を迎えます。その原因のひとつがフリーダムだったことでシンは元々から家族の死の原因のひとつとして嫌っていたキラと完全に対立することになります。ストーリー上も重要な役割を果たしているんですよね。第1話から登場しているのでポッと出のインスタント・ヒロインではありません。


 最初はガイアを奪って乗っており、その頃から強敵ライバルだったのですが、最後はデストロイに乗って大暴れします。MSの性能も含めてパイロットとしては強敵でしたが、ガイア時代には一度撃破されて捕虜になっています。また、偶発的な要素もあるとはいえ、ハイネ・ヴェステンフルスを戦死させたのはステラです。


 ちなみに声優は前作でフレイとナタルを演じた桑島法子だったりします。その頃から「桑島が演じたキャラは死ぬ」というジンクスが生まれたようなのですが、この頃にはすでに完全にネタ化していたようで、アニメ誌か何かで「今度は死なないで欲しい」と本人が言っていたにもかかわらず、やっぱり死亡したという(笑)。全然違うキャラを三通りに演じ分けているのですから、やはり実力派なんですよね。


 さて、お次は最終的にシンのヒロインに成り上がったルナマリア・ホーク。実は私、最初はこの子のことをヒロインだと思ってませんでした。どう考えても「幼なじみ枠」の方だと思ってたんですよ。しかしながら、よく考えてみたら『Zガンダム』で最終ヒロインに成り上がったのは、同じく「幼なじみ枠」のファ・ユイリィだったりするんですね。そう考えると『DESTINY』でルナマリアがヒロインに成り上がったのは必然と言えば必然なんですよね。もっとも、肝心のシンの方が主人公落ちしたんでヒロイン感が薄いんですけど(笑)。


 赤いザクに乗ってたことで旧作ファンから非難されてたというのは前に書きました。ただ、そこでも書いたように、実際の役割はガンキャノンですから(笑)。不思議なのは、生身での射撃訓練で「射撃は苦手」と言っているシーンがあるのに、なぜ専用機が砲撃戦仕様の「ガナーザクウォーリア」なのかということだったり(笑)。実際、近接格闘戦もできるインパルスに乗り換えてからの方が活躍してるんですよ。まあ、MSの性能もあるのかもしれませんが。


 明朗快活で社交的、思い切りの良い性格です。その割にはアスランの秘密を知ったときには黙っている良識も持ち合わせています。はっきり言って、歴代『SEED』ヒロインの中で一番マトモな性格をしています。それどころか、全ガンダムヒロインの中でもアイナに次いでマトモなんじゃないかと思える非常に普通のヒロインだったりします。


 それなのに一部で非常に受けが悪いのは、肉食系で最初はアスランを露骨に狙っていたのに、そのアスランが妹メイリン・ホークと共に脱走して戦死した(と思われた)ときに、その二人が乗ったグフイグナイテッドを撃墜して殺した(と思われていた)シンと逆に付きあうという選択をしたのがビッチ的に見えるからかと思われます。


 ちょうど、その頃に偶然会った大学時代の友人はルナマリアのことを「ブタマリア」と呼んでました。これが今回のサブタイトルの元ネタです。ブタで赤ならこれだろうと(笑)。


 ただ、これ恋愛的には分かるっちゃ分かるんですよね。憧れの人と妹を同時に失うんですが、これが傍から見ると駆け落ちしたようにしか見えないという(笑)。自分じゃなくて妹の方が選ばれたということで失恋ショック倍増ですよ。だけど、死んだ妹を憎むことはできないし、そもそも失恋したからって妹を憎めるようなタイプでもない。また、悪いのは脱走したアスランとメイリンなので、任務で撃墜したシンも憎めないという。


 それに、シンとは軍の同期として、友人としての付き合いが長いんですよ。戦友として共に戦ってきた絆もある。憎みたいけど憎めない、そういう思いがあるわけです。


 そして、当の相手のシンが同じようにステラを失って傷心中だったという。憎めないなら愛するしかない……と言うと聖闘士のようですが(笑)。悪く言うと「傷のなめ合い」という言い方もできるかもしれませんが、くっつくのは、ある意味で自然なのかなと私には思えました。


 パイロットとしては、ザク時代は普通にガンキャノンで大して目立って無かったし、ザクも最後は大破して本人は重傷(重態ではない)を負うという。ただ、インパルスに乗ってからは「私も赤服なんだから」と叫んでたように結構活躍しています。腕自体はいいんですよ。ガンダムの歴代女性パイロットで言えばエマさんと同等以上の実力はあるかと思えます。


 なお、中の人は既に書いているように坂本真綾で、当時は人気絶頂期でした。アイドル声優系の中でもきちんと歌える人ですね……と言いたいのですが、実は子役時代から声優も歌手もやってまして、キャリアが抜群に長いという。アイドル的な人気はありましたが、この人も実力者なんですよ。


 そして、リアルではシン役の鈴村健一と結婚したという。ほかにも主人公とヒロインで共演している作品はあるのですが、やはりシンとルナマリアの印象が強かったのか「シンルナ婚」と言われてましたね。


 ああ、この二人で今回は終わってしまいました。前作から引き続きの二人については、次回にほかのキャラと合わせて語りたいと思います。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る