第315話 機動戦士ガンダムSEED DESTINY その6 ザクとは違うんだよォ、ザクとはァ!編

 『DESTINY』語りも6回目、いよいよ本作を一番象徴していると言えるザフト量産型について語りたいと思います。サブタイトルはハイネ・ヴェステンフルスのどっかで聞いたような(笑)セリフから頂きました。


 はい、「どっかで聞いたような」セリフなんです。これが本作のザフト量産型を、ひいては本作を一番象徴しているかなと。何しろ「ザク」「グフ」「ドム」ですから。


 初代ガンダムの人気敵役MSを、そのまんま持ってきたんですね。もちろん2004年風にリファインはされています。しかし、ベースは正にあのザクでありグフでありドムです。しかも、最初は味方ロボなんですよ、こいつら。


 かつて『Zガンダム』について論評したときに、本当はエウーゴこそジオン系MSのデザインにして、その中にガンダムが混じってるというデザインラインにすべきだったと私は書きました。それを実現したのが、この『DESTINY』なんです。この点は評価に値すると思います。


 さて、その最初のMSがザクです。二種類ありまして、一般兵用の「ザクウォーリア」と指揮官/エースパイロット用の「ザクファントム」に分かれます。ファントムの方に角が付いています。F型とS型ですね(笑)。


 さらに、こいつらストライカーシステム……をパクった(笑)「ウィザードシステム」を搭載しております。バックパックの変更で武装が変わるんですよ。そこで更に砲撃戦用の「ガナー」とか、高機動型の「ブレイズ」とか装備を変更できるという。


 さて、こいつら味方ロボと書いたのですが、レギュラーでのちにシンのヒロインとなるルナマリア・ホークが赤色の専用ガナーザクウォーリアに、レイ・ザ・バレルが白色の専用ブレイズザクファントムに搭乗しています。


 ルナマリアを演じた坂本真綾は、この頃にアニメ誌かネットのインタビュー記事で「赤い専用ザクに乗るってことで(昔のガンダムファンにネットで)叩かれた」みたいなことを言っていたのを読んだ記憶があります。


 そりゃそうでしょうよ、何しろ「赤いザク」ですから(笑)。ただ、私自身はその論には与しませんでした。だって、役割が「ガナー」、つまり砲撃戦用ですよ。「ガンキャノン」が赤いのはむしろ当然だろうと(笑)。


 なお、序盤にアスランがただの量産型の緑色のザクウォーリアに乗るんですが、これが最初の頃にインパルスを食うくらいに活躍しちゃうんですよ。何と腕を損傷しながらも単機での大気圏突入にも成功しているという(爆)。初代『ガンダム』のあの有名な「助けてくださいシャア少佐!」「残念だがザクに大気圏を突破する能力は無い……だが無駄死にではないぞ」のシーンに真っ向から喧嘩売ってます(笑)。


 実のところ、性能的にはこいつら前作『SEED』の一号主役ロボであるストライクより高性能って設定なんですよ。実際、高性能に描かれていました。


 そのザクと序盤に戦っていたMSに、ザフト系の脱走兵テロリストが乗る「ジン ハイマニューバ2型」ってのがありました。これが前作のザフト初期量産機「ジン」の高機動型というMSVを思わせる設定の機体で、旧式機なのに腕利きパイロットが乗ってることで新人パイロットが乗る新世代機とも互角に戦っていたという。


 このあたり、微妙に「初代ガンダムのファン」を意識してるのかなとリアルタイム視聴時には思っていたんですよ。実際、その意図は多少はあったんじゃないかなとは思います。しかし、今ではちょっと違う層がターゲットだったのかなと思っています。これについては後述します。


 さて、そのザクの後継機が「グフイグナイテッド」です。設定上はザクにコンペで負けたのを改良した機体だそうです。性能は上回っていたが生産性と汎用性で勝るザクに負けたのだとか。でも結局量産されてザクの後継機っぽい扱いになってました。


 こいつが、本当にグフなんですね。電撃鞭(っぽいと思ってたんですが調べてみたら高周波鞭の機能もあるようです)とビーム刃を持つ実体剣がメイン武器で、腕に固定の射撃武器を持つという(笑)。


 背中に翼が付いていて空が飛べるあたりMSVのグフ・フライトタイプを意識してるのかとも思ったんですが、元のグフと違って宇宙でも活動できます。


 で、こいつに最初に乗って出てきたのがザフトのエースパイロットであるハイネ・ヴェステンフルスという。専用機ということでオレンジのパーソナルカラーのグフイグナイテッドに乗ってきました。


 で、このグフで戦った時のセリフがサブタイトルにいただいた「ザクとは違うんだよォ、ザクとはァ!」なんですよね。これ、言わずとしれたオリジナルのグフに乗ってたランバ・ラルの名セリフへのオマージュです。ハイネの声優は前作に引き続き『DESTINY』でも第一期オープニング主題歌を歌った西川貴教です。前作のミゲル・アイマンに引き続いてゲストっぽいキャラでしたが、今回はオープニングにも専用絵と専用機のグフイグナイテッドが出てくるという優遇ぶり。名前からしてヴェステンフルスって西の川って意味ですからね(笑)。西川貴教はガンダムオタクとして知られてますが、このセリフも実に嬉々として叫んでました(笑)。なお、今回調べてみたらイグナイテッドという名前自体が第一期オープニングのタイトルから頂いたものだったそうです。


 このグフイグナイテッドはハイネが乗ってたときには強かったのですが、その後に量産されたらザコに堕ちました(爆)。このあたりもオリジナルのグフに忠実だったり(笑)。量産機の色はオリジナルと同じ青系です。


 なお、アスランがミネルバから脱走するときにもグフイグナイテッドに乗ってましたが、このときは相手がシンのデスティニーとレイのレジェンドという最強ガンダム二体だったので、あえなく撃破されてます。


 最後が「ドムトルーパー」です。これ、正確にはザフトのMSではなく、コンペで負けたMSをラクス一派が使っているという。でも性能的には高性能機でした。三機だけ出てきて「ジェットストリームアタック」までやってるので印象には残ってるものの、逆に言うとそれしか残ってないという(笑)。オリジナルと違ってリーダー格が女性になってましたね。


 さて、この懐かしMSリファイン版のターゲットなのですが、前述のように私は最初は初代ガンダム世代を狙っているのかと思ってたんですよ。でも、実際には坂本真綾への批判みたいに、初代ガンダム世代は逆に拒絶反応を起こしてる人も少なくないんですね。


 じゃあ、どこを狙っていたのか?


 私は、これ実は『スパロボ』とか『Gジェネ』とか『ギレンの野望』みたいなゲームとか、あるいはプラモデルでしか初代ガンダムを知らない世代をターゲットとして意識してるんじゃないかと思ったんですね。


 特に『スパロボ』を意識してるんじゃないかと思える節があるんですよ。全体的なストーリーで見ても「これスパロボだと分岐になるよな」みたいに思える所があるんですよ。これは『SEED』の頃にもあったんですが、特に『DESTINY』で結構気になるようになったんです。「ああ、これ『スパロボ』だったら生存する分岐があるよな」とか。前述のステラとかハイネとか、戦死者を助けるフラグがありそうだなみたいな所とか、ストーリー全体でもシンとアスランとキラが共闘する流れになるとか。感想欄でも同じご意見をいただいているので、私だけがそう思ってるわけではなさそうです。


 そうした、『スパロボ』とかで初代『ガンダム』を知ってる世代向けのネタなんじゃないかと思えるのですよね、この初代『ガンダム』の敵MSオマージュなザフトMS陣は。


 さて、これで気になるロボ群はあらかた語ったかと思います。いやね、ダガー系の連合側の量産型MSもあるんですけど、正直印象に残ってないので語る内容も無いという(爆)。


 次回は母艦であるミネルバについて軽く語ってから、キャラ編に入りたいと思います。

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