第308話 機動戦士ガンダムSEED その8 おっさんずラブ編

 『SEED』語りも8回目、今回は敵味方の先達キャラ三人について語りたいと思います。なので、どっかで聞いたようなサブタイになりました(笑)。ただ、キラたちに比べれば年長ですけど最年長であるバルトフェルドでも「おっさん」というほどの歳じゃないですが(笑)。


 まずは、連合のエースパイロットにして主人公キラの頼れる兄貴分で、のちにはマリューさんの恋人となる男、ムウ・ラ・フラガから。


 ルックスはカッコ良く、パイロットとしての実力もピカイチ。包容力があって面倒見が良く、男らしくて頼れる性格。そらキラもマリューさんも信頼するわなあ。ナチュラルなのにコーディネーターと互角に戦える完璧超人ですよ。


 特殊な空間認識力があるので、有線子機を使ってオールレンジ攻撃ができたりします。このため、彼の愛機メビウス・ゼロはMAでありながらザフトのMSと互角に戦えたんですね。


 こう並べ立てただけで「死ぬよね? 死ぬ死ぬ」と言いたくなるくらい設定的には死亡フラグ立てまくってます(笑)。


 この人ね、どう考えても途中で死ぬキャラでしょ。初代『ガンダム』だったらリュウ・ホセイ、『マクロス』だったらロイ・フォッカー先輩のポジションじゃないですか。


 ところが、死なんのですよ。一番ヤバかったのが、ニコルが死んだあと。普通に考えたら、あそこで死ぬのはトールじゃなくてムウってのがセオリーでしょ。


 でも生き残って、キラが行方不明になったあとOSをナチュラル用に調整したストライクに乗って戦い続け、最終決戦においてドミニオンのローエングリンからアークエンジェルをかばってストライクごと爆散して戦死した……と思われていました。


 ところがどっこい、生きてて意外な形(笑)で続編『DESTINY』に再登場したりします。


 これ、明らかに後付で設定が変更されたんですよ。初回放送時にはムウのヘルメットが宇宙漂ってたんですから。完全な戦死です。あれで生きてるって何かおかしい。


 ところが、総集編と再編集版で、そのシーンが削られたんですね。オフィシャルで「無かったこと」にされたという。アレです、『ヤマト完結編』に沖田艦長を出すために「実は脳死に至ってなかった」とか無理矢理辻褄合わせたようなモンです(笑)。昔の漫画やアニメにはよくありました。それを二十一世紀にもなってやらかしたのが逆に一周回って新鮮でしたけど(笑)。


 ところで、彼のエースパイロットとしての徒名が「エンデュミオンの鷹」なんですね。これ、明らかに「中の人」ネタなんですが、ムウの声優である子安武人のネタじゃなくて、恋人のマリューさんの中の人である三石琴乃のネタだったりします(笑)。セーラームーンの恋人であるタキシード仮面の転生前の名前が「プリンス・エンディミオン」ですからね。大元ネタはギリシャ神話ですけど、意識してるのはこっちだろうと(笑)。


 子安武人と言えば『W』でゼクス、『ターンA』でギム・ギンガナムと、全然個性が違うライバル(ラスボス)を演じているんですが、今回は味方重要キャラになりました。


 そのムウのライバルで、序盤のシャアポジションだったのがラウ・ル・クルーゼです。アスランの師匠役にあたります。一番最初のところで書いた「主人公をシャアの横に置く」のシャアにあたるわけです。


 ところが、この人、シャアと言うには弱い(笑)。確かにムウとはライバルで互角に戦っていましたし、序盤のキラにとっては強敵っぽかったのですが、覚醒後のキラと戦ったときは一方的に翻弄されていました。


 ところが、最後にプロヴィデンスに乗ると、こっちも覚醒(笑)。ムウと同等の空間認識能力を持っていたのでドラグーンシステムを使って無双します。結局、強敵ラスボスとしてキラに討たれて散りました。


 これ、あとで設定を読んで驚愕したんですが、実はコーディネーターじゃなくてナチュラルだったんですよ、この人。そうだとすると驚異的な能力なんですけどね。


 この人は、ムウの父親のクローンだったため、寿命が限られていたんです。寿命が近づくと急激に老化するという。そんな自分を作り出した人類そのものを憎んでいて、戦争が激化して人類が滅べばよいと思っているという歪んだ人でした。フレイにニュートロンジャマーキャンセラーの図面を渡して連合側に情報を流したのも、それによって戦争が激化する(=核兵器が再び解禁されるので、より人類の絶滅が近づく)ことを望んだからのようですね。


 ムウとはある意味血縁関係なんですが、実はどっちもムウの父親には捨てられたという共通点があったりします。つまり諸悪の根源はムウの父親(笑)。


 何というか、この人の評価って難しいんですよね。敵の指揮官としては、まずまず有能。アスランの師匠としても、それなりにアスランの成長を促してたりはするんですよ。パイロットとしても、基本的に優秀。ただ、中盤の弱々っぷりとラスボスとしての強さのギャップに違和感があるという。


 そして、ラスボスとしては小物臭が漂ってしまうんですよ。あくまで個人的な恨みによって人類滅亡を願うあたり、『X』のフロスト兄弟系なんですよね。シャアも個人的な恨みに引っ張られてたりはするんですが、「ラスボスとしてのシャア」としては、そこは乗り越えているので。


 さて、最後に残ったのが、この三人の中では一番おっさん臭い(笑)アンドリュー・バルトフェルドです。「砂漠の虎」の異名を持つエースパイロットで、優れた指揮官でもあります。年齢は『SEED』時点で三十歳と三十路に入っていたようです。何かこの人については名前呼びじゃなくて姓で呼ぶ方が似合ってる気がするんですよね。


 えー、平たく言うと、この人は『ガンダム』のランバ・ラルのポジションです(笑)。大人の男としてキラの前に現れて、この人を打倒することでキラが男として成長していくという。


 元ネタ的には第二次大戦時のナチス・ドイツの軍人「砂漠の狐」ことエルヴィン・ロンメル将軍が入ってますね。


 普通にラゴゥを操る強敵ですが、街中でキラに遭遇して家に招待して戦う意味について語り合ったりするなどもしています。要するに、本当にランバ・ラルなんですよ。愛人も連れてるし(笑)。


 ところが、この愛人アイシャがハモンさんよりは強い(笑)。一緒にラゴゥに乗ってガンナーとして戦ってたりします。要するに射撃の腕はバルトフェルドより上なんですね。なお、愛人だとばっかり思ってたんですが、Wikiによると真っ当なお付き合いをしている恋人だったそうです(笑)。でも、やっぱりザフト正規軍の所属じゃなくてバルトフェルドの私兵扱いだそうで。どうしてガンダムのおっさんキャラは愛人を軍に連れ込むのか?(笑)


 なお、このアイシャさんの声優は、第二期主題歌を歌ったビビアン・スーなんで、ぶっちゃけ演技は下手です(笑)。


 そして、二人してキラのストライクに挑んだものの、キラの成長の前に返り討ちにあって共に戦死……とならなかったんです。


 バルトフェルドだけ生き残って再登場するんですね。片目、片手、片足を失うものの、命を長らえてエターナルの艦長として再登場するという。


 そして、エターナルごとラクス派に鞍替えするんですよ。自分の信念に従って。愛するアイシャを殺したキラともわだかまりを見せずに仲間として共に戦うという。


 このあたり、ムチャクチャ大人なんですよ。カッコ良いんです。実は、この頃って、ちょうど自分自身がバルトフェルドと同じくらいの年齢だったんですが、とてもじゃないけど、ここまでカッコ良い大人にはなってなかったなあとか思ったり。いやまあ、それから十七年たった今でもこの域には達してないんですが(爆)。


 続編『DESTINY』でも引き続き登場する重要キャラなんですが、そこではちょっと不遇だったりします。それについては『DESTINY』で語りましょう。


 ほかにも登場キャラは多いんですが、語りたいのはこのくらいかなあ。あと、政治上のラスボスであるパトリック・ザラについては語りたいので、次回は彼について語ってから総評をして『SEED』語りを締めたいと思います。

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