第307話 機動戦士ガンダムSEED その7 いいヤツから先に死ぬ編

 『SEED』語りも7回目、そろそろ巻いて行きたいと思います。今回はその他の主要キャラのうち、キラとアスランの仲間について語りたいと思うのですが、その中でもストーリー進行上のターニングポイントになったことに関係して、こういうサブタイトルにしてみました。


 流れとしてはキラの仲間から語るのが筋なんでしょうが、今回は逆にライバル系、アスランの仲間から語りたいと思います。


 五機のガンダムのうち四機を奪っていった四人がライバルという形になるでしょう。ただ、最終的にはアスラン以外はキラのライバルというには格落ちになってしまったのですが。当のアスランはライバルじゃなくてダブル主人公ですし。


 このうち、デュエルを奪ったイザーク・ジュールは最後までザフト所属のままでした。一番わかりやすいタイプの美形ライバルですね。どちらかというと、スーパーロボ時代のプリンス・シャーキンとか大将軍ガルーダとかプリンス・ハイネルとかに連なるタイプの「顔は良いけど言動は脳筋」タイプです。


 ただ、彼は非常に重要な役を果たしているんですよ。最初のコロニー「ユニウス7」からの脱出した民間人が乗ったシャトルを撃墜しているんです。それも、幼い子供が乗ったやつを。それを目撃したキラが怒りで覚醒するんです。


 これは、本人的には民間人虐殺の意図はまったく無いというのが作中で明示されています。シャトルが戦艦から脱出しようとしているのを見て「高級士官だけ逃げようというのか!?」みたいなことを叫んで撃墜してるんですね。


 のちには自軍による敵軍投降兵虐殺に嫌悪感を示していることから、あくまで「卑怯な行動」への怒りが元だったのかと思えます。


 最初は脳筋で敵へも味方へも厳しい性格でしたが、戦争をくぐり抜け、あとで書く味方の戦死などを乗り越えて性格が丸くなり、最後まで生き残って続編『DESTINY』でも指揮官として活躍しています。


 生き残った二人目がバスターを奪ったディアッカ・エルスマンで、前話でミリアリアとちょっといい感じになったけど最終的には続編『DESTINY』で振られたということは既に書きました。


 彼はイザークに比べると軽い性格っぽく描かれていたのですが、やはり最初は好戦的でした。しかし、アークエンジェルの捕虜になって、のちにラクス派に寝返ってキラやアスランと共に戦うようになり、最後まで生き残ります。


 ただ、こいつの場合、印象的なエピソードがミリアリアとの恋愛なんですよね(笑)。イザークの親友であり、敵に回ったあとでも影響をあたえていたりはするんですが、そのことよりもミリアリアに惚れてアプローチしてる行動の方が印象が強いという(笑)。


 なお、『SEED』ではエリートを示す赤服だったのに、続編『DESTINY』では一般兵の緑服になっているので、ラクス派に寝返った罪で降格されたのかと思っていたのですがWikiとかによると違うようです。一度除隊してから再入隊したので緑服扱いなんだとか。でも、どっちにせよアスランも同じ扱いにならないとおかしくないかと思うのですが(笑)。


 四人組最後のひとりがブリッツを奪ったニコル・アマルフィです。温厚な慎重派で、アスランの親友になります。四人組の中でも一番繊細な性格でした。


 「いい人」なんですよ、彼。戦闘でも慎重派であるためイザークやディアッカに侮られることがあったのですが、それでもきちんと戦果は上げています。


 アスランを気遣うのはもちろん、イザークやディアッカのようにナチュラルを見下すようなこともありませんでした。


 でも、そんな性格だったからこそ、自分の身を挺してもアスランを救おうとしてストライクに突撃してしまうんですね。そして、キラもとっさに反撃したので手加減できずコクピットを直撃してしまうという。それで四人組の中で唯一の戦死者になってしまいます。


 これが、キラとアスランの間の大きなわだかまりになってしまうんですね。ストーリー上非常に重要なターニングポイントになります。


 そして、それをリフレインして補強したのが、次に紹介するキラ側の友人トール・ケーニヒなんです。


 これまた「いいヤツ」なんですよ。頭はあまり良くないけど明朗快活なムードメーカーで、コーディネーターであるキラへの偏見もなく、仲の良い友人でした。同じく明朗快活なムードメーカータイプで偏見の無いミリアリアと恋人関係にありました。


 そして、少しでも役に立ちたいとスカイグラスパーのパイロットに志願するのですが、本来支援役としてあまり戦闘にはかかわらないはずだったのに、ニコル戦死で怒りに燃えるアスランの攻撃を受けて戦死してしまうという。


 キラとアスランが互いに相手の親しい友人を殺し合ってしまったんですよ。これでラクス派として合流するまでの二人の対立が決定的なものになってしまうんですね。


 それぞれの主要レギュラーで中盤で戦死するのは、この二人だけなんですよ。「いい人」「いいヤツ」から先に死ぬんですよね。


 キラ側の友人は印象が薄いキャラが多いんですが、このトールと、フレイを寝取られたサイ・アーガイルはやはり結構強い印象を残していますね。


 そのサイはフレイがキラになびいたことで一度自分でもストライクを動かそうとするのですが結局それもできず、自信を喪失してしまいます。本来はナチュラルとしては頭が良く気配りもできる「いいヤツ」なんですけど。


 それでも、最後まで仲間を気遣い続けてましたし、キラが行方不明になったときには心配して、戻ってきた時には喜ぶなど、NTR経験を乗り越えて成長していたことがうかがえます。ぶっちゃけ、フレイには勿体ない男です(笑)。いい人の割に最後まで生き残れたのは、NTRされるというヒドい目にあったからじゃないかなとか思ったり(笑)。


 でも、それで真人間として社会復帰したからか(笑)、続編『DESTINY』ではアークエンジェルには乗り込まずモブとして顔見せしただけでした。


 キラとアスランの仲間としては、このあたりになりますね。次回は師匠格の二人について語りたいと思います。

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