第299話 電脳冒険記ウェブダイバー(2001-02年)

 さて、今回紹介する『電脳冒険記ウェブダイバー』はリアルタイムで全話見ております。これは実は在来型のマーチャンダイズを意識した作品だったりします。つまり、ロボの玩具を売るための作品なんですね。それもバリバリのスーパーロボット。お子様向け作品だったりします。


 しかし、これがストーリー面で言えば非常に丁寧に作られているのですよ。子供向けではあっても、子供だましではない。子供が主人公の冒険物語ではありますし、ストーリーラインは完全に子供向けなのですが、大人の視聴にも耐えられるんです。


 また、作画についても、セル画で描かれた部分のクオリティは決して悪くはありませんでした。


 じゃあ、セル画で描かれてない部分があるのかというと、あるんです。ロボの変形バンクから戦闘シーンに関しては、フルCGなんですね。


 ただ、この作品についてググってみると、出てくる評価がほぼ一定しているのですよ。前記のようにストーリーとセル作画の質は高いのですが、CGについての評価は「残念」「棒立ち」という(笑)。


 ですが、私はリアルタイム視聴していたとき、そこはあんまり気にしていませんでした。作画がヒドいアニメを見慣れた(笑)せいもあるかとは思いますが、ストーリーラインの方が非常にまともだったので、そこで減点する気にならなかったんだと思います。


 さて、本作の舞台は未来のコンピューターネットワークです。子供たちもVRみたいな電脳世界にダイブして、そこで遊んでいるという。ところが、そこに悪のコンピュータウイルスが襲ってきて、子供たちを閉じ込めてしまったという。


 そこで、電脳世界に閉じ込められた弟や友達を救うために主人公である結城ケントが立ち上がり、電脳世界を守る守護プログラム「ウェブナイト」であるロボ「グラディオン」と協力して、悪のウイルスが差し向ける刺客プログラムと戦っていくというのが基本的なストーリーラインになります。


 ここで、守護プログラムであるロボとシンクロできる能力があるのが「ウェブダイバー」と呼ばれる子供たちなんですね。これが作品タイトルになってます。ケントもグラディオンのウェブダイバーとして共に戦っていくという。実に王道なロボットアニメなんですが、舞台が電脳空間であるあたりが、二十一世紀なんですよねえ。もう、普通の街中でロボが暴れるなんてことにはリアリティを感じられない時代になったってことなんでしょう。


 最初のころの敵は、ウイルスに感染して操られたウェブナイトが刺客として襲ってきます。また、閉じ込められた子供たちの中でウェブダイバーの資質を持つ子が洗脳されて、操られたウェブナイトたちのウェブダイバーとなって一緒に襲いかかってきます。


 それらを倒して洗脳から解放していくんですね。なので、だんだんと仲間が増えていくという。ただ、レギュラーで仲間として戦ってくれるウェブナイトは数体ですけど。


 主人公の弟であるカイトも、助け出されたあとはグラディオンと合体できるウェブナイト「ワイバリオン」のウェブダイバーになります。ありがちパワーアップですけど、実は合体した回数はそんなに多くなかったという印象が残っています。


 一番面白かったのが、のちに主人公たちの参謀格になるケントの一年先輩の倉知ショウというキャラです。一見するとクール系美少年なんですが、中身は凄く温厚篤実な完璧超人で、初登場時からケントが「ショウさんが戻ってきてくれたなら安心だ」みたいに凄く信頼しているという。ただ、実はそれはウイルス側の罠で、洗脳された状態で戻されてきたという。もちろん、洗脳されていることが明らかになって、倒された上で改めて仲間になるんですが、仲間になったあとは本当に頼りになる兄貴分になるという。


 それで何が面白かったかというと、この初登場時に敵として戦ったときにパートナーだったウェブナイトは「ペガシオン」というロボだったのですが、ぶっちゃけるとこいつは大したロボじゃないという。


 なので、仲間になったときにペガシオンと一緒に戦うってのはショウの無駄使いじゃないかなと思ってたんですよ。


 ところが、仲間になったあとのパートナーが代わったという。ショウが戻ってきたあとで中盤ボスとして登場した「ダイタリオン」ってウェブナイトがショウのパートナーになるんですね。


 このダイタリオンは、敵として出てきたときは「時間を操る」というムチャクチャな能力を持ってたロボでして。非常な強敵として描かれていたので、こいつがショウのパートナーになるのは妥当だなと思ったおぼえがあります。敵だったときのウェブダイバーは原ツバサでした。


 もっとも、今調べてみたらダイタリオンってペガシオンと合体するみたいなんですよね。しかもWikiだと洗脳されてたときのダイタリオンのウェブダイバーは原ツバサだけじゃなくて一緒にショウもウェブダイバーをやってたって書いてあるという。


 何かいまひとつ記憶と齟齬があるので、ここは私の記憶の方が間違っているかもしれません。


 なお、ヒロインにあたる有栖川アオイの印象はそんなに強く残ってないのですが、今回ググってみたところ、実は初期設定だとラスボス候補だったので前期OPにワンシーンだけ意味深なカットがあったみたいに書いてあったんですが、リアルタイム当時はそんなの見落としてましたね(笑)。これはまあ、そんな設定にしなくて正解だったと思います。


 そうそう、主役ロボであるグラディオンは出撃時は蒸気機関車で、それから変形して戦います。このあたり、いかにもタカラ製ロボらしいという(笑)。


 あと、こいつ黒目があるロボなんですよね。ジャイアントロボとか『ヤマトタケル』のスサノオとか、この頃には黒目ロボが少し復権してましたけど、それでも珍しい方だと思います。ただ、自分の意志があるロボなんで黒目があることにそんなに違和感がなかったという。


 なお、玩具の方はテレビにつなぐとテレビゲームができるという仕様だったようです。このあたりも実に2001年だなあと。まあ、そのせいで高かったようですが(笑)。


 ググってみたところOPの評価がやたらと高かったので見てみたところ、前期OPの方は記憶にありましたね。リアルタイム当時も名曲だとは思っていました。後期OPの方が記憶から抜け落ちているという。何でだろう?


 とまあ、戦闘時のCGなどに多少の難はあるのですが、私はなかなかの名作だったと思っています。やっぱり、ストーリーラインをきっちり丁寧に作ってくれたら、子供向けであっても面白いんですよ。


 さて、次回は2002年に入って『ラーゼフォン』に行ってみましょう。実はこれ大好きだという感想をいただいたことがあります。ただ、好きな方には申し訳ないのですが、ちょっと評価が辛めになりますので、そこのところはご了承ください。

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