第298話 Z.O.E Dolores,i(2001年)

 さて、今回から2001年、いよいよ二十一世紀に入ります。最初にご紹介するのは『Z.O.E Dolores,i』(以下ZOEと略記)なのですが、これは実はコナミのコンピューターゲーム『ZONEゾーン OFオブ THE ENDERSエンダーズ』のアニメ化作品だったりします。しかも、本作の前にOVA版が存在しているという。ところが、私は両方とも知りません。それで何で本作を見たのかというと、最初はゲーム原作だって知らなかったんですよ。アニメ誌とかでロボットアニメだってのを読んで、なんとなく見たんじゃないかと思います。


 ただ、原作のゲームや前作のOVAを知らなくても、作品自体を理解するのにはまったく問題はありませんでした。そういう意味では良い作品だったと思います。


 本作の最大の特徴は『アクロバンチ』と同じです。つまり、主人公がオッサン(笑)。何と49歳ですよ。そして、離婚した妻から送られてきたロボを手掛かりに、死んだとされている元妻を探しに行くというのがメインストーリーになります。


 主人公は元軍人で、しがない宇宙貨物船の船長なんですが、そこに最新鋭の人型兵器が送られてくるという。このロボがまた、きゃぴきゃぴの女の子の人格を持ってたりするんですね。それで、その女の子ロボ「ドロレス」と中年オッサンのデコボココンビが戦いながらピンチを乗り越えていくという。


 つまり、作品的なヒロインはロボ(笑)。終盤になって出てくるオッサンのヒロインである元妻は、別に若妻とかじゃなくてオッサンと同年代(四十代後半)という有様(笑)。まあ、そんな年には見えない美魔女ではあるのですが、でも四十代後半。


 さすがに作品的にあんまりだと思ったのか、一応この夫婦の娘も出てきます。母親ゆずりの美貌の持ち主ではありますが、年齢は既に二十三歳。ロボットアニメのヒロインとしては年がいってますよね(笑)。


 あと、息子も出てきます。父親がロボのせいで陰謀に巻き込まれて冤罪くらうんですが、そのせいで一流企業から解雇されてしまって最初は父親を恨んでいました。


 要するに、前半は「奥さん探して三千里」なんですよ(笑)。まあ、陰謀に巻き込まれて戦闘しかけられたりもするんですが。ところが、最新兵器であるはずのロボのAIが女の子なモンで性能を生かせず大苦戦というのが定番のパターン(笑)。


 それを家族が協力して乗り越えていって、奥さんとも再会して、奥さんがロボを送ってきた真意みたいなのが明らかになると。


 奥さんは火星出身なんですが、火星の独立運動に協力してたんですね。ところが火星独立運動の過激派が、このロボの機能を使って軌道エレベーターを倒壊させるというテロを起こして地球を攻撃するという狙いだったのを知って、それを阻止しようとしてロボを元旦那の所に送ったという。それで、終盤はそのテロを阻止するために一家総出で戦っていくという。


 その中で、崩壊していた家族が絆を取り戻していくんですね。


 結局、ロボ自体は最終決戦で失われてしまうのですが、AIは取り出されてオッサンの宇宙船のAIとして活躍することになります。オッサンは奥さんと復縁して、AI積んだ宇宙船で再び仕事を始め、子供たちも親との仲を修復して、それぞれの道を歩み出すという。


 二クールできっちりとまとまっており、ゲームやOVAを知らなくてもストーリーが理解できて、話もなかなか面白い佳作でした。作画も、この頃の深夜アニメとしては、なかなか頑張っていたという印象があります。


 ただ、前回の『トライゼノン』と同じで、超名作という感じで「ひっかかる」部分は無かったんですよね。いやまあ、主人公がオッサンでロボがきゃぴきゃぴ女の子という中々凄い特徴があったりはするんですが(笑)。というか、全体のストーリー以外はそこしかおぼえてないという(爆)。


 でもまあ、『エーアガイツ』みたいに何も記憶に残ってないとか、『サイバスター』みたいに悪い部分しかおぼえてないよりは、よっぽど良い作品だったと思います。


 さて、次回は『電脳冒険記ウェブダイバー』に行ってみましょう。


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