第288話 THEビッグオー(1999-2000年/2003年)
今回のお題は『THEビッグオー』です。こちらは有料BS局「WOWOW」での放送が初出のため、リアルタイムでは未見です。ただし、のちにCS放送で全話視聴しています。また、本作は1999年から2000年にかけてファーストシーズン十三話が作られ、謎を残したまま完結となったはずだったのですが、アメリカで人気が出たために2003年にセカンドシーズン十三話が作られ、全二十六話で完結しています。私はCSでセカンドシーズンまで一気に見ることができました。このため、制作年度は違いますが一括して扱います。これ以降は、本作のように同一作品なのにセカンドシーズンは制作年度が変わる作品が増えていきますが、『ビーストウォーズ』と『メタルス』みたいに明確に別番組扱いのもの以外は一括で扱おうかと思っております。
これは、本来全二十六話で構想されたものが諸事情で十三話しか作れないことになったので、最初から謎を残したまま「打ち切りエンド」にする予定で作ったのだそうです。ところが、それをアメリカに輸出したら大人気となって「ちゃんと完結させろや!」という要望がアメリカのファンから多く寄せられたのでセカンドシーズンを作れることになったのだとか。いやあ、巨大ロボットアニメもインターナショナルな時代になったものですねえ。
また、これはインターネット時代だからこその影響かなとも思えます。本当に世界とのつながりが近くなったのでしょう。
主役ロボの「ビッグオー」のデザインは、従来のロボのデザインからすると少しバランスが変です。腕と足が太いのはまだしも、胴体が細くて首が長い。あと、顔に泣いているように見える筋があるのですが、Wikiによるとこれは『ロボット刑事』の主役ロボ(等身大)である「K」へのオマージュだとか。なお、本作世界の巨大ロボは「メガデウス」と総称されています。
ただ、動いてるシーンを見ると、ムチャクチャカッコ良いのです。主人公ロジャー・スミスが「ビッグオー、ショウターイム!」とか叫んで呼び出すところとか、起動時に「YE NOT GUILTY」――汝ら罪なし――と表示されるところとかも無意味にスタイリッシュでカッコ良いのですよ。なお、この「YE」は英語の古語で、現在のYOUにあたります。シェイクスピアとかだと出てきます。
敵ロボでもビッグオーの姉妹機にあたるビッグシリーズだと同じ演出がされるのですが、ライバル機の「ビッグデュオ」のときに一度だけ「YE GUILTY」――有罪――と出たことがあるのを強烈におぼえています。これは正規に機体に認められたパイロットじゃなかったからみたいですね。
Wikiを見てみると多彩な武装があったりするのですが、目からビームは印象に残っているものの、一番使ってたパイルバンカー風の必殺パンチ「サドンインパクト」以外はあまり記憶に残っていないという。最終必殺技「ファイナルステージ」もあまりおぼえてないなあ。
敵ロボとしては、ビッグシリーズでビッグオーによく似た赤い機体ビッグデュオが特に印象に残ってますね。ラスボスにあたる白い機体「ビッグファウ」よりも印象が強かったです。先にあげた「YE GUILTY」のイメージもあるかもしれません。
あと、最初の方に「アーキタイプ」というビッグオーのプロトタイプみたいなのが敵として出てきたんですが、顔が非常に不気味なんですよ。この顔はビッグオーとかもフェイスカバーを外すと同じ顔が出てきたはずです。
主人公のロジャー・スミスは「過去を失った街」パラダイムシティで凄腕の
また、設定上「凄腕」ということになっているものの、作中ではマトモに交渉に成功したことがほとんど無いという(笑)。本人も「誰でもできる」みたいに言っていた子供の使いのような交渉に成功したシーンはあるものの、大抵は交渉に失敗して巨大ロボが大暴れを始めてしまうので、「ショウターイム!」とかビッグオーを呼び出して力ずくで鎮圧して事件を収拾するんですよ(笑)。
ヒロインにあたるのが「
こいつ、頭に「R」って付いているように、実はアンドロイドです。大元ネタはアイザック・アシモフのロボットSFに出てくる「R・ダニール・オリヴォー」でしょうけど、それをオマージュした漫画『究極超人あ~る』の「R・田中一郎」とかも入っているでしょうね。
第1話と第2話では、姉妹にあたる巨大ロボのコアにされたりしていましたが、そこからロジャーによって救い出されたあとは、一貫してロジャーの元に居ます。アンドロイドなので無表情ですが、実は感情はあり、ロジャーの黒一色の服装を「趣味が最低」と言い放ったりしています。いちいちロジャーが嫌う曲をピアノで毎朝演奏して目覚まし代わりにするというような嫌がらせをしたりもしていました。
無表情+毒舌ということで、これもレイとアスカのイイとこ取り系のヒロインに入るのかなとか思ったり。
なお、声優は矢島晶子でロボ的には『W』のリリーナなのですが、やっぱり初代クレヨンしんちゃんの方が印象的です(笑)。リリーナとは色々な意味で対照的なドロシーをきっちり演じているあたりはさすがです。
セカンドヒロインとして、峰不二子っぽい正体不明の謎の女「エンジェル」も居たりするんですが、作中でロジャー自身が非常に不本意っぽいながらもドロシーの方を選んでしまうというシーンがありました。これにはロジャーに好意をいだいていたエンジェルの方も「機械人形なんかに」と非常に不愉快そうにしていたのが印象的でしたね。
作中の謎はいろいろとあって、全部は解明されていないのですが、パラダイムシティの実態は明かされています。
常に雨雲に隠されていた空の彼方には、実は照明がつり下げられた巨大な天井があったという。街全体が超巨大な撮影スタジオだったんですよ。「過去を失った」んじゃなくて、そもそもが「過去の無い」作られた街だったという。そして、作中の登場人物は、全員がそこで与えられた役割を演技しているだけだったというようなことが暗示されていました。
あと、オープニング主題歌「BIG-O!」については、曲は『フラッシュゴードン』で映像は『ウルトラセブン』というツッコミはリアルタイム当時から散々入っていましたが、私は元ネタのフラッシュゴードンの方を知らないので、まあいいや程度に思っていました。セカンドシーズンでは主題歌が変わったらしいのですが、私が見たCS放送では「BIG-O!」が継続して使われていたので、そちらの印象はありません。
作品全体として作画も安定していました。そもそもが打ち切りエンド上等で作られた作品で、謎も投げっぱなしになっているものはあるのですが、とりあえずきちんと完結はしています。また、基本的には一話完結の話の積み上げで、それぞれの話が面白いので、作品としては名作と言ってよいかと思います。
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