第286話 魔装機神サイバスター(1999年)

 今回のお題は『魔装機神サイバスター』です。私は本作をリアルタイムで全二十六話視聴しています。本作はゲームが原作であり、元はあの「スーパーロボット大戦」シリーズに登場するオリジナルキャラでした。私はスパロボは『F完結編』までは、「64」専用の作品以外はほぼ全作プレイしており、また魔装機神が主人公の外伝『スーパーロボット大戦外伝 魔装機神 THE LOAD OF ELEMENTAL』(スーパーファミコン版)と、それとは全面的に設定を改訂した『真・魔装機神 PANZER WARFARE』(プレイステーション版)の両作もプレイしてクリアしています。特にスーファミ版の『魔装機神』は何度も繰り返してプレイしたお気に入りの作品でした。


 さて、私は今まで予告では「問題作」程度の穏便な表現にとどめていました。実際の評では「駄作」呼ばわりした作品もありましたが、それでも予告で「この世から抹殺したいほど嫌い」とまで表現した作品は今までありませんでした。本作は、それほどの「駄作」……いや、それを上回る「愚作」です。


 これは、私だけの評価ではありません。今回ググってみた際の作品評における評は、以下のようなものでした。


「アニメ自体のできはお世辞にも良いとはいえない」

「内容が原作と乖離しており、作画崩壊も著しい」

「黒歴史扱いしている原作ファンも多い」

「オープニング主題歌は良いが、それ以外は全部ダメ」

「原作への冒涜」

「原作を改悪するだけでなく内容もつまらない」

「作画が最悪、シナリオは平坦」

「原作を知らないけどつまらなかった」


 そしてグーグルで「魔装機神サイバスター アニメ」で検索した場合の検索キーワード候補に「魔装機神サイバスター 黒歴史」とか「サイバスター アニメ ひどい」なんて候補が出てくる時点で、内容が知れようというものです。


 特に、作画についてはWikiにおいてDVD収録の監督インタビューの「絵のクオリティについては申し訳ないと思う部分もあります」という監督自身の釈明がとりあげられているほどです。


 私は、どちらかというと作画崩壊に対しては寛容な方です。作画が良くてシナリオがイマイチだった『鉄人28号FX』よりは、作画は崩壊気味でもシナリオが良かった『ゲッターロボ號』の方を高く評価しているくらいですから。


 また、私は確かに原作、特にスーファミ版『魔装機神』のファンではありますが、だからといって原作至上主義というわけではありません。『ゴッドマーズ』や『Gガンダム』を高く評価しているように、原作とかけ離れていても面白ければ「別物だけど面白い」ときちんと評価します。


 また、世間一般の評価によって自分の評価を曲げることはありません。世間的には人気作の『ガンダムW』でも駄作と評価し、失敗作扱いされる『ガンダムX』の方が面白いと評価してきました。


 ですので、私の本作に対する評価の低さは、ひとえにストーリーのつまらなさに起因します。


 『ガサラキ』みたいに意味不明というわけではないんです。作中で設定はきちんと説明され、謎とかも明らかにされています。


 でも、つまらない。盛り上がらない。面白くない。


 あと、ロボの戦闘シーンもカッコ良くありませんでした。「リアルさを追求した」とか書いているところもありますが、爽快感がこれっぽっちも無かったんです。もう、本当に「何でこんな風になるんだ」という感想しか無かったんですよ。


 それに、キャラデザも好みではなかったです。こちらは、まあ、目をつぶれる程度ではあるんですが。


 あと、原作とは別物とは思っていても、特に好きだったヒロインのリューネが、微妙にファミリーネームを変えつつも設定的には微妙に継承しつつ、全然性格が違うキャラに変えられて脇役落ちしていたというのは非常にマイナスポイントでした。


 最後は、半ばは意地、半ばはあきらめの境地になって最終回まで見通しました。


 本作は、そもそも誰をターゲットに作られたのかが、本当に謎なんですよ。原作ファン向けというなら改変が過ぎる。その割にキャラやロボの名前やデザインは中途半端に原作を意識しているという。


 かといって、新規ファン開拓向けだったとしても、設定がオリジナルすぎて原作への訴求につながらないんですよ。


 ただ、これは「スパロボ」の制作元である「バンプレスト」と「魔装機神」の原作である下請けソフトメーカー「ウィンキーソフト」の関係があるのかなとは当時から推測してはいました。


 初期スパロボの実際の制作会社だった下請け「ウィンキーソフト」との提携が、この少し前の時期に解消されているんです。それで「ウィンキーソフト」が原作だった「魔装機神」について、まったく新しい設定のゲームがバンプレストから発売されているんですよ。それが『真・魔装機神』だったんです。


 こちらは、本作放送中にゲームが販売されています。この『真・魔装機神』の方の設定で作るというのなら、まだわかるんですよ。


 ところが、本作の設定は『真・魔装機神』ともかけ離れているんです。


 じゃあ、本作は一体何のために、誰に向けて作られたんだと。


 そもそも『魔装機神サイバスター』という名前を冠して作る意味があったのかと。


 そこのところを一番問いたい作品なんですよ。


 ちなみに、後年になって『スーパーロボット大戦』のオリジナルキャラクターを集めて作られた『OG』シリーズのアニメも作られ、そこで原作準拠の魔装機神ロボやキャラクターが登場しているのですが、私は既にこちらを見る気力を失っていました。それだけ、本作のできが酷かったということです。


 なお、「これだけは名曲」と評価されることが多いオープニング主題歌「戦士よ、起ち上がれ!」ですが、私の記憶からは抹殺されているようで、全然思い出せませんでした。歌詞を見たら冒頭部だけ思い出せました。今は動画で聞ける時代なので聞き直しました。確かに悪くはないですが、名曲とまでは言えないかなと思ったり。ただ、これは作品に引っ張られて評価が辛くなっているかもしれません。


 最後にもう一度繰り返しますが、本作は「愚作」であり、世界から抹殺したい作品です。ここまで嫌いな巨大ロボットアニメは、ほかにありません。今回は、このネタゼリフで締めくくらせていただきたいと思います。


「あやまれ!! サイバスターさんにあやまれ!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る