第260話 勇者王ガオガイガー その11 緑の髪の少年編

「君たちに最新情報を公開しよう!」


 ガガガ語りの11回目は、もうひとりの主人公である少年「天海あまみ まもる」について語りたいと思います。ですのでサブタイトルは護がフィーチャーされた第2話のサブタイをいただきました。


 さて、こちらは「勇者シリーズ」では『エクスカイザー』のコウタ以来の伝統ある「勇者の友達になる少年」系の少年主人公にあたります。ただし、今回は「勇者」であるガイが普通に地球人としての常識を持っているので、「常識を教える」とか「指揮する」タイプではなく、護本人が特殊能力を持っているという前例の無いパターンになっています。


 第1話冒頭では、赤ん坊のときに養父母となる天海夫妻の前にギャレオンが現れて護を託して去って行くシーンが描かれます。これが放送当時1997年の話と設定されています。ただ、このシーンについて護本人が知るのは、かなり後になります。護本人は普通の少年として養父母の愛を一心に受けて元気で健全な少年として育っていきます。


 そして、八歳になった2005年(本作の設定年台)のときに小学校の社会科見学の途中で初のゾンダーロボ出現に巻き込まれたのですが、この時点では超能力はほとんど発揮していません。なお、この際に救助にかけつけたガイを「おじさん」呼ばわりして「まだ二十歳なんだから『おじさん』はやめてくれ」と冗談交じりに抗議されています(笑)。


 それでガオガイガーの活躍でゾンダーロボは破壊され、ゾンダー核が抜き出されたのですが、そこでガオガイガーが核を破壊しようとしたときに、護の体に変化が生じます。髪の毛が逆立って緑色に変化すると同時に、背中にトンボのような光の羽根が生え、全身が緑の光におおわれて飛べるようになったのです。


 そしてガオガイガーの手元へ飛来すると、浄解の呪文を唱えてゾンダー核を元の人間に戻したのでした。


 この時点では、実は本人も何をやったのか理解していません。本能的に行っていて、自分がやったことに自分自身で驚愕しています。だから逃げるように飛び去って自宅に戻ってしまいます。


 このあと、数回にわたってガオガイガーがゾンダーロボを倒したときに飛来してはゾンダー核を元の人に戻して去って行くという、謎のヒーロー(笑)みたいな行動をとります。


 その後、GGG諜報部の活躍で正体が天海護であると判明して、GGGの接触を受け、自分の力を生かせるならとGGGに所属することを決意し、特別隊員となります。その際にもらった連絡アイテムが「GGGポケベル」です。


 これがまた、時代を感じさせるアイテムなんですよねえ。既に『エヴァンゲリオン』で携帯電話がアイテムに使われているくらいに普及していたのですが、まだ小学生が持つには早いという時代だったんですよ。


 それで、少し古くなっていたものの、文字連絡ができる「ポケベル」がアイテムに使われたのでしょう。護が超能力でゾンダー出現を感知したときには、このGGGポケベルで連絡するシーンも多々ありました。


 ただし、前記の学校が乗っ取られた「ゾンダー先生」事件のときには、この連絡すら妨害されて「今日の給食はカレー。楽しみだな」みたいな文章に変えられてしまっていたという(笑)。


 その後は、ゾンダーを感知できる力と、ゾンダーを浄解できる力を使って、GGG特別隊員として活躍していきます。また、Gストーンを強化したり、調整したりすることもできるので、ガイや勇者をパワーアップさせたり、ガイの体調を整えたりするようなこともしていました。


 このあたり、それまでの「特に能力があるわけではない」少年主人公とは明らかに違うんですね。


 そしてストーリーの中で、その正体が徐々に明かされていきます。護の本当の名前は「ラティオ」といい、緑の星の指導者「カイン」の息子だったんです。緑の星がゾンダーによって滅ぼされる前にギャレオンに託されて脱出していたんですね。


 ただ、護本人は育ててくれた義父母を本当の両親として慕っています。これが見てて羨ましくなるくらい、本当に仲の良い親子なんですよ。ちょっと太目のお父さんは、宇宙開発公団でスペースシャトルやロケットの打ち上げ管制を行う技術者なんですが、忙しい合間にも護を連れて遊びに行ってくれる優しいお父さんです。護が職場見学に行くという話もありました。おっとり気味のお母さんは作中で怒ったシーンを思い出せないくらい温厚な人です。いつも護を暖かく見守っています。


 この両親に育てられたら、そりゃあ真っ直ぐな良い子に育つよなあ、って感じの素敵な両親なんですよねえ。


 そして、まだ八歳のくせに、何と恋人同然のガールフレンドが居たりするんですよ、こいつ!(笑)


 初野はつのはなという同級生なんですが、幼少期に仲が良かったものの、一度引っ越しで分かれているんです。それが小学校で再会したという。この華ちゃんについては、あとで別項を立てて語りたいと思います。


 自分が宇宙人であることを知って以降は、まだ八歳の身でありながら自己のアイデンティティに悩んだりしていましたが、両親の深い愛情を感じていたからか、はたまた周囲が思いっ切り前向きの連中ばかりだったからか(笑)、自分の能力を前向きに人々のために役立てようとしていました。


 最終回では、機械新種のような新しいゾンダーが宇宙に生まれていたら、それに苦しむ人々を助けたいという理由で、ギャレオンと共に宇宙に旅立ちます。ただ、これは続編『FINAL』への前振りだったのですが、これについては『FINAL』の所で語りましょう。


 さて、この護は「勇者シリーズ」の少年主人公としては、かなり異例のタイプでして、正直なところ「視聴者である少年の感情移入の対象」としてはどうかと思う部分もあるんですよ。良い子であるのは歴代少年主人公も同じなのですが、ここまで「超能力」がある「特別な存在」だと「自分とは違う」という風になるのかなあと思ったりもしました。


 ただ、この護という少年主人公が居ることによって、ガガガは常に「少年の目線」を意識していたのかなというのはあると思います。本作が持つマニアックな部分が暴走せずに本来視聴者層である「少年向け」の部分を最後まで維持し続けることができたのは、やはり護が「もうひとりの主人公」として存在していたことが重要だったのではないかと思います。


 次回はガイのヒロインである命について語りたいと思います。ということで……。


「次回も、このサイトでファイナルフュージョン承認!」

「これが勝利の鍵だ!」 → 宇都木 命


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