第259話 勇者王ガオガイガー その10 鋼のサイボーグ編

「君たちに最新情報を公開しよう!」


 ガガガ語りも二桁の10回目となりました。これからはキャラ編なので巻いて行きたいと思います。今回は主人公のうちのひとりであるサイボーグ・ガイについて語ろうかと思うので、サブタイトルは主題歌冒頭のガイについて歌った部分からいただきました。


 本作第一の主人公である獅子王凱ことサイボーグ・ガイは、類型としては完全なる熱血ヒーローです。元はスペースシャトルのパイロットでしたが、初飛行の際に宇宙から飛来した異種知的生命体第一号EI-01=前半部中ボス「パスダー」と接触事故を起こして重傷を負います。その際に宇宙から飛来したギャレオンに助けられて地球に戻ると、父親である麗雄博士の手でサイボーグ手術を受けて命をとりとめます。


 Gストーンのエネルギーで動く「Gストーンサイボーグ」であり、勇気の力によってパワーアップします。普段でも体重は重いのですが、戦闘時には全身に鎧状のパーツ「アルティメットアーマー」を装着して戦います。このパーツをアタッシュケースに入れて持ち運んでいたシーンもありました。


 戦闘モードに変身するときには「イークィーーップ!!」と叫びます。その際に頭部の金属パーツが伸びて、片目のみゴーグルが装備されます。ただ、片目しか保護していないので、あれはヘッドアップディスプレイみたいな情報投影用の透過ディスプレイじゃないかなとか思ったり。


 等身大でも、かなりの戦闘能力を持っており、機界四天王やロボ化する前のゾンダーと格闘戦を行うことがあります。その際の武器はウィル・ナイフです。


 また、耳の横にある房状のパーツを引くことで「ハイパーモード」が発動し、一時的にパワーアップします。前半部の終盤では、このハイパーモード・ガイ状態で機界四天王のピッツァと戦って勝利しています。


 この人、とにかく非常に前向きな「熱い」性格でして、完全な「熱血主人公」タイプです。たいていのことは「勇気で補えばいい!」で何とかしてしまいます。また、エネルギー源であるGストーンが勇気によってパワーアップするため、それが間違いでないという所が何とも(笑)。


 ただし、この人、決して「脳筋のうきん(=脳みそまで筋肉)」なバカではありません。父親である麗雄博士は世界十大頭脳にも数えられる優秀な科学者であり、本人も高校時代から成績優秀で、高校卒業後すぐにスペースシャトルのパイロットになれるくらいなので、頭は非常に良いのですよ。


 実際、作中でも敵の能力の分析や対処法の考案などを現場で行うこともあり、断じて「勇気だけで特攻するバカ」ではないのです! ……そうは思えないくらいに「勇気」に比重が偏ってる感はありますが(笑)。


 そうは言っても、まだ若いのでライバルであるピッツァと戦うときのように感情にまかせて暴走することもあるんですけどね。


 主人公として、ほぼ完璧超人ですが、後半戦初の戦いで機界三十一原種の攻撃の前にガオガイガーが手も足も出ず、味方GGG基地が全滅したと思ったときには、自分の無力さを嘆いていました。これが珍しいシーンとしてネット上で取り上げられるくらいに、普段は前向きな性格をしています。


 ガオガイガーのところでも書きましたが、前半必殺技のヘル・アンド・ヘブンはガイの体に負担をかけるため、サイボーグでも体が保たないと心配されていました。ゴルディオンハンマーの完成で負担は減ったものの、ファイナルフュージョンして戦うこと自体が体への負担になっており、メンテナンスなどを行っているシーンも作中で見られます。そのメンテナンス中に敵に操られた命がメンテナンスマシンを暴走させて身動きできないガイを攻撃したこともあります。


 その命とは高校時代からの恋人同士です。命からもらったペンダントに勇気をもらって危機を乗り越えたことがあるなど、互いに思い合っているシーンが作中にあります。前記の攻撃を受けたあとも、その信頼と愛情は揺るぎませんでした。


 ところが、機界三十一原種との決戦に勝利して地球に平和が戻ったかと思った、まさにその時に、何と命に植え付けられていたゾンダーの種が活動を開始して、命を「機界新種ゾヌーダ」に作りかえてしまいます。


 それまでのゾンダーとは異なり、物質からエネルギーを奪って石のようにしてしまう「物質昇華」を進めるゾヌーダには、勇者ロボたちも手も足もでません。機械を取り込んで巨大なゾヌーダロボとなったあとは、ゴルディオンハンマーすら物質昇華されて無力化されてしまいます。さらに護の能力でも元に戻すことはできず、護すら無力化されてしまいます。


 ただ、その際の護の奮戦で命の意識が戻りゾヌーダロボのバリアシステムは停止したのですが、命の意志では物質消化を止めることができませんでした。


 そこで、ガイは命を倒すのではなく、命を元に戻そうとして護が浄解じょうかい(=ゾンダーを元に戻す)ときの呪文を唱え、半分物質昇華されながらもゾヌーダに口づけすることで、ゾヌーダの浄解に成功して命を元に戻します。これによって物質消化された物もあらかた元に戻り、護も意識を取り戻します。なお、破壊された町については、最終回のみ登場の「カーペンターズ」というプライヤーズの量産型みたいな連中が修復してまわっていました。


 その際に起きた奇跡によって、ガイはサイボーグの体から、その能力を取り込んだ新人類「エヴォリューダー」に進化します。また、命も「セミ・エヴォリューダー」となったのでした。


 実は、この最終回の構造、非常に似てる先行作品があるんですよ。既に書いた『Gガンダム』です。前半部の最後の中ボス戦でラスボスを倒したクラスの盛り上がりがあり、さらに一度ラスボスを倒したあとで、今度はヒロインがラスボス化したのを愛で取り戻すという。最初に視聴したときから「似てるなあ」と思っていました。もっとも『Gガン』の告白が史上最強クラスに熱い公開告白だったのに対して、こちらは普段の熱血ぶりとは裏腹の、かなり静かでしんみりとした告白でしたけど。


 演じている檜山修之は『マイトガイン』の旋風寺舞人で既に一度「勇者シリーズ」の主役を張っています。舞人のヒーロー然とした演技を評価されての再登板だったのではないかなと推測したり。『08小隊』のシローも演じたほか、このあと『ガサラキ』でも主役のユウシロウを演じるなど、90年代の「ミスター主人公」と言ってよいかと思います。


 そういえば、ガイは人形も玩具として販売されていたのですが、これがタカラの昔のブランド「変身サイボーグ」のシリーズとして販売されていたんですよね。オリジナルの「変身サイボーグ」で遊んだことはないのですが、変身対象として「グレートマジンガー」が用意されていたことは本で読んで知っていました。ググってみたら「ゲッターロボ」や「レッドバロン」などにも変身でしたようです。凄い玩具だったんだなあとか思ったり(笑)。


 次回は、もうひとりの主人公である護について語りたいと思います。ということで……。


「次回も、このサイトでファイナルフュージョン承認!」

「これが勝利の鍵だ!」 → 天海 護

 

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