第203話 機動武闘伝Gガンダム その16 Gガンダム大勝利!希望の未来へレディ・ゴーッ!!編

みぃぃぃなさんお待ちかねぇぇぇぇっ!」


 Gガン語りも16回目、そろそろ締めて参りましょう。ということで、今回のサブタイトルは最終回のサブタイをいただきました。


 語り残したキャラのうち、黒幕三人については語っておきたいのですよ。とは言っても、ネオホンコン首相のウォン・ユンファについては大して語ることもないという。東方先生を利用してデビルガンダムを自分の野望のために使おうとしていたようですが、実のところは東方先生に体よく利用されていただけなんじゃないかと。死に様も「馬に蹴られて死んじまえ」を体現してましたし(笑)。


 それと同じく、諸悪の根源であるウルベ・イシカワ少佐なのですが、実のところ黒幕ではあるもののラスボスとしての貫目は無いに等しいのですよ。実際、こいつは最終的にはデビルガンダムを手に入れたものの、そこに至る経緯って非常に場当たり的で運任せのところが多いんですね。


 そもそもが最初にキョウジにデビルガンダムを乗り逃げされて以降は、ドモンを騙して後を追わせていたということしかやってないという。


 人を騙すのには長けてるようですが、それ以外は大して策謀を巡らせたわけではないのですよ。


 本人は第十二回大会に出場したガンダムファイターであり、決勝大会で東方先生に敗れたものの、かなり強いファイターではあったようです。ただ、最後にグランドマスターガンダムに乗って戦っていたときでも、その強さってグランドマスターガンダムの性能に頼ってたっぽくて、本人の強さに見えなかったという。最後も、結局はドモンに倒されたのではなくシャッフル同盟四人の合体攻撃「シャッフル同盟拳」で死んでましたし。いや「シャッフル同盟拳」自体は熱い攻撃なんですけどね。


 そういえば、Wikiによると大佐に出世したと書いてあったんですが、何か記憶に無いという(笑)。少佐から大佐ってシャアと同じだなあ。そういえば、顔の半分しか隠してないとはいえ、実は仮面キャラでしたね(笑)。


 なお、声優は飛田「カミーユ」展男という。『0083』のときはカリウス軍曹も演じていました。若手時代に主人公を演じていたところから、中堅になって渋い脇役から、ベテランの域に達したところで「頼りになる味方のフリをして実は諸悪の根源」という難しい役を演じ切るまでになっていたという。


 前にも書きましたが、声優の演技は感情をそのままぶつければいい主人公みたいな役の方が簡単なのですよ。そこを渋くサポートする役とかの方が難しい。悪役については、主人公のライバル系とか、コテコテの悪役の方が簡単で、このウルベ少佐みたいな「一見善人だけど本当は悪い奴」とか、裏のあるヤツみたいなのが一番難しいという。閑話休題。


 黒幕系最後のひとりは、レインの父親のミカムラ博士です。この人、ドモンの父であるライゾウ・カッシュ博士に嫉妬して、ウルベ少佐によるデビルガンダム強奪を手引きしたという。この人の裏切り告白によって、レインがドモンに心を閉ざしてしまい、デビルガンダムの生体コアになってしまったという。ある意味、東方先生打倒で最終回にならなかった根本の原因はこの人にあるという(笑)。結局はその過ちを認めてウルベ少佐によるデビルガンダム再強奪を阻止しようとしたところを、ウルベ少佐に撃たれてしまいます。重傷の身で何とかライゾウ博士を逃しますが、そこで力尽きて落命し、自分の過ちにケリをつけたという。


 本当は最後まで悪人として描かれるはずが、声優の演技が善人ぽかったので、今川監督がそれに引っ張られて改心する展開になったんだと、監督インタビューで読みました。


 その声優なのですが、清川きよかわ元夢もとむと聞いたら、ガンダムファンならピンと来るはずです。そう、初代『ガンダム』でアムロの父親にしてガンダムの開発者だったテム・レイ博士を演じていた方なのですよ。奇しくもガンダム開発者としての再登場でした。まあ、同じガンダム開発者とは言っても、だいぶ印象は違うのですが(笑)。


 あ、声優ネタで書き忘れてたことがひとつありました。チボデーを演じたのは大塚芳忠なんですけど、ほかにガンダム系でやってた役というと、あのヤザン・ゲーブルなんですよね(笑)。だいぶ印象が違うなあと。このあと『ターンA』ではギャバン隊長を演じています。


 キャラについては、こんなものでしょうか。


 あ、プラモ! 前作Vガンのプラモはほとんど持ってなかった弟なのですが、これはシャイニングガンダム、ゴッドガンダム、マスターガンダムを買っていた記憶があります。マスターガンダムがちゃんとマントをまとえるギミック付いてたのが印象的でした。


 それから、主題歌については、前期オープニングの「FLYING IN THE SKY」が名曲だと思っています。歌詞中に前期必殺技「シャイニングフィンガー」を歌い込んでいて、コーラス部で「Gガンダム」って言っているという。後期オープニングよりも、私はこの前期オープニングの方が好きですね。歌詞も非常にGガンダムの世界観をよく表していると思っています。


 さて、最後に総評に行きたいと思います。一番最初にも書いたように、本作は評価が二分する作品です。ハマった人間は、この熱さと、それと不可分のネタ性が絡み合った面白さにどっぷりハマります。逆に、合わない人間には徹底的に合わない作品です。


 ただ、これは応援コメントでも指摘がありましたし、私もリアルタイム当時から主張していたことなのですが、意外に「ガンダムのテーマ」は継承されているのですよ。


 第一が「地球の住人とコロニーの住人の確執」。これは、第1話冒頭で荒れ果てた地球に住む住人が、コロニーに住むエリートへの怨嗟を漏らすシーンでいきなり表現されています。そう、今までのガンダムシリーズとは百八十度逆転しているんですが、確執自体は存在しているんですね。


 第二が「地球環境汚染への警鐘」。これはもう、東方先生が最後に熱く語ってしまっています。それ以前にもガンダムファイトで破壊される地球住民の暮らしみたいなところは、第1話でも描かれていますし、そのあとも何度も描写されているという。


 そして第三が「人はわかり合えるか?」。初代『ガンダム』以来のニュータイプ論とかで散々描かれてきたテーマではあります。それに対して、本作では従来のガンダムシリーズとは、まったく違った回答を与えています。それはつまり……


こぶしで語り合えばわかり合える!」(爆)


 この斜め上な部分こそ、「原作ブレイカー」今川監督の面目躍如たる所でしょう(笑)。いやまあ、ラストの告白は熱い言葉でしたけど。


 本作が「こうなった」原因については諸説ありますが、富野監督は今川監督に「ロボットプロレスをやれ」と指示したと言っています。今川監督は、その「師匠」から与えられた命題と期待に、最大限に応えたと言えるでしょう。


 そして、本作が「格闘ガンダム」になった背景として、当時の格闘ゲームブームを無視することはできないかと思います。元はアーケードゲームだった『ストリートファイターⅡ』(以下ストⅡと略)が、スーパーファミコンにも移植されて大ヒットしていました。ストⅡについてはVガンでも少し語りましたが、このストⅡに登場する各国の格闘家に、それぞれの母国の特徴をデフォルメした色物が結構いたんですよ。インド代表の手足が伸びたり火を噴いたりするヨガ格闘家ダルシムとか、日本代表の隈取り力士エドモンド本田とか。また、それぞれが特徴的な必殺技を使うという。


 このストⅡの色物格闘家路線が、諸国の色物MFに反映されていたんじゃないかとは思います。


 また、当然のように本作のマーチャンダイズではスーファミ用の格闘ゲームも出ていました。これが作品中盤で販売されていたので、一部設定がアニメ本編とは異なっていたという。ところが、そのゲーム中に出てきたゲームオリジナル技が、作品終盤でアニメ本編に逆輸入されたりもしているんですね。


 このあたり、もはや子供の遊びとしては完全にTVゲームの方が主流になっていた中で、ゲームと相互に影響しあってメディアミックス的に展開されていく流れができあがりつつありました。


 その中でも、今まで何回も言及してきた『スーパーロボット大戦』(スパロボ)シリーズは巨大ロボットアニメとは切っても切れない関係を作っていきますが、その流れの中で実は『Gガン』が果たした役割は結構大きいのですね。Wikiによると、スパロボに「新しい」ロボットアニメが登場するようになったのは、『第二次スーパーロボット大戦G』において本作が登場したことがユーザーに受け入れられたからだというのですよ。


 また、本作が完全に「宇宙世紀」に依存しない、まったく新しいガンダム像を作り上げたことによって、これ以降のガンダムシリーズは宇宙世紀の縛りから解き放たれて「ガンダムの顔をした巨大ロボが活躍するなら何をやってもよい」シリーズに変貌していきます。その多様性が生まれる元となったのは、間違いなく本作だと言えるでしょう。


 「ガンダムでなければ売れない=巨大ロボットアニメが作れない」という状況下において、逆に「ガンダムなら作れる」「ガンダムで何をやってもよい」ということを証明した本作のおかげで、ガンダムシリーズは今日も続いており、それは巨大ロボットアニメの伝統を細々とながらも絶やさずに続けられているということにつながっています。


 これらのことからも、本作がガンダムシリーズと巨大ロボットアニメにおいて果たした役割は、非常に大きかったのだと言うことができるかと思います。


 さて、これでGガン語りは終わりまして、次は『リューナイト』は見ていないので、これまたシリーズの持つイメージを軽やかにぶち壊した大怪作『マクロス7』に行ってみたいと思います。

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