第186話 機動戦士Vガンダム その7 鮮烈!シュラク隊編

 Vガン語りも7回目、今回で終わらせたいところです。味方パイロット編になりますので、サブタイトルは味方で一番印象的な「シュラク隊」が登場した第10話のサブタイトルをいただきました。


 このシュラク隊ですが、教官兼指揮官役のオリファーさんを除くと、全員が女性パイロットです。追加で参加した連邦軍のパイロットも女性だったりします。やたらと女性比率が高いんですよ。


 そして、この人たちが次々戦死するという。前にも書きましたが、ウッソと仲良くなるエピソードが入ると、すぐに戦死するんですね。かなりわかりやすく死亡フラグが立つという。もうひとつ特徴がありまして、リーダー格のジュンコ・ジェンコが例外だったのを除くと、美人な方から死んでいくという。


 また、死に方も普通に撃墜されるほかに、特にコクピットを潰されて戦死というパターンが何回かありまして、特に第14話で宇宙に発進するシャトルのカタパルトが崩れかけたのをMSで支えているところにコクピットをビームサーベルで貫かれて戦死したケイト・ブッシュは印象に残っています。


 リーダー格のジュンコは、美人の割にあとの方まで生き残っていました。恋人持ちのオリファーさんに横恋慕していて、その恋人であるマーベットさんと仲が悪かったのですが、最終的に和解したとたんに戦死するという。この人は戦死の前に特に念入りに死亡フラグを立ててた印象があります。


 一番最後に戦死したのが、私の記憶だとコニー・フランシスでWikiでも彼女の戦死でシュラク隊は全滅したと書いてありました。シュラク隊の中では、えー、一番「個性的」な顔でしたね(笑)。なお、声優は「いつ何時、どこのどんなアニメでも子供か赤ん坊か動物」「子供役やって三十年」の名声優こおろぎさとみが、珍しく大人の女性役を演じています(笑)。もっともVガンでも複数の役を演じていて、メインの役は子供のスージィと赤ん坊のカルルだったりするんですが(笑)。何とほかに犬のフランダースも演じてたりします……ってか、犬の名前に「フランダース」って付けるって一体……(笑)。


 そのシュラク隊の教官で、リガ・ミリティアMS部隊の隊長だったのが前述したオリファー・イノエです。この人、外見は眼鏡の冴えないおじさんなんですが、実のところ作中のパイロットではウッソや強化人間を除いたら、たぶん最強のパイロットだと私は思っています。何しろ作中でピンチになったシーンの記憶が無いんですよ。一度も敵に後ろを取らせたことがないという。宇宙世紀のオールドタイプパイロットの中では最強クラスの腕の持ち主だと私は思っています。戦死にしても、前に書いたようにバイク戦艦アドラステアの発進を阻止しようとしての特攻でした。


 部隊指揮官としても有能で、教官としても弟子のシュラク隊に慕われていました。ただ、そのせいで恋人のマーベットさんに微妙に嫉妬されてたこともありましたが(笑)。敵につかまったときに看守を油断させるために、そのマーベットと「偽装結婚式」を挙げたことがありますが、その後ちゃっかり種を仕込んでるので偽装じゃないです(笑)。


 女子供を戦わせてるという意味ではマトモじゃないと言われればそれまでなんですが、作中の登場人物の中では一番常識人っぽい人でした。だから死んじゃうんでしょうけど。


 その恋人で、第1話から登場して最後まで生き残ったのがマーベット・フィンガーハットです。頼れるお姉さん役ですね。ただ、パイロットとしての腕は序盤はそれほど高くはなく、結構ピンチになってウッソに救われたりしていた印象があります。もっとも、味方がほぼ全員戦死という状況で最後まで生き残ったんですから、決して下手なパイロットではないでしょう。もっとも、パイロットとしてよりは子供たちの精神的支柱としての役割の方が大きかった気はします。オリファーさんと並ぶ常識人枠ですね……子供戦わせてますけど。


 夫のオリファーさんを失って一時は非常に気落ちしていましたが、気丈に立ち直って最後まで戦い抜きました。前にも書きましたが、ある意味最強キャラだったファラが戦死したのは、マーベットさんのお腹にいた胎児に動揺したからです。母親は強い。


 ほかに、ウッソの仲間の少年オデロ・ヘンリークがパイロットになって、途中登場のトマーシュ・マサリクと並んで貴重な戦力になります。途中登場のエリシャに片思いして、最初は相手にされないものの、最後はカップル成立……したのに子供の中で唯一の戦死者になってしまいます。


 オデロの弟分のウォレン・トレイスもエリシャの妹のマルチナに惚れてアプローチするものの、こちらは完全に玉砕しています。このとき、オデロとウォレンのどちらかだったか忘れたのですが、咲いていた花を摘んでプレゼントしたら、コロニー育ちだった女子側に「貴重な植物に何てことするの」みたいに怒られてしまうというエピソードがあったのを記憶しています。こんな細かいところで地球育ちとコロニー育ちの意識の違いを見せたりするのが、さすが富野監督だなあと感心したおぼえがあったり。


 味方パイロットはこんな感じかと思います。味方の爺さん連中については、特に語るようなことも無いかなと。最後だけはカッコ良く特攻して死にますが。


 主題歌については、特に前期のオープニング「STAND UP TO THE VICTORY」は軽快なメロディの名曲です。歌詞にもちゃんと「ビクトリー」って入ってますし。また、エンディングも前期の方が私は好きですね。後期のオープニング、エンディングとも悪くはないのですが、両方とも前期の方が良い曲だと思っています。


 さて、最後に総括といきたいのですが、実のところ一番最初に書いてしまったという(笑)。これ、バイク戦艦とか怪しいデザインのMSとか、バカ負けしてしまう魅力は確かにあるんですが、主にキャラクターの性格から来るストーリー面の破綻がどうしようもないので、駄作としか評価できないんですよね。


 ただ、今回のエッセイを書くためにWikiを読んで驚愕したことがあるので、それを書いて締めたいと思います。


 本作は「テレビアニメの原点に戻って」「子供向けにわかりやすい」「主人公が中心のシンプルかつ漫画チックな」「楽しいロボットアニメ」を目指していたっていうんですよ!(爆)


 これ、以前に格闘ゲーム『ストリートファイターⅡ』の製作者インタビューで「ザンギエフは初心者でも簡単に勝てるような強いキャラにするつもりで作った」というのを読んで以来の衝撃でした(笑)。


※初代『ストⅡ』の頃のザンギエフは、力こそ強いものの動きが鈍いことと必殺技が使いにくいので弱いキャラとして有名。ただし操作が非常に難しい必殺技「スクリューパイルドライバー」の威力が高いので、必殺技を使いこなすと何とか強いキャラ相手にも戦えるという、非常に上級者向けのキャラとされている。


 何で初期構想がそれで、できあがった作品がこうなっちゃったんでしょうねえ。もっとも、あのバイク戦艦とかドッゴーラは確かに「マンガチック」なんですけど(笑)。


 ということで、Vガンについては以上となります。93年の作品はこれで終わりまして、次は94年に入りたいと思います。

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