第187話 勇者警察ジェイデッカー(1994-95年)

 さて、1994年最初の作品は勇者シリーズ第五弾『勇者警察ジェイデッカー』です。本作はリアルタイム時に全話見ております。そのときの印象がメインなのですが、Wikiほかの作品解説をググってみても、かなりエピソードが抜けているんですよ。デッカード殉職とかのデカいイベントの記憶が落ちてるという。ところが、妙なエピソードの記憶は残ってるんですよね。そのあたりをつらつらと語ろうかと思います。


 本作はタイトルどおり警察がメインモチーフなのですが、勇者シリーズ三種の神器のひとつパトカーに変形するのは主役ロボであるデッカードだけです。もっとも、ほかのロボが変形するビークルも建設重機とかがモチーフなんですが、一応警察車両扱いなのでパトランプがついています。


 デッカードはジェイローダーというトレーラーと合体してタイトル主役ロボであるジェイデッカーになります。このあたりは定番なんですが、第1話ではデッカード形態で敵を倒すので、ジェイデッカー登場は第2話からだったりします。このあたりゴッドマーズと同じで第1話では合体前ロボをフィーチャーしてるんですね。


 本作のロボは前作『マイトガイン』から引き続いて、超AIによって人格を持っているロボになります。ただ、マイトガインでは最初から完全な人格を持ったロボとして登場していたのに対して、本作では未完成のAIが少年との交流によって人格を得るという「奇跡」を起こしたことによってロボとして完成されます。


 その少年が本作の主人公である友永ともなが勇太ゆうたです。この奇跡を起こしたことにより、小五ながらブレイブポリスの指揮官に任命され「ボス」と呼ばれるようになります。


 デッカードのネーミングの由来が「刑事デカ」であるように、本作のモチーフは往年の刑事ドラマなんですね。ただ、私は刑事ドラマはほとんど見ていなかったので、あまり元ネタとかはわかりませんでした。


 本作については、むしろ超AIによって人格を持ったロボたちと人間との交流に重点が置かれていたという印象があります。


 この超AIというのが、かなり高性能で夢を見たりもするんですよ。一番印象に残っているのが、夢オチの回という。デッカードたちブレイブポリスのロボたちが、事件か事故に巻き込まれて、何か月もの間意識不明となってしまいます。そして、意識が戻ったときには、既に超AIロボが量産されていて世界中に普及していたという。それで、「もう戦わなくてもいい」と言われたブレイブポリスたちが自分たちの存在意義に悩んだり、第二の人生(?)を模索するという話でした。このとき、ダンプから変形するダンプソンというロボが、花束を持ってレギュラーの新聞記者――と記憶していたんですがWikiによるとルポライターでした――の女性をデートに誘っていた記憶があります。ロボと人間の恋愛なんてのもあったりするんですね。ただ、これが結局は夢だったというオチでしたが、全員が同じ夢を見ていたという。調べてみたら、第40話「ブレイブポリス解散!」という話でした。夢を見た原因は宇宙から来た謎の雲状物体でしたね。


 この話に代表されるように、本作は歴代勇者シリーズの中でもロボが一番人間くさい作品なんですよ。宇宙から来た生命体とか地球の化身とかではなく、人間に作られたロボであることが明確な本作のロボたちが、実は一番人間くさいという。そのあたり非常に面白いなあと思ったりしました。


 本作の二号主役ロボにあたるデュークファイヤーは、救急車から変形するロボであるデュークと、消防車のファイヤーローダーが合体して完成します。デッカードとは別の人格を持ち、最初は仲が悪かったのですが、やがてサブリーダーにおさまります。


 このデュークファイヤーとジェイデッカーが合体してファイヤージェイデッカーになるという。この形態だとジェイデッカーの人格が表に出ています。


 さて、このデュークファイヤーを作ったのが天才美少女科学者レジーナです。出演回数はゲスト的に少ないのですが、事実上本作のヒロインと言っていいかなと思える存在でした。何しろ、ほかにヒロイン相当の役割をしてるのって勇太の姉たちとかなので(笑)。


 強気少女で、最初はデッカードたちを旧式と見下していましたが、やがて彼らのよさを見直して協力するようになります。デュークファイヤー登場の頃に一時出てきたほか、最終盤でも再登場します。


 このレジーナの声優が、のちに『新世紀エヴァンゲリオン』でアスカを演じて「みやむー」の愛称で人気声優として活躍した宮村優子なんですね。これがデビュー作になります。このレジーナは結構好みだったので宮村優子はチェックしてたんですよ。アスカより前に宮村優子に注目していたのは、我ながら慧眼だったと思ったり(笑)。


 ほかに、ダンプソンたちが合体して胸ライオンならぬ胸タイガーになるビルドタイガーとか、六段変形のシャドウ丸とかもいました。シャドウ丸は『ヘッドマスターズ』のシックスショットの流用です。『ビクトリー』のグレートショットに続けて三回目の登場になります。いかに原型のシックスショットが名玩具だったかわかろうというものです。


 あと、最終盤にレジーナが作ったイギリスのブレイブポリスも少し顔を出すんですが、これが前作『マイトガイン』のダイバーズの流用という。もっとも、画面上で少ししか出なかったので、リアルタイム当時は「あれ、今のどっかで見たような?」程度で、のちに二次資料で情報を補完したという(笑)。


 警察モチーフということで、本作の敵は犯罪者がメインですが、宇宙から来た悪の宇宙人もいたりします。


 ただ、最後の「敵」として出てくるのは「悪の宇宙人」ではないんですね。むしろ「正義」の側に立つ宇宙人なんですよ。ところが、地球人が悪事を働くのは感情があるからだという理由で、地球人から感情を奪おうとします。


 それに対して、人格と「感情」を持つブレイブポリスたちが、感情を守るために立ち向かっていくんです。


 それを見た「正義の宇宙人」は人類から感情を奪うのをやめるという。


 本作の「人格を持ったロボ」というのを象徴する、良い最終回だったと思います。


 それから、本作の主題歌「HEART TO HEART」がまた名曲なんですよ。勇者シリーズの主題歌は、カッコ良さとロボ主題歌としてのテーマ性を両立させている名曲が多いのですが、これは特にカッコ良いという。


 個々のエピソードは記憶から落ちてるのが多いんですが、間違いなく名作だったと言える作品だと思います。


 さて、この94年というのはロボが少し復権していて、ほかにアニメ版『レッドバロン』と『ヤマトタケル』という作品が放送されていたんです。特に『ヤマトタケル』は名作と呼ばれているのですが、残念ながら両方とも見ていないんですよ。


 これ明確な理由がありまして、『レッドバロン』はアニメ版のロボのデザインが微妙だったので見なかったんですね。設定も特撮版と全然違っていましたし。


 そして、『ヤマトタケル』の方は、ストーリーは名作だという評はアニメ誌でも読みましたし、サークルの先輩からも聞いていたんですが、どうしてもキャラデザが合わなかったんですよ。


 なので、この二つを飛ばしてガンダムシリーズを変えたエポックメイキングな名作『機動武闘伝Gガンダム』に行ってみましょう。それでは……


「ガンダムファイトぉー、レディーっ、ゴォォォォォッ!」(爆)

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