第176話 超時空要塞マクロスⅡ ―LOVERS AGAIN―(1992/93年)
さて、今回のお題『超時空要塞マクロスⅡ ―LOVERS AGAIN―』(以下マクロスⅡと略記)ですが、少し特殊です。というのも、OVAとしては92年発売なのですが、93年に地上波TVでオンエアされているんです。私が見たのは、この93年オンエアの方ですね。
また、制作スタッフの中に前作『マクロス』から継続参加しているのがキャラデザの美樹本晴彦など少数で、スタジオぬえがほとんど関係してない(クレジット上はメカニックコンセプトデザイン協力)のですね。そのためか、マクロスシリーズの中では一時「無かったこと」「パラレルワールド」扱いされていたようですが、最近ではきちんと年表に組み込まれているようです。
設定年台は前作マクロス(劇場版)の時代から約八十年後になります。前作キャラやメカはほとんど登場せず、唯一マクロスだけが登場します。デザインラインなどは劇場版準拠で、劇場版を正史扱いにして作られたようです。
主役ロボはVF-2SS「バルキリーⅡ」で、これがなかなかカッコ良い。パワーアップパーツを付けたスーパーモードで登場します。主役機のカラーリングが前作の一条機を思わせる白地に赤ラインなんですが、バトロイド時の顔はむしろフォッカー機のVF-1Sっぽいという。
ただし、こいつに乗るのは主人公である
前作マクロスの設定に従って、サブヒロインであるイシュタルは歌手(歌姫)でして、最初はこっちがメインヒロインっぽい扱いになるという。歌手と軍人が主人公を取り合うという前作の三角関係の構図を引き継いでいるんですね。最初は反目しあってたヒビキとシルビーが最後にはくっつくというのも同じです(笑)。
マクロスは出てくるものの、すっかりボロボロになってた上に、最後には敵の攻撃で崩壊してしまいます。
敵である異星人「マルドゥーク」は、前作の敵であるゼントラーディやメルトランディなどとは違って文化を持っています。歌を使ってゼントラーディやメルトランディを奴隷化しており、そいつらを使ってほかの星を侵略しているという。また、自分たちの文化に絶対の自信を持っており、ほかの文化を見下しているという。
その割には、使ってるメカはゼントラーディ系やメルトランディ系のデザインっぽさがあるので、彼らの技術が使われていたりするフシがあるんですが。
このため、歌によってそれまでゼントラーディ系の侵略を防いでいた地球統合軍は、それが効かない敵に大苦戦することになります。
ただ、その戦いの中で報道のために敵艦に潜入(!)したヒビキが、敵の歌姫であるイシュタルと出会って連れ帰ることで、イシュタルが地球文化に興味を持ち、やがて和解への道へ進むという。
その一方で戦闘シーンにおいて活躍するのはシルビーをはじめとして味方は女性パイロットばかりだったりします。
主人公が戦わないのでライバルというのは少し変なのですが、敵軍の司令官であるフェフがイシュタルを取り戻すために、自ら人型機動兵器ギガメッシュに乗って出撃してくるという。ちなみに、一般兵用が青色なのに対してフェフ専用機は赤色で少し武装なども異なります。
なお、このフェフの声優が古谷徹なんですね。赤い専用機に乗るライバルを演じているという(笑)。そういえば、この頃はちょうど彼がタキシード仮面を演じていた『セーラームーン』は第二期シリーズの『R』をやっている時期ですが、どこかでタキシード仮面について「やっと自分も仮面キャラを演じられた」とか冗談を言っていたのをおぼえています(笑)。閑話休題。
このあとに作られたマクロスシリーズは、スタジオぬえがメインになって作る形になります。そのため、最初に書いたように本作は一時異端児扱いされていました。
ただ、それらのマクロスシリーズが作られるきっかけになったのが本作の成功だったというのはあるようです。
そう、これOVAとして売れたんですよ、これ。
充分に売れたからこそ、そのあとでTV放送もできたのかなと思います。同じことは、のちに『ガンダムUC』とかでもやっていますし、最初からそういうビジネスモデル(劇場上映とOVAで売ってからTVでオンエア)を想定して『宇宙戦艦ヤマト2199』が作られたことを考えても、本作が成功した意義は非常に大きかったのかなと思います。
ただ、やっぱり全六話のOVAなんで、TVのオンエアで見ただけだと印象は結構薄いんですよね。マクロスシリーズだから歌も結構重要なのに、主題歌とか全然おぼえてないという(笑)。
さて、次回は同じくOVAの名作である『ジャイアントロボ』について語りたいと思います。
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