第173話 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY その10 俺ももうロートルか編

 0083語りも10回目、そろそろ終わりにしたいので味方パイロットをまとめてから総括したいと思います。サブタイは第8話でバニング大尉がコウのGP-01に模擬戦で負けたときのセリフからいただきました。この人も名言は多いのに、なんでコレなのかというと……年取ってくると染みるんですよ、コレ(笑)。


 そのバニング大尉ですが、元はトリントン基地で若手テストパイロットの教官でした。GP-02追撃に参加したことをきっかけに、アルビオンのパイロット部隊の指揮官にスライドして、現場復帰します。ただ、三十九歳という年齢から、もう現役パイロットとしては引退を考えていて、サブタイにいただいたセリフも、そのあたりを自覚した発言のうちのひとつです。


 ベテランらしく、GP-02追撃のときもコウたちに戦術指導をしたりしていました。とにかく、渋くてカッコ良いという意味ではガトーと双璧をなします。その一方で、女癖が悪く、妻とは離婚協議中などという面もあったりします。頼りになる先達だけど、厳しいだけでなく人間味もあるという、ある意味理想の上司だったりするんですね。


 OVA版では、その第8話でシーマ様が連邦軍にリークしようとした「星の屑作戦」の情報を書いた書類を入手しますが、それを読もうとした瞬間に、前述のようにジム・カスタムの損傷が致命的なレベルに達して機体が爆発して戦死しました。なお、劇場版ではこのシーンはカットされており、途中からフェードアウトしています。Wikiによると、漫画版だと死なない展開や死に方が違う展開もあるそうです。


 一年戦争時には「不死身の第四小隊」と呼ばれる部隊を指揮しており、その頃の部下がアルビオンのMS隊に配属されます。


 その部下たちがアデル、ベイト、モンシアの三人です。このうち、特にキャラが立ってるのがモンシアで、パイロットとしての腕が一番いいかわりに、性格が一番悪いという(笑)。コウたち新兵を見下していましたし、スペースノイドへも差別意識を持っているように描写されていました。


 GP-01に乗ろうとしてコウと模擬戦で勝負しますが、油断して敗れてしまって、結局ジム・カスタムに乗り続けます。コウがGP-01を大破させたときは、酒場でそのことを酒場女に愚痴る形で、同じ場所に居たコウに当てこすっていました。


 三人とも腕は確かで、デラーズ紛争を最後まで生き残ります。モンシアの性格が悪い以外は、普通に「味方の先輩キャラ」なので大して印象には残っていません。


 ただ、最後にアルビオンクルーがティターンズの制服をもらって喜んでるシーンがあったんですよ。おそらく、この三人もティターンズ所属になったのではないかと思われます。また、実際にゲーム「ジオンの系譜」ではティターンズが結成されるとティターンズ所属になります。


 キースについては、既に何回か書いています。コウの士官学校からの同期で親友キャラで、コメディリリーフの役割を果たしますが、最終的には生き残った上で彼女もゲットするという儲け役だったり(笑)。


 あと、味方の上司として強襲揚陸艦アルビオンの艦長であるエイバー・シナプス大佐がいます。この人、普通に有能な艦長っぽいのですが、作中では常に後手後手に回る状況に追い込まれているという可哀想な役所やくどころだったりします。


 それでも「星の屑作戦」阻止のために孤軍奮闘していたのですが、さらなる上官であるコーウェン中将が失脚したため、最終局面で参戦を禁じられます。それを無視して封印命令が出されていたGP-03をラビアン・ローズから受け取ってコロニー落下阻止の作戦に勝手に参加するという決断を下します。


 その結果として、紛争終了後の軍法会議で、艦の私物化と命令無視の罪状によって死刑を宣告されて処刑されるという結果になります。同じ軍法会議でコウは禁固刑を受けますが、のちにガンダム開発計画自体が「無かったこと」にされたので釈放されますが、シナプス艦長は即時処刑だったというのを、どこかで読んだおぼえがあります。


 なお、この死刑判決については、作中では劇場版のテロップのみで明示されており、OVA版では明示されませんでした。ノベライズ版では明示されています。


 ガンダム世界じゃあ命令無視なんか山ほどあるのですが、それを理由に軍法会議で死刑になったのは、この人だけじゃないかと思います。そのため非常に可哀想な人として印象に残っています。


 ほかにもキャラは結構居るのですが、バスクやジャミトフ、一コマしか出ないハマーン様(御年十七歳)などについてはZガンダムやZZと大差無いので語らなくてもいいかなとか思ったり。


 それから、主題歌は前期オープニング「THE WINNER」も、後期オープニング「MAN OF DESTINY」も非常にカッコ良く、また作品テーマにも沿っているという名曲です。特に前期オープニングの最初の部分で連邦とジオンの旗がたなびく中で「勝者なき戦い」を歌っているシーンには痺れました。これもシングルCD買ったなあ。


 その一方で、プラモはまったく買ってなかったのですよ。弟もこれは買ってませんでした。何やらGP-01とGP-02の最初のやつは非常にできが悪いという評判を聞いたので、買わなくてよかったなあとか思ったり(笑)。


 最後に作品としての総括をしたいのですが、これが非常に難しいのですよ。まず、アニメ作品として、作画は非常に良いことは異存が無いかと思います。ロボやメカも非常にカッコ良い。


 その一方で、ストーリー面では前半からガトーが核を撃つところまでは、非常に良いんですよ。ところが、後半は連邦の内紛とニナの裏切りのせいでグダグダになって、非常に後味が悪いという。私は「前半の面白さはガンダム、後半のつまらなさはZガンダム」と評したことがあります(爆)。


 ただ、ガンダムとZガンダムをつなぐミッシングリンクとしては、きちんと機能しています。このデラーズ紛争がティターンズ設立の理由になったりとか。あと、ガンダムだと強力な兵器だったソーラー・システムがZガンダムだと一切使われてないのは、結局本作でソーラー・システムⅡがコントロール艦を破壊されて有効に機能せずにコロニー落下阻止に失敗したので「使いにくい」と見捨てられて、代わりにコロニーレーザー「グリプス2」が建造されることになったんだろうという理由付けになっているとか。


 その一方で、SF設定的にもツッコみどころが結構あったりするんですよね。「なろう」の方の感想欄でfool様が指摘されていましたが、宇宙空間で使ってる割に核の威力が強すぎるとか。そのターゲットになる観艦式も、いくら観艦式で中継などで見せることが目的とはいえ宇宙空間での艦艇の配置間隔が狭すぎるとか。


 また、これはネットで読んだ批判なんですが、連邦軍艦隊がコロニーを追撃する際に推進剤不足で追撃できず脱落するのですが、そのシーンで噴射が止まった艦艇が、その場で止まって置き去りにされる描写があったりとか。宇宙空間では噴射を止めても加速が止まるだけで慣性航行で進み続けるはずです。もっとも、これは「加速ができなくなった」ことの演出かもしれませんが。


 あと、最後にコロニーが落ちるシーンでも、南米ジャブローの上空をコロニーが通過していって「あれ、ここに落ちるんじゃないの?」みたいに拍子抜けしてるシーンがあるのですが、これ、一体どういうコースでコロニーを落としてるんだろうと。


 南米のジャブロー上空を通過して北米の穀倉地帯に落とすには、南極方向から地球の自転方向に垂直に落としていかないといけないんですが、かなり大変なんじゃないという。いくら全長三十キロのコロニーでも、地上から肉眼でけっこう大きく目視できる状況で通過したのが地球を一周して北米に落ちるというのは考えにくいと思うので。


 ……などと書いていたら、「なろう」の方の感想欄でにゃあくん様からコロニーはでかいので一万メートル上空でも大きく目視できるし、速度が秒速四キロ以上あるので三時間弱で地球を一周するから普通に一周して落ちたんじゃないかとご指摘をいただきました(爆)。


 とまあ、いろいろツッコみ所はあったりするのですが、少なくとも前半からガトーの「ソロモンよ、私は帰ってきた!」まではメチャクチャに面白い作品だったことは事実です。私は全ガンダム作品の中でも上から三番目と評価しています。ちなみに一位はもちろん初代『ガンダム』で、二位は『Gガンダム』(笑)だったりします。『Gガン』については、いずれじっくりと語りたいと思います。


 さて、これで91年は終わり、次回からは92年の作品になります。さて、何から語ろうかなあ。

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