第171話 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY その8 アタシは故有れば寝返るのさ!編

※前話でニナの裏切りについての記述のところで「コロニー落下阻止という重大局面で個人的感情で利敵行為を行う」と書いたのですが、あとで感想返しのために追加で調べているときに、この時点では既に阻止限界点を越えていたのでコロニー落下については責任は無いという記述を見かけたので、その部分は削除しました。


 0083語りも何と8回目、OVAとしては前代未聞の長さになってしまいました。とはいえ、『0083』のOVAで三十分の話が全十三話というのも、この当時としてはかなりの長さではあります。もっとも、このとき既に三十分全百十話(本伝のみ)という最長不倒にして空前絶後の狂気(←褒め言葉です)のOVA『銀河英雄伝説』は既に第二期(第54話)までリリースの途中だったのですが。閑話休題。


 さて、今回は敵キャラ語りということで、サブタイはシーマ様の名ゼリフをいただきました。デラーズ閣下も名言が多い方なのですが、もうひとつのサブタイ候補だった「ガトーよ、意地を通せ。コロニーは現に有るのだ!」はちょっと長すぎるかなと思ったので(笑)。


 さて、まずはそのシーマ様ことシーマ・ガラハウ中佐から。元ジオン海兵隊の指揮官にして凄腕のエースパイロットという女傑です。既に書いたようにゲルググM指揮官用という自分の専用機とガーベラ・テトラというワンオフ機を乗り継いでいます。また、乗艦の「リリー・マルレーン」はザンジバル級機動巡洋艦ですが、小型ビーム砲塔などが追加されており、今日では後期型とかザンジバルⅡ型などと呼ばれています。


 この人は非常に評価が難しいんですよ。作中では完全に悪役として描かれています。デラーズ・フリートに協力するものの、それを裏切って連邦に内通しているという。そのやり口の汚さと、最後にデラーズ閣下を射殺したことから、ニナと並んでゲス女として嫌っている人もいます。


 その一方で、当時発売されたドラマCDやゲームなどでは、ジオン軍時代に汚れ仕事を押しつけられ、特に一年戦争序盤のコロニー落としの際に、コロニー住人を毒ガスで虐殺する仕事を「催眠ガス」と騙されてやらされたという過去が明かされているほか、その責任を上司からなすりつけられたり、部下ともども差別的な扱いをされていたりと、裏切る理由は充分にあるということが設定的にはあるんですよ。私はドラマCDの方は設定を二次資料で読んだだけなのですが、ゲームの方はその描写がムービーでされている『ギレンの野望 ジオン独立戦争記』をやっています。


 また、やり口自体は汚いものの、やろうとしてることはコロニー落とし(=質量兵器テロによる大量虐殺)の阻止なんですよ。ガトーの観艦式襲撃についても、事前に情報を連邦軍に流そうとしていたという。それが成功していれば、観艦式の被害も少なくなったはずです。言動は荒いしサディスティックな性格もあるんですが、やろうとしてる事は意外にも人道的観点からすると真っ当という。


 そのためか、作中と同じようにシーマ様と呼んでいるファンも結構多いという(笑)。私もその口です。


 部下には慕われているものの、失敗には容赦がなく、うっかりケリィにヴァル・ヴァロしか要らないということを言ってしまったクルトに対しては、責任を取らせるためザクに乗せてヴァル・ヴァロと単機で戦わせるという罰(当然のようにヴァル・ヴァロに撃墜されて戦死)を与えています。


 この騒ぎを起こしたことについて苦情を言われたときに返した「ぶつよ」のセリフは結構名言だと思ってます(笑)。


 彼女の名ゼリフとしては、リリー・マルレーンが撃沈される直前の「ガイドビーコンなんか出すなぁ! 死にたいのか!!」とかも印象に残ってるのですが、やはり一番はサブタイにもいただいた「アタシはゆえあれば寝返るのさ!」でしょう。初見時の印象に対して、裏設定を知ったあとだとイメージが百八十度変わってしまったという、なかなかに深い名言だと思います。


 前記のように、デラーズは裏切るものの連邦軍に対しては筋を通しているのですよ。そのため連邦軍上層部からは敵対しないように命令が出ていたのに、コウは命令を無視してシーマ艦隊を攻撃し、リリー・マルレーンを撃沈したあげくに前述のように彼女のガーベラ・テトラもメガ・ビーム砲の接射で爆散させるという。これ、一見すると自業自得のように見えて、実は全然そうじゃないんですよね。


 シーマ様にしてみればコウに「お前はどっちの味方だ!?」と叫びたくなるのも無理はないかなと思ったり。


 いろいろ毀誉褒貶の激しい人ではありますが、私は初見の頃から結構好きでした。悪役スキーなもので(笑)。


 ところで、声優は真柴ましば摩利まりなのですが、ほかに演じている有名な役が、最近主演声優が交代した『クレヨンしんちゃん』で、しんちゃんの愛犬シロと、友達の風間くんの二役をやってるんですね。ちなみに、その『クレヨンしんちゃん』って、初代声優の矢島やじま晶子あきこが『ガンダムウイング』のヒロインであるリリーナ・ピースクラフトも演じているほか、父ちゃんこと野原ひろし役の藤原ふじわら啓治けいじは『08小隊』のエレドアと『OOダブルオー』のアリー・アル・サーシェスを演じていて、妹の野原ひまわり役のこおろぎさとみは『Vガンダム』でスージィ、カルル、コニーの三役もやっているという。野原一家でガンダムシリーズに出てないのは母ちゃんこと野原みさえ役のならはしみきだけ……と思ってたら、Wiki読んでみると彼女もゲームで『Gガンダム』のレインの代役をしたことがあるのね。野原一家がガンダム化すると父ちゃんがアリーで、母ちゃんがレイン、しんちゃんがリリーナ、ひまわりがコニー、シロがシーマ様というとんでもない混沌家族になる……みたいなことを、つい考えてしまったりするんですよね(爆)。閑話休題。


 ……ああ、何と今回はシーマ様だけで終わってしまいましたよ!(爆) 次回はデラーズ閣下や味方レギュラーについて語ろうかと思います……ってことは、サブタイあれ使うかな?

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