第170話 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY その7 いやぁーっ私のガンダムがっ!編

 0083語りも7回目、ヒロイン&女性キャラ編に入りましょう。ということで今回のサブタイは大問題のヒロインであるニナの迷セリフをいただきました。


 ガンダムシリーズ多々ある中で、最低最悪のヒロインと評されることが多いのが、本作のヒロインであるニナ・パープルトンです。某巨大掲示板をはじめとして、名字のパープルトンをもじって紫豚という蔑称で呼ばれているのも多く見受けられます。彼女と同程度に評判が悪いとなると『Vガンダム』のカテジナ・ルースくらいしか思いつきません。今回ググってみたら、クェス・パラヤも合わせて「初期ガンダム三大悪女」なんて呼ばれてましたが、クェスはこの中じゃあ「一番の小者」(笑)でしょう。


 ニナが叩かれる面のひとつを象徴するのが、今回のサブタイにいただいたセリフです。アムロの親父テム・レイと同じで「人間よりモビルスーツの方が大切なんですか!?」ってツッコみが入るってことですね(笑)。


 ただ、それはコウとの仲が深まっていく中で改善されていきます。ところが! その深まった仲のはずのコウを、よりにもよって最終局面で裏切って、元彼のガトーの方に走ってしまうという(爆)。


※この部分で、最初は「コロニー落下阻止という重大局面で個人的感情で利敵行為を行う」と書いたのですが、あとで感想返しのために追加で調べているときに、この時点では既に阻止限界点を越えていたのでコロニー落下については責任は無いという記述を見かけたので、その部分は削除しました。


 これ、OVAで見たときは正直「ハァ?」でした。また、作劇上から考えても、何の必然性も無いんですよ。このエピソードを挿入する意味がサッパリわからない。


 おまけに、この「ガトーが元彼」という設定自体が後付もいいところなんです。第1話でガトーがGP-02を奪おうとしているときに、それを見たニナが「誰!?」って言ってるんですから。


 このあたり、ノベライズ版や後発の漫画版では少し設定を変えたり、ニナの心情を追加したりしてフォローしてるとWikiには書いてあったんですが、それにしたってワケがわからないことに変わりはないです。むしろ、この設定をサッパリとオミットしたという『コミックボンボン』連載の幼児向け漫画版の判断の方が適切でしょう。


 それから、そのまま戦死したガトーのことを胸に刻んでアクシズでMS技術者をやっているというエンドになっていたなら、まだ「ガトーのヒロイン」になれた可能性はあるのですよ。何しろ作中での人物的な魅力から考えると「コウとガトーを比較したらガトーの方が魅力的だと思うのは仕方ないよね」みたいな感想は持っても不思議ではないので。


 ところが、ガトーが戦死したら、最後にコウの所に戻ってきてしまうという。しかも、それを見て微笑んだコウに対してニナが微笑みかけるところで物語が終わるという。これを見て私はどう思ったか。さあ、皆さんご一緒に……。


「何じゃこのクソビッチは!?」(爆)


 歴代ガンダムヒロインの中で最低最悪と言われる理由もわかろうというものです。


 ただねえ、これについて、最近少し感想が変わってきたんですよ。カクヨムで最近読んだ恋愛物で、チャラ男(っぽいけど実は違う)君と真面目君の二人の男の間で揺れる女心を描いた作品で、結局主人公がチャラ男君を選んだあとの感想に「真面目君を選ぶ方がいいのに」みたいなのがあったのに作者様が「女は子宮で考えるから」みたいに返してるのを見て、男と女の感性ってやっぱり違うなあと思ったのですよ。


 そして、それからの連想で気付いたんですよ、このニナの行動って、少女漫画やレディコミではよくある「元彼に一度はフラれた女主人公が、結局そのあとで付きあった当て馬彼氏を捨てて元サヤに収まる」なんだって。


 少女漫画やレディコミの場合、女主人公視点から見てるから気付かないんですけど、当て馬彼氏視点から見ると結構ビッチな行動なんですよ。


 で、それを許しちゃうコウの態度も、当て馬彼氏としては標準なんですね。真面目で優しいのが取り柄だけど、男としてどうよという。


 ただ、元彼の方が死んだから当て馬彼氏に戻るってのは、さすがに少女漫画とかだと少ないんですが……無いわけじゃないんですよね。


 しかし、それに気付いたからといって、作劇上この展開が不要だという私の考えには不変ですが。


 このワケの分からん設定のせいで、作品の後味が凄く悪くなってるんですよ。確かに、もの凄く印象には残っているんですが、こんな印象の残し方せんでもいいだろうと。


 このニナが、ガンダム史上どころか、巨大ロボットアニメ史上においても最低最悪のヒロインという私の評価は変わりません。


 さて、ほかの女性キャラでいうと、ほんの一話しか出てこないのに強烈な印象を残しているルセット・オデビーがいます。GP-03の開発担当システムエンジニアです。GP-03が封印されるという命令に反発して、コウにGP-03を奪うことをそそのかすという。ところが、それでコウが本当にGP-03を奪取しようとしたのを阻止しようとするナカト少佐の銃弾からコウをかばって死亡するんです。


 結構アレな性格の上に、コウとは全然恋愛関係でも何でもなかったのですが、この行動だけ見るとコイツの方がよっぽどヒロインしているという(爆)。彼女との対比で、ニナがさらに悪いように思えてしまうのですが。


 もうひとり、モーラ・バシットという大柄色黒で男勝りのメカニックの女性もおり、こちらはレギュラーでニナの親友という役所だったのですが、最終的にはキースとくっつきます。こっちはニナとの対比で、外見でいうとニナの方が美人なのですが決してブスではなく、性格の良さの方は段違いということで、好感度が高い女性キャラです。最初はニナをナンパしようとしていたキースですが、軽い性格だけあって女性経験は豊富だったのか、結局モーラを選ぶあたり女を見る目があるなあと思ったり(笑)。


 ああ、シーマ様について書けなかった。まあ、彼女の場合は女性キャラというよりは悪役兼セカンドライバルと考える方が適切なので、次回にデラーズ閣下と一緒に語りましょう。

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