第169話 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY その6 駆け抜ける嵐編

 0083語りの6回目、キャラ語りに入りましょう。主人公コウとライバルであるガトーについて語りたいので、サブタイは最終対決が行われた最終回のサブタイをいただいています。


 まず主人公のコウ・ウラキ少尉について。士官学校を出たばかりの新米少尉ですが、パイロットとしての腕は優秀です。そうでなければテストパイロットにはなれません。これは相棒のチャック・キース少尉も同じです。ここまでのガンダムシリーズで初めての「最初から職業軍人」の主人公です。このあとを見ても、実は意外に少ないんですよ。『08小隊』のシロー・アマダとか、『DESTINY』のシン・アスカとかぐらいしか思い当たらないという。もっともテロリスト系や傭兵系のプロはいますけど。


 MSオタクで、ニンジンが嫌いという子供じみた面をもっています。このあたり、ターゲット視聴者層の共感を買いやすい設定にしたのかなとか思ったり(笑)。


 そして、一見真面目そうな外見に反して独断専行と命令違反の常習犯です(笑)。GP-01の持ち出しも、地上装備で宇宙で出撃したときも独断専行で、上司に「やめろ」と言われているのに止まらないという。また、GP-03の使用については上司であるシナプス艦長が許可しているのですが、軍全体からすると命令違反であり、最終的には軍法会議で禁固刑を喰らっています。ただ、ガンダム開発計画自体が「無かったこと」にされたので罪状が消滅して釈放されるという。


 最初にGP-01でガトーと戦っているときに「君も将校なら大局的な視野を持ちたまえ」みたいに言われて、思わず「はい!」とか素直に返事してしまい「私は敵だぞ!」と大喝されたりとか、ケリィと一緒にヴァル・ヴァロを修理しながら戦士としての心構えを学んだりとか、とにかく「敵」の影響で成長していた感があります。このあたり、シャアとの戦いやランバ・ラルとの出会いで成長していったアムロを思い起こさせる演出です。


 あ、もちろん味方のバニング隊長からの指導も大きいとは思います。第2話では戦術の指導とかも受けていました。また、バニング隊長の死が軍人としての責任をコウに自覚させ、最終決戦では薬物を打ちながらも戦い続ける動機のひとつになったのかなとも思います。


 パイロットとしても軍人としても急成長したコウですが、最終決戦では結局ガトーには勝てず、その目的だったコロニー落としの阻止にも失敗します。そして、男としてもガトーに完敗する出来事があったりするのですが、それについてはヒロインであるニナ・パープルトンを語るときに説明しましょう。


 そのまま軍法会議でも禁固刑を喰らって収監され、のちに罪状が消滅するとはいえ、しばらくは収容所生活を送ります。軍法会議のシーンでのやつれた様子とあきらめの表情が傷心を物語っています。最後のシーンでわずかに笑顔を見せますが、そこで物語は終わり、それ以降ガンダム世界で彼の名は出てきません。


 まあ、あんな体験をしてしまったら、そのあと積極的に活動する気にはならないだろうなあとは思います。


 このコウと対峙するライバルがアナベル・ガトー少佐。ガンダムシリーズのライバルの中でも屈指の人気キャラです。そのカッコ良さは、ある意味シャアをも上回ります。シャアみたいに晩節を汚していませんので(笑)。


 もともと「ソロモンの悪夢」の異名を取った一年戦争のエースパイロットで、その活躍は連邦軍士官学校の教本に名前が載るほどです。常に武人としての覚悟を持って自らの信念と信じる理想「スペースノイドの自主自立」のために戦っており、一切のブレを見せません。そのためなら、汚いことや大量虐殺も辞さないという点で上司であり同志でもあるデラーズと共通点があり、深い信頼の絆でつながっています。


 また、カッコ良い名言の宝庫でもあります。先にGP-02の説明の際に挙げた「ソロモンよ、私は帰ってきた!」は、上記の「ソロモンの悪夢」という異名通り一年戦争のソロモン戦で活躍したという設定から「帰ってきた」なんですね。なお、前振り付きだと「再びジオンの理想を掲げるために、星の屑成就のために、ソロモンよ、私は帰ってきた!」となります。何度も書いてしまいましたが、これはガンダム史上でも屈指の名シーンで、名ゼリフです。


 それ以外にもコウとの最初の戦いの際に言い放った「私を敵に回すには、君はまだ……未熟!」とか、「何とたわいのない。鎧袖一触とはこのことか」とか、カッコ良いセリフが山積みなのですよ。GP-02強奪の最後のところで、GP-01にシールドの冷却機構を破壊されたときに思わず叫んだ「ぬかった!」でさえもカッコ良いという。


 核爆発の影響で機体が損傷していたとはいえ、GP-02でGP-01と相打ちになったことで、コウのことはライバルと見なすようになります。そしてノイエ・ジールで戦うときは侮らずに対峙します。最後は、ノイエ・ジールの所で書いたように味方の離脱を援護するために連邦軍艦隊に特攻して武人としての生を全うしました。


 声優は大塚明夫で、このガトーのカッコ良さは、この人が演じたという部分も大きいかなと思います。ほかには『新スタートレック』のライカー副長とか、ゲームの『メタルギア』シリーズの主人公スネークなどが有名ですね。


 さて、次は大問題のヒロインと女性キャラについて語りたいと思います。

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